『Mademoiselle Kenopsia』
何もない映画
自宅でテレビをつける、帰宅時に携帯を持つ、休日に映画館へ行く。映画鑑賞には多種多様な方法があり、技術によって変化してきた。どんなデバイスを使用していても変わらないことがあるとすれば、それは映画を見るという行為が、本質的に孤独なものだという事実ではないだろうか。大勢で集まったときでさえ、見たり聞いたりした感覚は、本人にしか分からない。同時に同じ映画を見たはずの友人が、自分の記憶とは微妙に違う場面や台詞を覚えていることもある。一人でいることと孤独であることは違うのだ