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『天気の子』はネイティブアドのお手本詰め合わせパックだった

前作『君の名は。』が地上波放映されたとき、CMが作品と連動したものだったのにも驚かされたけれど、『天気の子』はネイティブアドのお手本詰め合わせパックでした。多くの人の興味関心を集めている作品っていうのもあるけど、コンテンツマーケに関わる人は絶対に観た方がいいです。

以下、物語のネタバレはありません。鑑賞前に読んでも大丈夫な内容になっていますが、心配な方は避けてくださいね。

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作中にメインスポンサーの商品がゴリゴリ出てくる

作中にメインスポンサーの商品がゴリゴリ出てくるけれど、それでいて不自然じゃないのがよかったです。序盤ではソフトバンクの白戸家のお父さんが「そのへんの犬」として出演。予告編では「白戸家のお父さんを探そう!」と銘打ったキャンペーンの告知がされていました。

主人公・帆高は行き詰まると「Yahoo!知恵袋」で質問するし、初めて振舞ってもらった料理は「チキンラーメン」のアレンジだし(変化球レシピ! クラシルとのタイアップだそう)、バイト先の事務所のデスクには「サントリー 天然水」と「伊右衛門」。

ネットカフェで帆高がTVを観ながらどん兵衛をすするシーンでは「どん兵衛」のCMが流れます。随分前に放映されていた「どんぎつね」バージョンのCMだったので作中の時間軸が気になる……。

『天気の子』のスペシャルスポンサーは7社。サントリー食品インターナショナル、増進会ホールディングス(Z会)、ソフトバンク、ディップ、日清食品、ミサワホーム、ロッテが名を連ねます。コラボレーションCMも、流石の作り込み。

一番笑っちゃうのは、日清カップヌードルのCM

コピーは「2分でも、うまい。」。作中でカップヌードルすする主人公が、3分待ちきれずに即すすっちゃうシーンを全面的にプッシュしたCMです。公式アナウンスを覆す手法、前にも見たぞ……あ! 10分どん兵衛だ! これは思わずやりたくなっちゃう。「聖地巡礼」よりトライしやすいし、コンビニで即手に入るし、流石だなーと。「今日のご飯は適当にカップヌードルでいいや……」のネガティブ消費から「今日はカップヌードルにしよう!」のポジティブ購買になる。これはブランドにとっても大きい。

リアルな商品がアニメの解像度を上げてくれる

漫画の中でリアルな商品が出てくる例、有名なのだと『エヴァンゲリオン』シリーズに出てくるミサトさんの「ヱビスビール」(新シリーズでは「獺祭」も)。自宅の冷蔵庫に大量にストックしていましたけど、キャラクターの生活スタイルと経済力がわかってリアルだなと。

昔は「ミサトさん若いのに自宅でこの量の酒を常飲するって……やばい女じゃん」と思っていたけれど、今思うと29歳で宅飲みのためにヱビスビールと高級日本酒獺祭をレギュラーで買えるのすごいなー! さすが国背負ってるだけあるな! って素直に感動したものです。私は29歳のころ、毎日安い発泡酒と缶チューハイ飲んでたよ。今もだけど。

ちなみに、『天気の子』に出てくるアルコールは「サントリー ザ・プレミアム・モルツ」「サントリーウイスキー角瓶」「Maker’s Mark」「ほろよい」などなど。もちろんすべてサントリーの商品です。それぞれのキャラクターにぴったりでした。ある男性キャラは、プレモルよりも安い発泡酒飲んでそうだな〜と思ったけど、お祝いのシーンだったし違和感なし。

Twitterで流れまくっている「サントリー天然水」CM

サントリーはノンアルコール飲料もお酒も豊富なラインナップを抱えているので、どんなシーンにも対応可能なのがすごいですよね。メインスポンサーということで、作品と連動したTV・WEB CMも。

雨の日にだけ流れる新バージョンも、昨日公開されました。関東も梅雨明けしたから、レアになるかも。


ソフトバンクのTVCM

ソフトバンクのCMは、イヤホン半分こしながら『君の名は。』観てる……! ワイヤレスじゃないのか? 時代背景がわからなくなってきますね。作品の中で国立代々木競技場は完成してたけど、池袋のシーンでも今月閉館したシネマサンシャイン池袋がばっちりうつってました……いつなんだろう? 小説読めばわかるかな。 

すでにブランド認知されている商品って、継続して仕掛けていかなきゃいけません。ドラマや映画とのコラボレーション施策は予算莫大にかかるだろうけど、マーケ楽しそうですね。

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