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映画

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2024年4月の記事一覧

映画『異人たち』は現時点で今年ベストの傑作だったが主人公二人の親密になるシーンがあまりにも切なくあまりにリアルでいまだに忘れられない。アンドリュースコットがこんな事は久しぶりだからと息継ぎがうまくいかず呼吸が乱れる箇所。あのシーンだけでもう奇跡のような映画だったと思う

日記: 日々と娘と映画と

桜がヒラヒラと散る様をみたら、2000年代の岩井俊二映画を思い出した。 松たか子主演で北海道から上京した大学生一年生の瑞々しい姿を捉えた『四月物語』。制服似合ってないね、などといいながら桜並木を駆けながら高校に進学する2人の可笑しくも美しい映画『花とアリス』。どちらも何度観たか数えきれない程に偏愛している作品である。 昨日、初めて生後5ヶ月になった娘を連れて地域の子育て支援センターという場所に行ってみた。 当たり前のことだけれど人間は行動あるのみなのだなと、些細なことな

【悪夢の島で最悪なヴァカンスが始まる】映画『インフィニティ・プール』感想

これぞまさに『The 悪趣味映画』清々しいまでの悪趣味映画だった! 監督は本作が長編3作目となるブランドン・クローネンバーグ。 これまでもセレブの掛かったウィルスをマニアに売りつける『アンチヴァイラル』や、人の意識を乗っ取って暗殺をさせる『ポゼッサー』などアブノーマルなテクノロジーを題材にした映画を撮っている監督だ。 父親は『スキャナーズ』、『クラッシュ』など数々の傑作で知られるデヴィッド・クローネンバーグ。 父親は"鬼才"、"変態"という通り名で呼ばれているが息子のブラ

『ゴジラ-1.0』

外から見たゴジラ 真っ暗な映画館内に重低音が響く。耳障りな、しかし聞き慣れたリズムだ。IMAXの巨大スクリーン内では、小洒落た街並みを覆い尽くすように、鋭利な岩を体中に生やした壁がまっすぐに立ち上がる。壁の片方にある長い尾は地面を裂くようにゆっくりと揺れ、もう片方にある二つの目はこの世の憎しみを閉じ込めたかのように燦々と光っている。街を破壊して歩くカイジュウの全貌をとらえたヒロインがその名前を呼ぶ。映画に詳しくない人も必ず知っている名前。「Godzilla」という一言に、場