あきらめなくても時間が来たらそこで試合終了ですよ

好きなマンガを聞かれたら少し迷って「SLUM DUNK」と答える。いちおう考えてみるのだけど、いまのところこの作品を超えるマンガには出会っていない気がする。「SLUM DUNK」といえばいろんな名シーンがあって、その中でも安西先生が三井寿に「あきらめたらそこで試合終了ですよ...?」と声をかけるシーンに思い入れのある人は多いと思う。しかし僕はあえて言いたい。「あきらめなくても時間が来たらそこで試合終了ですよ」と。

あきらめないということを否定するつもりはない。あきらめない心はとてもすばらしいし、大切なのだと思う。ただ僕は根性論が苦手なので、あきらめずに根性でなんとかしようという考え方を指示することができない。そこは代わりに頭を使おうということになるのだろうか。人生はバスケの試合ではない。あきらめずに続けるよりも、さっと別のことに取り組んだほうがうまくいくかもしれない。

マネジメントをする立場としても、ギリギリまであきらめないことよりも別のアプローチで問題を解決することが重要だ。もっと言えば、解決すべき問題を切り替えるべき状況もある。だからチームメンバーには早めにSOSを出してほしいと思っている。締め切り間際に奇跡的に間に合うよりも、3日前にゴールを変更しておきたい。仕事もバスケの試合ではない。もちろんメンバーから報告があがってくるのを待つだけではなく、こちらからも微妙な様子をうかがうようにする必要はある。

あきらめると悔いが残ると考える人がいるかもしれない。だから、あきらめずにやりきった結果、倒れても悔いはないと。しかし、そんな考えは子どもが生まれるまでに卒業しておいたほうがいいと思う。倒れてしまったら誰が子どもの面倒をみるのだろう。子どもが生まれたらゲームのルールは変わる。ゴールを達成するゲームは、生き残りをかけたサバイバルゲームに変化する。重要なのは倒れてしまわないことだ。そのためには、あきらめてしまってもかまわない。

時間が来たら試合終了というのには良い側面もある。苦しい状況もいつかは終わるということだ。つらい仕事も締め切りが来れば終わる。苦しいか楽しいかは人それぞれだけど、永遠に続くかのように感じる子育てもいつかは終わる。その間にやりたくてもあきらめていることはたくさんあるのだけど、あきらめている状況も期間限定だ。できないことは、その場ではどんどんあきらめて、できることをやっていければと思う。ルールもゴールも自分で自由に設定すればいい。人生はバスケの試合ではないのだから。

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