見出し画像

『シリアル・イーター』

 wweeoo‼ 

 とある倉庫の前でパトカーが止まる。

 男が降りてきた。

「クリフォード刑事、お疲れ様です」

 警官が、クリフォードに敬礼する。

「お疲れ、奥さんと仲直りしたか?」

 クリフォードは、警官に言葉を投げながら倉庫の入り口に近づく。

「まだ……」

「さっさと謝っちまへ」

 はぁ~と、煮え切らない返事を返す警官を横目に、慣れた動きでテープをくぐり倉庫の中へ。

「お疲れ、サム」

「僕の名前は“サミエル“です」

 若い刑事が、クリフォートにツッコミを入れた。しかし、それと同時に顔色が急に青ざめる。

 サミエルはポケットから袋を取り出して、入口へ走る。

「現場で吐いてるうちは、“サム“で十分だ」

 クリフォードはシニカルに笑う。

「絞殺か……」

 笑みは死体を目にした瞬間に消え去す。

 倉庫の奥の壁。飛び出したフックのような部分から縄を使って吊るされている。

 クリフォードがライトを手に吊るされた死体を確認する。

「B・K」

 壁に描かれた文字を読み上げる。

「やはり、B・K絞殺魔の犯行でしょうか?」

 サミエルが帰ってきた。顔色は悪いままだ。

「サムの言うとりか……」

 サミエルがクリフォードの隣に並ぶ。

「B・K絞殺魔の犯行は何回目だ?」

「半年前をはじめに、今回で5件目です」

「首に索条痕が4つある……」

 クリフォードが疑問を口にしながら、慌ててライトをいじる。ブラックライトに変化させ壁に描かれたB・Kの文字を再度照らす。

「何ですか、コレ⁉」

 そこにはB・Kの文字に被るようにパックマンの絵文字が描かれていた。

「シリアル・イーター……」

「シリアル・イーターって⁉ あのシリアルキラーだけを狙うシリアルキラーですか⁉」

「そうだ」

「す、すみません!」と言ってまたサミエル刑事が走り出した。

「シリアルキラーを狙うシリアルキラー冗談にもほどがある……」

 クリフォードは、シニカルな……いや、冷たい笑みを浮かべながらシリアル・イーターのマークを見据えた。


【続く】


読んでいただいてありがとうございます。面白い作品を作ってお返ししていきたいと考えています。それまで応援していただけると嬉しいです。