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「憲法記念日」に思う。


5月3日は憲法記念日。1947年5月3日に現行の日本国憲法が施行されたことを記念して、1948年に公布・施行された祝日法によって制定された祝日です。2023年5月3日で77年目を迎えるわけですが、「日本国憲法」について思うところを記しておきたいと思います。

近いところで「憲法」が話題になったのは、本来的な意味での注目ではないのが残念ですが、憲法審査会でしょうか。衆・参の各『憲法審査会』では、国民投票や選挙制度をはじめとした議論が行われており、少しずつではありますが「憲法改正」についても、国民の皆さんが考える機会が増えてきたのではないかと感じています。

日本国憲法は第二次世界大戦以後70年以上改正されておらず、世界に200近くある現行憲法の中で、改正されずに存続した期間が最も長い憲法です。ちなみにOECD加盟国でもっとも改正回数が多いメキシコでは、100年ほどの間に250回ほどの改正がされています。
近代国家における憲法は、人権規定(自由と権利の保障など)と統治機構(権力分立や権力抑制など)で構成されており、国民が直接または国民から選挙された代表者によって制定され、成文化がされており、改正を認めるものの通常の法律よりも厳格な手続きを要するものがほとんどです。
ただ例外的に、例えば、憲法典としては成文化されていない(不文憲法)イギリス、ニュージーランド、サウジアラビアなどの国があったり、大統領が憲法と人権の保証人だとされているロシアなどの国があったりします。
(参考:「G20 各国における近年の憲法改正」国立国会図書館)

https://dl.ndl.go.jp/view/prepareDownload?itemId=info:ndljp/pid/12767594

(参考:「G20各国の憲法概観」国立国会図書館)https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_10856723_po_0973.pdf?contentNo=1

日本国憲法でも改正に関する規定があり、具体的には「 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票において、その過半数の賛成を必要とする。」(96条1項)と定められています。
先に述べたように、通常の法律よりも厳格な要件があるとともに、国民の直接投票を経る必要があります。国民投票の手続きは国民投票法が定めていますが、広告規制や資金規制のあり方や、最低投票率などの課題があるとして、まさに今議論が行われている最中です。
(参考:「国民投票制度のポイント」総務省)
https://www.soumu.go.jp/senkyo/kokumin_touhyou/syushi.html

では、憲法は改正すべきなのか否か、皆さんはどうお考えでしょうか。
様々な意見があるでしょうが、その際には先に述べた近代憲法の骨格である人権規定(自由と権利の保障など)と統治機構(権力分立や権力抑制など)が憲法の現行規定で十分かどうか、という点から考えてほしいと思います。
この観点に立ってみると、各政党や議員それぞれが重視する点、優先順位と言っても良いかもしれませんが、その違いが見えてきます。
例えば今憲法審査会で議論されている「緊急事態条項」。自民党案は緊急事態下で人権に制限を加え統治の権能を拡大しようとするのに対し、国民民主党は統治の権能を明文化して制約をかけて人権を保護しようとしているという違いがあります。

さて私個人ですが、77年前の1947年当時の社会では考えられなかった「自由」や「権利」が今の社会では認められており、その保障のための改正議論を優先して行なうべきだと考えています。現行憲法に規定があるものについては、一定の判例法理の積み重ねがありますが、新しい「自由」や「権利」には憲法上の保障が明確に担保されていません。なお、新しいといっても、とうに「古く」なってしまったもの(例えば環境権など)もあります。当時想定し得なかったものは、解釈の積み重ねによってではなく、真正面から条文化するか否かの議論を行っていくべきではないでしょうか。

他にも統治機構の面で、国と地方の関わりも変容していることから地方自治の規定をより具体化することや、三権分立の見直し(特に司法権)なども、77年積み上げてきた歴史を踏まえた見直しを行い、現代社会に適した実効性ある改正に向けた議論を行って然るべきだと考えています。

(参考:2022参院選時の私のアンケート)

なお、国民民主党は、結党直後の2020年12月に「国民民主党 憲法調査会 憲法改正に向けた論点整理」をまとめて発表しています。(基本的な考え方や大きな方向性は一致していますが、個人的な考えと必ずしも一致していません。)
(参考:「憲法改正に向けた論点整理」国民民主党HP)
https://new-kokumin.jp/wp-content/uploads/2023/01/537ac8ab5bd513e58a05172296d8afe8.pdf

各党がこのような案を出し合い、オープンな場で侃侃諤諤やっていくことで、憲法の意義や改正の要否についても国民の意識が高まっていくでしょうし、その姿を見せることで政治の信頼も少しは取り戻していけるのではないかと期待しています。

少し、どころか、かなり難しくてとっつきにくい気がする「憲法」かもしれませんが、本日令和5年5月3日。
皆さんがほんの少しでも憲法について考えるきっかけとなる記念日となればと願っています。


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