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気持ちのいい接客に感応させられた至福。

数年前から自己対話やアイデアを書くときにノートを使っている。

A4無地のツバメノート。

役者時代は演技についての整理や自己対話はA4無地のレポート用紙だった。

昔から大きな無地の紙に書く方がアイデアが湧いてくる。

筆記具は38年前のパイロット万年筆カスタム67初期型のBニブ(太字)。

書き味と太さがとっても好みで書いていて楽しくなってくる。

中々ないので1年程かけて4本

ヤフオクやフリマで集めたモノ。

その4本たちは書き味にムラがあって

ペン先を調整したいなぁってかねがね思っていた。


久しぶりに夜ノートを書いていて

ふとペンクリニックやっていないかしらと

検索してみたら翌日から週末の2日間横浜で開催されていることを発見。

しかもメーカーのパイロットのペンドクターによるものだった。

翌朝急いで開催している伊東屋に電話したら今日なら1枠、明日なら数枠空いているという。

予約は30分毎で、調整してもらえるのは1人2本まで。

その日はこれから整体指導だったので翌日の日曜で予約させていただいた。


翌日、何年ぶりだろうというくらい久々に横浜に降り立った。

雨混じりだったせいか

伊東屋が入っている高島屋や地下街はものすごい人混みだった。

先ほど参拝してきた穴守稲荷神社や羽田神社は雨で人がいなかったので対照的で人酔いしそうなほどの賑やかさ。


予約時刻まで少し時間があったので

事前にチェックしていた美味しいチャーハンのお店で先に食事をしようと行ってみたら20人くらい行列ができていた。

うへっ(>_<)

これ並んだら絶対に予約に間に合わないやん。


少し時間をつぶして10分ほど早めに伊東屋に着いたらペンドクターとおぼしきかたが1人で座っていた。

それがパイロットのペンドクター長谷川さんだった。

前の人の対応はすでに終わっているみたい。

ちょっと早いけれど声を掛けてみたら

やはり前の方の調整が早く終わったとのこと。

予約している日比さんですね、お掛けくださいと声を掛けていただいて

ぼくの万年筆のペンクリニックが始まった。


調整して欲しいのはこの2本なんですと伝えて

カスタム67初期型をテーブルに並べた。

たぶんペンドクターの長谷川さんがパイロットに入社される前に製造されたであろう万年筆。

もうメーカーにも部品は残っていないんですとおっしゃられてルーペでペン先を確認されていた。

ペン先にズレが生じているので調整します

そうおっしゃって作業は始まった。


このペン先の書き心地が好きなんですとお伝えしたら

試しに書いてみてくださいと

ペン先だけの状態と、軸も付けた状態で書き比べをさせてもらった。

同じペン先なのに、全く異なる書き心地なのに驚かされた。


このペン先がお好きだったら、この万年筆の書き心地はどうですか?

と、調整をしておられるあいだに

現行で販売しているいくつかの万年筆を試し書きさせてもらった。


試し書きさせてもらった万年筆は高級な物も混ざっていたんだけど

微妙に好みじゃなかった。

ホントに微妙な違い。

もともと万年筆は嗜好品だからね。

ぼくにとっては38年前の一時期に製造された品物がハートを掴む代物であることを再確認できた。


長谷川さんに診てもらった2本はペン先の歪み調整だけで

微妙にひっかりがあった書き心地が滑らかに生まれ変わった。

ペン先の研ぎ直しがなかったことと

予約時刻より10分ほど前から始めていただいたせいで

その時点でまだ本来の予約時刻を少し過ぎただけの時刻だった。


1人につき2本までと案内に書かれていたんだけど

実は直前までどの2本を診ていただくか選ぶのに迷っていた。

ぼくは実は他の2本も持参しているんですと、おそるおそる長谷川さんに打診してみた。


その2本も診てみましょうと、すぐに答えていただいて

贅沢にもさらに2本の万年筆も診ていただけることになった。

そのうちの1本はメーカーのペンドクターの長谷川さんにも

これは書き心地がいいですね、と褒めていただけるペン先だった。

結局、実際に使っているカスタム67初期型4本を全部点検していただる運びとなった。


自分が大切にしているモノ

好きなモノを介して接客していただいた時間は正味20分ほどだったんだけど

お店をあとにしたぼくの内面がまったく違ってしまっていた。

ペンクリニックに行く前のぼくは

大勢の人でごったがえしている人混みに反応してしまって

なんだかすごく居心地が悪い状態になっていたのに

ペンクリニックの後のぼくは

接客での体験で内面が喜びに満ち満ちて

先ほどまで反応してしまっていた人混みが全然気にならなくなっていた。

心地いい接客を体験して気の感応が生じてしまった結果だった。


調整を施したペン先で試し書きをしているときに

持ち主がどう感じているかを見逃さないよう

ぼくをまっすぐ見つめていた目がとっても印象なペンドクターの長谷川さんでした。

短いけれどぼくの記憶に刻まれた接客体験をさせてもらいました。

ありがとうございます。



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