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映画

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2022年11月の記事一覧

沖田修一監督の推薦図書『哀愁の町に霧が降るのだ』

読書の秋、ということでnoteの投稿企画でお題に出されていた推薦図書を読んでみました。 https://note.com/contest/%E8%AA%AD%E6%9B%B8%E3%81%AE%E7%A7%8B2022?f=trend 選んだ本は、『哀愁の町に霧が降るのだ』。 理由は、選書をしたクリエイターに映画監督の沖田修一がいたから。 映画関連では唯一だったので迷わず選びました。 沖田修一推薦図書ということで選んだ書籍 映画監督が選んだ本ということで映画関連かと思

【復讐と悲劇の物語として観る】映画『ブラックパンサー』感想

11月11日から公開中の『ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー』。観に行く予定はあるものの未だ見れていない。とりあえず復習として前作にあたる『ブラックパンサー』を久し振りに鑑賞した。 『ブラックパンサー』はMCUの中でも特に好きな一本だ。作品の素晴らしさは言わずもがな。ヒーロー映画としては異例のアカデミー賞7部門ノミネート、3部門受賞という結果だけで本作の素晴らしさは伝わるだろう。 物語の面白さやビジュアルの格好良さにも痺れるが、特に男同士の宿命の闘いを描いてるところ

映画「虐殺器官」

観た映画の紹介 制作:2017年 日本 上映時間:115分 映倫:R15+ 配給:東宝映像事業部 この映画を選んだ理由 作家・伊藤計劃の原作も衝撃的でしたし、11月30日でNetflix配信終了するので、観ることに決めました。 キャスト・スタッフ キャスト:中村悠一、三上哲、梶裕貴、石川界人、大塚明夫ほか 監督:村瀬修功 原作:伊藤計劃 脚本:村瀬修功 キャラクター原案:redjuice 主題歌:EGOIST あらすじ 感想 原作は2009年に34歳の若さで病

【死者の蘇る月、愛と死が交錯する】映画『NOVEMBER』感想

映画『NOVEMBER』は2017年に製作されたエストニアの作品だ。19世紀末のエストニアの農村を舞台に、ある男女の奇妙なラブストーリーが描かれる。 エストニア、旧ソビエト連邦の一部でバルト三国の一つ。筆者には歴史で学んだこと以上に馴染みのない国だ。少し調べたところ、デジタル先進国で、首都タリンはジブリ映画の『魔女の宅急便』のモデルの一つにもなったとも言われてるらしい。 そんな「魔女」繋がりの本作は、19世紀の「死者の日」を迎える11月のエストニアの村を舞台にした物語。美

日々と恋愛映画

変わる時は一瞬だ。後で振り返ればなかなか大変だったとか長かったとか思うのだろうが、その瞬間に見える景色はあっという間に変わっていく。 新しい場所で働きはじめて10日が経った。 数ヶ月ぐらいが経っているような気分だけれど、間違いなくまだ10日だ。人間の時間の感覚なんて、全く当てにならないものだ。 10月の退職の当日、その日出勤ではなかった人達まで私のために会社に来てくれていた。 ある人からは小説を3冊もらい、花束と一緒にスターバックスのカードやゴディバのチョコレート、それ

【真相は湿地に眠る】映画『ザリガニの鳴くところ』は女性にこそ観て欲しい

11月18日(金)から公開の映画『ザリガニの鳴くところ』。60年代のアメリカの湿地帯を舞台にある殺人事件の真相と容疑を掛けられた女性の人生を廻る物語だ。 原作は2019年&2020年の2年連続でアメリカで最も売れた小説で、全世界で累計1500万部を超える驚異的な売上を記録している。日本でも2021年の本屋大賞翻訳小説部門第1位を獲得するなど高い評価を得ている。 この作品、試写会で一足先に鑑賞してきました(ちなみに原作は未読)。 今回の記事ではネタバレなし(公式サイトに載っ

映画「グッド・ナース」

観た映画の紹介 原題:The Good Nurse 制作:2022年 アメリカ 上映時間:121分 Netflixで2022年10月26日から配信。一部劇場で10月21日から公開。 この映画を選んだ理由 出演しているエディ・レッドメインさんが実話の看護師をどう演じるのか、興味がありました。 キャスト・スタッフ キャスト:エディ・レッドメイン、ジェシカ・チャスティン、ンナムディ・アサマア、キム・ディケンズ、マリク・ヨバほか 監督:トビアス・リンホルム 原作:チャール

『窓辺にて』に自分を重ねて観ていた【映画感想】

妻の浮気に気付くもショックを受けない自分に戸惑う夫。彼はさまざまな人たちと交流していく中で「好き」という感情に触れ自分を見つめ直していく… 映画『窓辺にて』は2022年11月4日から公開されている作品だ。監督は『愛がなんだ』、『街の上で』の今泉力哉。主演は『半世界』、『ばるぼら』の稲垣吾郎。共演者には中村ゆり、玉城ティナ、若葉竜也、志田未来、佐々木詩音。 本作は今泉力哉監督が稲垣吾郎を主人公にオリジナル脚本で撮りあげた作品だ。 これまで観てきた今泉監督作品の中でも今作は

【今度は戦争だ!】映画『処刑山 ナチゾンビVSソビエトゾンビ』がめちゃ面白い!

2014年に製作された『処刑山 ナチゾンビVSソビエトゾンビ』。 以前鑑賞した『処刑山デッド・スノウ』の続編ということで観てみたのだが (前作の詳細は下記記事より) なにこれ… めちゃくちゃ面白いじゃん!!いや、確かに「続編の方が面白いよ」という感想も目にしてたけど、ここまで面白いとは。 あまり期待せずに観たこともあって、そのギャップにやられてしまった。 このシリーズが何故ここまで騒がれてるのかも分かった。 前作と今作どちらも面白いが自分は断然コッチの方が好き。この作品

【巧みな脚本と日本風刺に唸らされる】映画『MONDAYS』感想&紹介

10月28日から公開している『MONDAYS』(東京、大阪、名古屋では10月14日より先行公開)。タイムリープに陥ったオフィスの社員たちが協力して抜け出そうとする姿を描いた作品だ。 監督はデビュー作『14歳の栞』で注目を浴びた竹林亮監督。主演は『コントラ KONTORA』の円井わん、共演者にお笑い芸人、ミュージシャン、俳優など幅広く活躍するマキタスポーツ、『カメラを止めるな!』のしゅはまはるみ等が名を連ねている。 SNSでポスターを見かけた時から気になっていた本作。評判も