A　いつも行くカフェでさー
B　うん
A　入り口からすぐ入ったとこに席があるんだけど
B　うん
A　そこってさ、毎回扉開いて寒いし、人通りもすごいし、席料取るとしたら、C席だと思うんだよね
B　うん、なるほど。え、じゃあA席は？
A　独立した席があるからさ、それがA席。電源もあるし
B　なるほどなるほど
A　ところがさ
B　うん
A　その入り口からすぐのC席に、いつも座る人がいるわけ
B　おお
A　どんなに空いてても、そこに座るわけ
B　彼にとってはC席じゃない何かがあるのかな？
A　ね、だからさ、こないだ早く行ってその席座ってみたんだよ
B　おお
A　そしたらさ、やっぱC席なんだよ、居心地
B　なるほど
A　でもさ、暫くしてやってきたいつものC席のその人がさ、座れなくて悔しがっててさ
B　うん
A　その姿見たら、急にC席がいいものに見えたんだよ
B　よくないな
A　よくないよね、そうなんだよ、よくない思考が芽生えたんだよ
B　うん
A　要するにさ、誰かが欲してるものって、よく見えるんだよ
B　あー。ん、だとするとさ、そのいつものC席の人もさ、誰かが価値ある風に座ってるの見てて、あそこに座ってたってこと？
A　あるいはね。もしくはめちゃくちゃ有名人が座ってたのを、昔見ちゃったとか
B　それは人によっては価値あるな
A　あるよね
B　え、で、どうしたの？
A　さりげなく、譲った
B　何で？
A　だってそのロジックに気付いてるし、有名人なんて絶対来ないようなカフェだったから
B　なるほどね