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超短編小説「高田の場合13」

・高田はトランクス派だったがトランクスのゴムの締め付けがきついと違和感を感じて無理やり両手で伸ばしてから履いていた

・高田は映画館や劇場の本番中に携帯の音が鳴るとイラッとして、律儀にスマホの充電をちゃんと切ってる自分のマジメさも嫌だった

・高田はそんなに親しくない人にあだ名で呼ばれた時にそのことに触れる勇気は自分には無かったのでノーリアクションでふるまっていた

・高田は酔っぱらって偉そうなことを語った翌日に俺はなんてダサいやつなんだと深く反省していた

・高田は終電を降りてホームに歩いていく人たちを見ると、みんなどこに帰っていくんだろうと思い1人センチメンタルな気分になっていた

・高田はお気に入りの商品を店で見つけた時買い占めるのは悪いと思い1個や2個だけ残すことがあった

・高田は動物が好きだったが、やたらと吠えている犬がいると鬱陶しく感じていたので自分はただ懐いてくる動物が好きなだけなんだと考えを改め直していた

・高田は魚を食べるときいつもきれいに食べようと思っていたがぐちゃぐちゃになってしまっていた

・高田は古雑誌を紐で縛る時うまく縛れずユルユルになってしまうことがよくあった

・高田はお店の自動ドアに入るとき逆側から歩いてくる人と同じタイミングに入口に入りそうになるのを恐れて早歩きして先に入るようにしていた

・高田は行きつけのお店の店員と外で鉢合わせした時、顔見知りなだけでどうも気まずくなって無視をしてしまっていた

・高田はスマホは便器より汚い雑菌だらけという話を聞いてからこまめにアルコールを染み込ませたティッシュで拭いていた

・高田はヒゲが濃い人の顎あたりの青い部分の剃り跡を見ると、包丁で切り落として油でカラッと揚げたらザクザク食感のいいつまみみたくなるんじゃないかと思っていた

・高田は冷やしたペットボトルが部屋の温度で温まってコップに注ぐ時、水滴が自分の足の皮膚に垂れるのを極度に恐れていた

・高田は自虐的な日記を面白おかしく書いてるつもりの女の文章にイラッとしていた

・高田はドラマや映画が好きではなかったがたまに見ようと思い作品を選んでいても結局見たい作品が一つもないことがよくあった

・高田は毎日ヒゲを剃るのがめんどくさかったがヒゲを生やしたままだらしない奴に見られるのが嫌だったので、コロナでマスクをするようになるとヒゲを剃らないでもマスクで隠せるからラッキーだと思っていた


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