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えっ!自販機から焼き鳥 石巻市双葉町「翔輝」 古くも新しい無人販売

 石巻市双葉町の焼き鳥店「やきとり翔輝(しょうき)」(草野雄太代表)は、店頭に自動販売機を模した焼き鳥の無人販売機を設置した。ユニークな取り組みが口コミで広がり、新型コロナウイルスの影響が広がる中、古くも新しい販売方法としても注目を集めている。【外処健一】

 赤い長方形の筐体(きょうたい)は大きさからして自販機にしか見えない。でも近寄れば少し違う。保温器の中に4本袋入りの焼き鳥パックが並んでいた。たれ、塩各1パック500円。硬貨を投入し、保温器の引き戸を開けて塩のパックを取り出す。

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 焼きたてのようにホカホカ。専門店だけに味はお墨付き。夕方から客が増え、おのおの自販機感覚で焼き鳥を買っていく。同市鹿又から来た佐藤恵也さん(38)は「待ち時間がないのですごく楽。おいしかったらまた寄りたい」と話していた。

 コロナ禍で店の売り上げが減る中、草野さんが考えたのは非対面式の販売方法。道路沿いで目にする野菜の無人販売でひらめき、自販機風の筐体をイメージした。素材はべニヤ板、上部に焼き鳥用の保温器、下部には総菜が入る冷蔵庫。「豚のあたりめ」(400円)が売られていた。

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 筐体は市内の工務店で手作りしてもらい製作費は10万円。コロナで店の売り上げは前年比40%減だったが、7月7日に販売機を置いてからは好調で、今やこれ1台で店の売り上げの3割をたたき出す。

 「やっていることはアナログ。でも珍しさから毎日午後8時ごろには売り切れる。その都度補充しても追いつかない日もある」と草野さん。自販機なら24時間営業と思いきや筐体の側面に営業時間が明記され、午前11時から午後9時までだ。

 焼き鳥の盗難もありえそうだが、道路沿いや店内からも人の気配が分かるためか、いまだ1件もない。それ以上に「頑張ってください」と手紙が差し込まれていたり、金額が多く入っていたりする日もあったという。

 2号機の設置場所も決まり、市内に5機程度置く考え。草野さんは「コロナ禍で飲食店は大変な時期。みんなに真似してもらって古くも新しい手法を広げたい」と話す。客は大人かと思いきや「中高校生が多いですよ。店には入れないですからね」。焼き鳥を買って帰る学生。想像するだけで心が温かくなる。


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