読書記録 市川沙央 ハンチバック

ハンチバック 市川沙央
文學界新人賞
芥川賞

私はハンチバックを読んだ。これは私の大きな史実になると思う。

私はここ数日で純文学と呼ばれる小説を読み始めたわけだが、リアルな、そこにつくられた感情がないと断言できるものに初めて出逢ったように思う。それはまさしく、主人公が作者と同じ境遇であるからだ。
私は村田沙耶香のコンビニ人間を読んで、何が普通だ。普通を求めるな。人間であるまえにコンビニ人間であって何が悪い。そんな強い思いを受け取ったのだが、ハンチバックは真逆だ。(本質的に似ているのかもしれないが)普通を強く求め、健常者を皮肉る。それには私は普通ではないのだと、大きな声で、見てくれ、私は普通ではないのだと言っているように思えた。私はこれを読んで、そうだよね、苦しいよね、悲しいよね。そんな風に思うが、それを横目で見て、何かわいそうに思ってんだよ。見下しやがってと言われてる気にもなる。
私の感情の何が正しくて、何を想像することが正しいのか分からないでいる。ただ、自分にできて、それをできない人がいること。自分ができなくて、それをできる人がいること。それを想像して、じゃあどうするべきなのか考えることが、多様性というものなのではないかと思う。
こんな私の言語化では浅はかになってしまう。もっともっと深いところで、このハンチバックは人間の本質を表現している。
買った本なので、私はこの本を深く読んでいこうと思う。

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