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スイスのツークでテスラタクシーの経営を考える人の話

クリプトバレー

スイスのツークという街はブロックチェーン企業が集まるクリプトバレーとして知られる。だが今日は、この街の主要産業ではなく、周辺産業のお話。

大阪に知り合いがいるという、あるドイツ人のドライバーから聞いたお話をご紹介しよう。

ツークへの道

スイス国外からツークを目指すルートには、近隣国から国際列車を乗り継ぐ方法と、いずれかの国際空港から陸路で移動する方法等がある。ツークに至近の国際空港としてよく利用されるのはチューリッヒである。

チューリッヒは北部スイス地方の中心都市であって、ルツェルン湖地方の北に位置する。チューリッヒ空港からツークの市街地までは、距離にしておよそ45kmないし50km程の道のりである。

ツークタクシー

チューリッヒからツークまでタクシーで移動する。

配車アプリに表示された車両を地図を見ながら探していると、大柄のドライバーが日本車の窓越しに声をかけてきた。ナンバープレートがアプリの表示と一致する。

配車サービスで選べる車両は都市や時期によって異なる。この時期チューリッヒでは、一般車両、エコカー、ハイヤーの3種別から選べた。注文した車両はエコカーの分類であり、価格はハイヤーの半額程度である。

そのエコカーに乗り込む。

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しゃべるタクシー

このタクシーは、よくしゃべるタクシーだった。

さあさあ、ここの駐車場は60分だけ無料だから、急いで出よう。

―――そう言って、すぐに走り出す。

あんた日本人かい?

―――そうだと答えると、うれしそうに話し出す。

日本車のオートクルーズは凄く良くできているよね。気に入っているよ。

―――と、愛車自慢が始まる。ここまではよくある。

日本車もいいけど、テスラも良くなったなあ。

テスラは高級車だから料金も高くとれるしね。

エコカーとハイヤーの間ぐらいの料金だったら乗るでしょ?

―――だんだん具体的な事業計画の話になる。

テスラは……サスペンションさえ良くなったら、ハイヤーに使えるなあ。

ベンツC200クラスぐらいのサスペンションになるのを待ってるんだ。

ドイツ人にとってはね、やっぱりC200のクオリティはないとね。

今度のテスラはサスペンション良くなってるんだよ。知ってたかい?

テスラを7台ぐらい購入して、ハイヤーの会社を経営したいな。

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―――それって、事業にして利益あるの?

だからツークに会社を置くんだよ。税金が安いのは知ってるでしょ?

ツークは税金が安いんだよね。ほんとに安くつくよ。

ツークで会社を始めたら利益が出るよね。

―――低税率というのは本当らしい。

でもね、不動産が高いんだよ。みんな、ツークに会社をつくりたいからね。

街中のオフィスで、何平米ぐらいで、このぐらいの家賃で……

高いよね?

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―――それで、ツークに土地はみつかった?

やっぱり、ツーク湖のほとりじゃなくちゃ、絵にならないよね。

それでね、湖畔に手頃な土地が見つかったんだ。

街中からはちょっと離れるけどね。

―――夕暮れの中を走っているうちに、車はツーク市内へ。

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やがて目的地に着く。

また呼んでね。


―――そう言い残して、エコカーは去って行った。

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Photos by H.Okada in Zug