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地球科学のパラダイムシフト

 我々が住んでいる地球について、我々はどれだけ知っているでしょうか?。こう問われると、地球のことを案外知らないことに気付きます。今でも、地球のことが100%わかっているわけではありませんが、それなりに色々とわかってきました。”真と地球像”を理解するために、これまで多くの常識が覆されてきました。ここでは、これを地球科学のパラダイムシフトと呼びます。パラダイムは”考え方”という意味で、シフトは”変更する”という意味です。ここでは、従来の地球像を大きく変えた4つのパラダイムシフトを紹介します。

 まずは地球の誕生に関する『ジャイアントインパクト説』です。地球の衛星である月が、母星に比べてかなり大きいことが長年の謎でした。地球サイズの天体にしては、衛星サイズが大きすぎるのです。この疑問を説明する一つの説が登場しました。それがジャイアントインパクト(巨大衝突)説です。この説の概要は、次の通りです。太陽系が出来始めた頃、原始太陽に火星大の惑星が衝突しました。原始太陽とその惑星は一度分裂しますが、再構成されて現在の地球と月ができたとする説です。この説だと巨大衛星である月の説明が可能です。まだ決定打ではありませんが、最有力な説として認知されています。

 2番目の説は、生物の絶滅と進化に関連した『スノーボールアース仮説』です。日本語では、全休凍結仮存在しています。説とも言いますが、文字通り、地球が寒冷化して地球全体が凍り付いたことがあるという仮説です。この仮説では、地球全体が少なくとも3回は凍結したと考えられています。この時に、生物種の多くが雑滅しました。これが生物の大量絶滅です。しかし生物はしたたかで、この後に環境に適応した生物が爆発的に進化します。

 3番目は、『地磁気の逆転』です。磁気コンパス(磁針)を使えば、コンパスのN極が北を指します。つまり、地球の北極にはS極の磁極が存在しています。もちろん、その反対の南極にはN極の磁極が存在しています。しかし、この状態は不変ではなく、大きな時間単位で変化しています。最も大きな変化は、磁極が反対に入れ替わる変化です。これを地磁気の逆転と言います。N磁極とS磁極が逆転した直近の時代は、今から78万年前になります。地磁気の逆転は大きな変化ですが、逆転まで至らないエクスカーションと呼ばれる中程度の変化もあります。

 最後は、『プレートテクトニクス』です。プレートテクトニクスは、ウェゲナーの『大陸移動説』が発端になりました。ウェゲナーは、大陸の海岸線の類似から、かつて大陸はくっ付いていて、移動したことで分離したと考えました。それまでにも、同様の考えはあったようですが、ウェゲナーは地質学的な証拠(岩石)や、古生物学的な証拠(化石)などの分布から、”科学的に”自論を展開しました。当時はスンナリとは受け入れられませんでしたが、その後の様々な補強証拠で、今では当たり前の理論として定着しています。プレートテクトニクスでは、プレート(地殻と上部マントルの一部)と呼ばれる岩盤が、相互に運動することによって大陸が移動します。またその過程で、地震や火山噴火などが起きます。

 今では当たり前の説も、発表された当時は”トンデモ理論”でした。しかし、本当の説は様々な証拠によって生き残って行きます。地球のことはまだまだ謎だらけです。今の常識は、将来の非常識になるかもしれません。

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