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昭和の日に「昭和の名曲」 石巻市複合 文化施設 こけら落としコンサート

 石巻市の複合文化施設「マルホンまきあーとテラス」=石巻市開成=で29日、こけら落とし公演「宮川彬良×ぱんだウインドオーケストラ エモいぜ!昭和!ナウいよ!昭和ぁ~!」が開かれた。施設は震災で被災した石巻文化センター、石巻市民会館の後継施設として1日に開設。これに先立って3月28日に人間国宝による狂言の公演が予定されていたが、コロナ禍で中止となり、今回のコンサートが事実上のこけら落としとなった。

 開会のあいさつで宮川さんは「このホールで音を響かせるのは自分たちが初めて。偶然だが、きょうは昭和の日でもあり、開館を祝いながら存分に昭和の空気を楽しんでほしい」と語った。

マキアートテラスこけら落とし (39)

大ホール特有の豊かな音が響き、市民を魅了

 第1部ではコメディアンの植木等さん主演で大ヒットした「ニッポン無責任時代」の主題歌「無責任一代男」や「スーダラ節」など、昭和に活躍したジャズバンド、ハナ肇とクレージーキャッツのメドレー、現在も根強い人気を誇るアニメ「宇宙戦艦ヤマト」の組曲などを披露した。

 第2部では昭和を代表するテレビ番組「ゲバゲバ90分」のテーマから始まった。男女3人組の歌い手「ダイナマイトしゃかりきサ~カス」が加わり、ふたごの女性歌手として一世を風靡(ふうび)した「ザ・ピーナッツ」のメドレーを届け、最後はきらびやかで陽気な「マツケンサンバ」を演奏。ホール全体に響く心地よいリズムが会場を一つにした。

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座席間隔を空け、マスクも着用。コロナ禍でのこけら落としとなったが、順調にスタートを切った

 同市南境の日野和子さん(69)は「こけら落としに立ち会えるのはとても光栄で、いい記念になった。近所に立派な文化施設があるのはとても恵まれていると感じる」と話していた。【渡邊裕紀】


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文化拠点 上々スタート
低いステージで見やすい出演者
どの席でも充実の音響

 4月29日にマルホンまきあーとテラス=石巻市開成=の大ホールで行われた「宮川彬良×ぱんだウインドオーケストラ」のコンサートは、待ちに待った市民の期待に応え、楽しさいっぱいの一流のエンタメを届けてくれた。石巻の新たなシンボルは、上々のスタートを切った。

 3月に予定されていた開場セレモニーや人間国宝野村万作さんらによる記念公演がコロナ禍で中止になり、結果的に今回がこけら落としとなった。当日は雨の中、観客が続々詰めかけ、開演前のロビーは華やいだ雰囲気に包まれた。

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1254席の大ホールは、広い空間ならではの残響が魅力の一つ

 ぱんだウインドオーケストラは、平成23年に東京芸大入学生を中心に結成された。ステージに上がった48人は、白のブラウスに黒のパンツの女性、上下を白でキメた男性、白地に黒の水玉模様のワンピースの女性などそれぞれが自由な〝パンダ配色〟の衣装で目を楽しませた。

 若々しいオケのこれまで10年の歩みは、石巻市の復興期間と重なる。コンサートマスターは、世界レベルで活躍するサックス奏者の上野耕平さん。テレビ番組でもおなじみの作編曲家の宮川彬良さんが指揮者として登場すると、大きな拍手が沸いた。

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宮川彬良さんの作り出す親しみやすい音楽の世界が広がった

 1曲目「シンフォニック・パラダイス」でいきなり大音響が鳴り響いた。真新しいホールの響きは、新鮮で真っすぐに耳に届く。組曲「宇宙戦艦ヤマト」は、宮川さんの父・泰さんの代表作。意図したわけではないが、石ノ森萬画館を抱える石巻市に連動するプログラムのように感じられ、ワクワクさせられた。

 後半は3人組ボーカルグループ「ダイナマイトしゃかりきサ~カス」がゲスト出演。登場シーンで「まきあーとテラス イシノマキ~」とハモってサービスしてみせた。続いてザ・ピーナッツメドレーなど昭和歌謡を披露。初共演とは思えないオケとのテンポの良さ、安定感抜群のハーモニーに観客はどんどんのせられていった。

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ぱんだウインドオーケストラを率いるサックス奏者の上野耕平さん。世界でも屈指のソロ演奏を届けた

 宮川さんの軽妙なトークもあって、一流の演奏と楽しさが合わさった約2時間のステージは、理屈抜きにウキウキさせた。アンコール2曲を終えると、一階席はスタンディングオベーション。両手を頭上でたたく人々の喜びようは、大満足の証だった。

 この日、最も気がかりだった音響は、おおむねどこの席でも、雑味なくしっかり聴くことができた。今回は管楽器や打楽器が主体だったが、今後、音の深みや余韻などがどれだけ表現できるかは、公演を重ねて見出していくことになる。

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歌い手を務めた「ダイナマイトしゃかりきサ~カス」も美しいハーモニーを響かせた

 また、ステージが低く設計されているので、一般的なホールに比べて出演者の表情が非常に見やすい。そういう面での生の醍醐味も、このホールの特徴になりそうだ。2階席を含め、どの位置からも見やすかった。ラスト曲「マツケンサンバ」でミラボールが使われた以外、今回の照明は単調だったが、これからさまざまな公演の内容に合わせた工夫が見ものだ。

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1曲終わるごとに大きな拍手が会場を包んだ

 とにもかくにも船は出航した。興味深く刺激的なプログラムと同時に足の便など市民目線の運営を期待したい。コロナ対策を万全にした上であることは言うまでもない。【本庄雅之】


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