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飛騨市伝承作物「白たまご」を使ったスパイスレシピ


飛騨市伝承作物認定第一号の「白たまご」とスパイスを使ったレシピ考案をさせていただきました。気候変動だけでなく健康な食を支えるはずの野菜や食物がその本来の役割が薄らいでいく品種改良(遺伝子組換えやゲノム編集)がなされ、「人」を「良く」するという本来あるべき「食環境」が壊れていく昨今、自分の住む街に在来種・固定種の伝承作物がある!というのはとてもありがたいことです。特に今年は春の遅霜、夏の猛暑と、過ごしやすいはずの秋が殆どなかったという気候条件のもと、収量もかなり少なかったと聞きます。ワインの世界ではこういう年による出来の良し悪しも含めて「ありがたく楽しむ」というステキな文化があります。ブドウには出来の良い年も悪い年もある。出来の悪い年のがあるから良い年のワインの美味しさに感謝できる。良い年があるから出来の悪い年の厳しさを慈しむことができる。こういう思考がベースにあるから出来が良かろうが悪かろうが大きな価格な変動がなく経済面でも生産者をしっかりと支えることが出来るし、その年の天候や自然環境を含めたワインを取り巻く全てを「価値」として捉えることができる。僕はこの考え方がとても好きです。これは飛騨市に限らず地域において言えますが貴重な伝承作物をより多くの方に楽しんでいただき、その需要を増やしながら生産量を上げ、しっかりとその地域の方が「食べつなぐ」ことでもっと有機的に伝承していくんだろうなと思います。
そんな思いで今回レシピ考案をさせていただきました

「白たまご」とは

飛騨市伝承作物 第1号 「白たまご」

飛騨市伝承作物 第1号 「白たまご」
飛騨市伝承作物制度のはじまりとなった作物である「白たまご」。白いんげんの一種であり、丸く、たまごのような形をしていることから「白たまご」と呼ばれています。寒いところでしか豆にならず、標高が高く、気温が低い場所での栽培が適していることから、飛騨市では主に神岡町山之村地区で栽培されています。
山之村地区では少なくとも80年以上前から栽培され、食べられてきたと言われており、冠婚葬祭の時には欠かせない食べ物として、主に煮豆にして食べられてきました。

白たまごのレモンスパイスカレー

白たまごのレモンスパイスカレー

・「白たまごのレモンスパイスカレー」は動物性食材を一切使っていないレシピでありながら。白たまご豆の食感や味わい、塩気の酸味のバランス、スパイスの香りが渾然一体となって満足感のあるスパイスカレーとなっています。いろんなイベントに出店させていただくと「スパイスカレーを作りたい!」という方がとても多い事がわかります。スパイスカレーはスパイスの香りとともに食材の風味含めて五感で楽しめる料理です。簡単なレシピですので「白たまご」ではない豆でもぜひお作りいただきたいと思います。

使用する食材

【材料(3~4人前)】
白たまご豆…120g(乾燥)(水戻し250g)
玉ねぎ…170g(中玉1個)
飛騨トマト…140g(中玉1個)
生姜…30g
にんにく…10g(2かけ)
レンコン(季節野菜)…50g
植物油…大さじ3
ココナッツミルク…160ml(水でも可)
ヨーグルト…50g
カレー粉…大さじ2
※フェンネルシード…小さじ1/2(あれば)
塩…小さじ1
水…100~200ml(水分量はお好みで調整してください)
レモン汁…大さじ1(1/2個)
レモンピール…1/2個(お好みで)

作り方

【下準備】
①白たまご豆は360ml~400ml(豆の約3倍量)の水で一晩浸水し水戻し、800ml~1,000mlの水で、水の状態から硬さを見ながら15分~30分塩茹でして、ちょうどよい硬さ(ホクホク感)になったらザルなどでお湯を切っておきます。
②玉ねぎ、生姜、にんにくを微塵切りにカット。トマトを角切りにカット。レンコンなど季節の野菜をいちょう切りにスライス。
③レモンピールを微塵切りにカット。(レモンピールはよく洗ってから使用ください。)

【調理手順】
①フライパン(鍋)に植物油を入れ火にかけ、玉ねぎを入れ中火~強火で炒め水分を飛ばし、にんいく、生姜を入れ焦げないように全体がキツネ色になるまで炒めたら、強火にしてトマトを入れトマトの水分を飛ばします。フェンネルシードがある場合はこの段階で投入します。
②トマトの水分がある程度飛んだところでカレー粉・塩を入れ粉っぽさがなくなるまで混ぜあわせ、ペースト状になったら、白たまご、レンコンなど季節の野菜、ヨーグルト、ココナッツミルク、水を入れ、沸騰したら弱火にして蓋をし約15分ほど煮込みます。
③15分煮込んだら、レモン汁、レモンピールを入れ混ぜたら完成。盛り付ける時に輪切りのレモンを添えると彩りが良くなります。

白たまごと柿のライタ

白たまごと柿のライタ

「白たまごと柿のライタ」はインド地方でよく食されるヨーグルトのサラダ「ライタ」がベース。柿の甘みと白たまごのホクホク感、スパイスの効いたヨーグルトの酸味が一体となって、サラダはもちろんデザートとしても、そしてカレーやビリヤニに混ぜても美味しく食べていただけます。今回は柿を使いましたが季節のフルーツや野菜を入れて作ってみてください。フレッシュの柿がなくなったら干し柿でやっても美味しいですよ

使用する食材

【材料(3~4人前)】
白たまご…50g(乾燥)(水戻し100g)
柿…1個
レモン汁…大さじ1
砂糖…大さじ1
塩…少々
ヨーグルト…150g
クミンシード…小さじ1/2
ブラックペッパー…小さじ1/2
イエローマスタードシード…小さじ1/2(※お好みで)

作り方

【下準備】
①白たまご豆は、150~200ml(豆の約3倍量)の水で一晩浸水し水戻し、水の状態から硬さを見ながら15分~30分塩茹でして、ちょうど良い硬さ(ホクホク感)になったらザルなどでお湯を切っておきます。
②クミンシード、ブラックペッパーは乾煎りしてフードプロセッサーかすりこぎで粗目につぶしておく。イエローマスタードシードは乾煎りしておく。(※お好みで)

【調理手順】
①ボウルにヨーグルト、砂糖、塩、レモン汁、下処理したクミンシードとブラックペッパー、イエローマスタードシード(※お好みで)、白たまご、柿を入れてよく混ぜたら完成。

スパイスカレーはJAZZのセッションのようなもの

ちょっと作ってみてくなりましたか?
地元に伝承野菜があるか調べてみよう!とか、普段食べている食がどんなふうに作られているんだろう?とか少しでも感じてもらえたら嬉しいです。

皆様も地元の伝承野菜や在来種、固定種の野菜を見つけたら「貴重な野菜に出会えて幸運だ!」とぜひこれらのレシピをご参考にアレンジしてみてください。スパイスカレーの良いところはジャズのセッションのように、様々な食材のアレンジを楽しめるところです。ある程度の知識や技術があれば、とても寛容に様々な食材や思いを受け入れてくれます。
ぜひ美味しい野菜や食材のスパイスセッションを楽しんでいただければと思います。

飛騨市公式食の情報サイトはこちららから

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