私の耳
前回は、私の聴覚の悪い部分ばかりを綴りましたが、そうではない部分もお話しておく方が良いような気がしました。
「そんな耳が本当なら、どうやって曲を作り・音大に合格したの??」
だったんでしょ?
今日までは私だけが知っていることでしたが、別に種も仕掛けも、コネも裏手回しもありません。
一言で言うなら、「調性音楽の理解と作曲にのみ、全振りした聴覚特性」なのでございます。
1、全てが「正しくピッチ補正」されて聞こえる
私は、歌ってみた動画とかについている「音痴」という評価のコメントの意味が、全く分からない人間でした。
普通の音感を持ち、音感が鍛えられている人からすると、「上ずり過ぎたミ」の音は、ファとの中間となり、「ミなんだかファなんだか分からない」という受け取り方になるはずです。
しかし私の耳は、そういう状態の音が提示されても、無意識に「前後の文脈等から、”より適切な方” で聞こえる」のです。つまり音痴には聞こえず、「特に問題なく、正確に歌唱・演奏」されたようにしか感じられません。
これは ”自感覚として” は、「分析して推定している」のではありません。少なくともその自覚はありません。勝手に、自動的にそう聞こえます。
何せ、作曲も耳コピも始める前から、ほとんど生まれつきこうでした。
いま現在は少しは耳が矯正されたため、「高すぎるミで、ほとんどファ」という聴き方も「集中する」ことによって可能です。
そして「ぼーっと聴く」ことによって、補正された方で幻聴できます。
概ね、機能のオンオフが可能です。
◆
2、「手持ちに無いコードの語彙」部分が色分けされて聴こえる
これは、本当に作曲の学習に全振りの、特殊能力です。
自分で言うのはアレですが、ほとんどチート能力だと思います。
どういうことかと言うと、「あまり聴いたことの無い、”まだ自分では使いこなせない” もしくは ”自分では思いつかない” 和声的ボキャブラリーの箇所は、そこだけ体が反応する」のです。
この機能は、なんと集中していなくても発動します。
ほぼ頭を使わず、ぼーっと聴き流していても、「今のところ何!?」という感じになります。
これによってどうなるかと言うと、「勉強目的の耳コピが、最小限の箇所のみで済んでしまう」わけです。常に最高効率です。
よく見知っていて、自作品の作曲の中で自由に使えるボキャブラリーは、そもそも耳が聞き流せるようにできています。
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3、階名「ド」の位置が瞬時に分かる・調判定が速い
これは高校生の頃からでした。
私のnote記事で度々 出て来る「調性スキーマ」という奴が、当時から発達していたことになります。小学校のリコーダーと、吹奏楽部での活動以外に楽器とか歌とかなんかやっていたわけではないので、当たり前に音楽一家に生まれた人からすると、謎らしいです。
でもそれは多分、彼らが絶対音感を持っているからだと思います。絶対音感が全く無い人間が居ると仮定するならば、「音感の第1ステップ目」は、これなのです。これが出来なきゃ何も出来ないです。
生まれつき全盲の人に「点字 覚えてるの凄いね」とはあまり言わないはずですが、それとほぼ同じ構図になっています。
ちなみに私は、二親等以内に楽器を弾いたり、楽譜を読める人間が居ません。一族でほぼ私だけです。
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4、ノンダイアトニック・コードが色分けされて聴こえる
前項目とセットでほぼ同一の内容ですが、これも高校生の頃には発現していたものです。具体的には、曲を聴きながら「今、臨時記号あった」と瞬時に反応できました。これもほぼ自動的です。
※実際の譜面は、転調があっても必ずしも調号を書き換えてあるとは限らないので、その意味でやはり「今、ノンダイアトニック・コードだった」というニュアンスです。
しかし、これに関しては、相対音感のある人なら結構、可能な人が多いかと思っています。下記の動画の、2問目と7問目の由来です。
(シリーズ化しようと思ってたけど、なんかコメントがつくのがしんどかったので頓挫しました。)
しかし私の場合、重要なのは「コードを聴き取ることができ、→そこからノンダイアトニックかどうかを判断する」のではなく、「コードを聴き取る前段階で、ノンダイアトニックかどうかだけ先に分かる」のです。強烈に。
なんなら今でも私、ダイアトニック・コードを拾うことよりも、長調Ⅲ△(Ⅵ調のⅤ)だとか、特定のノンダイアトニック・コードの方が瞬時に拾えます。「今のⅣ?Ⅴ?」とかモタつく場合あります。中々 理解されません。
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5、音名も階名も分からない状態でも、旋律は覚えられる
私は、曲を覚えるのがかなり早い方だと自負しています。
「いつ練習してんだ、作曲者とグルなの?」という速さで歌ってみたを投稿する方が居るかと思いますが、水準としては彼らとスピードで張れます。
なんですけど私、旋律(主旋律に限らない。ベースラインなども)を覚えていても、ピアノや他の楽器ではすぐに弾けないのです。
頭の中では(※気まぐれなキーで)正確に鳴っている(ので歌うことはできる)のですが、それを階名で言えとなると、一音一音につき「えーと…」の時間が必要となります。
(無論、直接 音名は ”不可能”。絶対音感が本当に無いから。)
ゆえに私にとって「旋律を覚える」ことは、「階名で把握する」こととは明確に別の手順となっています。
これは、この両手順が融合していて1手順である人や、反対に相対音感への理解が無い人からすると、ややこしい性質のようです。
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6、一度でも聴いた曲の、コードの ”機能” 部分を思い出せる
これも中々のチートかもしれません。
流石に「絶対音感で、どんな曲も丸ごと思い出せる」のには劣りますが、実際に鍵盤などで音を弾きながら、少なくとも「こんな和音では無かったよな」ということまでを、概ね確信を持って思うことができるため、消去法でコード進行を大体 復元的に思い出すことができます。キーは適当ですが。
理論的知識の理詰めで良い所までいけます。
あまりにコードが細かく複雑だったりすると「原曲を参照した方が早い」し、あるいは「変わったコード付け」だったりすると、勘違いしたままということがありますが、そこまで「素直じゃない曲」でない限りは、特に原曲をいちいち参照しなくても、「一般人が違いに気づかない」くらいの精度のものは、鍵盤があれば弾くことができます。
「流暢に上手に」は弾けませんけどね。
楽器はとても苦手です。
これはほとんど、運動神経の問題と化しています。
あなたはいくつ当てはまったかな?コメントで書いてね。
全てが「正しくピッチ補正」されて聞こえる
「手持ちに無いコードの語彙」部分が色分けされて聴こえる
階名「ド」の位置が瞬時に分かる・調判定が速い
ノンダイアトニック・コードが色分けされて聴こえる
音名も階名も分からない状態でも、旋律は覚えられる
一度でも聴いた曲の、コードの ”機能” 部分を思い出せる
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とはいえ、全ては両面的です。今回 綴ったように、物凄くアドバンテージを得た一面もあるし、前回 綴ったように、私は音楽活動で苦労もしました。
決して「全て持っている」人間ではありません。大抵の人とはお互い様のはずです。そこの所よろしく。
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