卒業式②
無事卒業証書を貰った私は、写真を撮るために友達と合流した。
憩いの広場で、集合してとにかく写真を撮りまくる。
仲良いメンバーはもちろん、一回生の頃に何度か誘ってもらったフットサルサークルの人達、一回生の頃中国語で一緒だった友達などと写真を撮った。
それでも30分で、撮る相手がいなくなった。
仲良い友達達と顔を見合わせて、「もっとたくさん友達作ればよかった。」と笑い合った。
多くの学生が写真撮影を継続してる中、私とAは早々にたまり場であるSの家に避難した。
ワイワイしている学生達の輪から距離を置きたくて仕方がなかったからだ。
部屋に入るなり、スーパードライを開けて、「卒業おめでとう」と乾杯をした。
Aは私が大学生になって初めてできた友達で、結局最後の最後まで一緒にいた。
Aは私が属する仲良しグループのリーダー的な存在だ。
彼の周りに集まってくる友達は個性豊かで面白い人達ばかりで、4年間いっぱい笑わせてもらった。
改めてAと引っ越し直前のモノがないSの部屋で2人で対面すると色んなことが込み上げてきた。(ちなみにSは外出時も鍵を閉めることがありません。)
たまたま一緒だったゼミの自己紹介で、私がオチの弱い話をして滑ったこと。それをイジってきたAと仲良くなったこと。
1年生の時にAや他の友達と行った横浜旅行のこと。
Sの家でポーカーやブラックジャック、麻雀ばかりしていた2年生の頃。
就活中に誰も内定がない時に開かれた、盛り上がらない飲み会。
Aが内定した本社に一緒について行った時に、話したお互いの将来のこと。
ゼミ中に私の第一志望からの合格連絡が来て、Aと抱き合って喜んだこと。
いろんな思い出が込み上げてきて泣きそうになった。
Aと出会えなかったらどんな大学生活になっていたか見当もつかない。
出会えて本当によかったなと思う。
私は4年間ありがとうと一言伝えたいと思ったけれど、照れが生じてしまい、言うことができなかった。(ちゃんと伝えたらよかったな後悔している。)
Aは来年度から大手のメーカーで働く。(私の勤める会社のライバル会社)
お互い最初は工場のある僻地に飛ばされることが決まっているので、お互い頑張ろうという話をした。
Aは見た目はガラ悪いけれど、頭がよく、とても気さくで気が利くやつなので、優秀なサラリーマンになるのだろうな。
そして決して顔はカッコいいとはいえないけれど、その優しさと巧みな話術で1人の女性を幸せにするんだろうな。
いつかお互い歳を重ねて会った時は、いろんな話を聞かせてくれよ。
俺もその時までには、オチのしっかりした話をできるようになっておくからさ。
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