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緊急投稿『謎の水柱』!?

昨夜、大学から自宅に戻ると『謎の水柱みずばしら』が現れたというニュースを知りました。どうやら、北海道の長万部おしゃまんべの神社の敷地内から”水が噴出”したらしいのです。水の温度は20数℃で、その高さは最初は30m程度だったものが、現在は40m程度にもなっているそうです。これは2022年8月10日の情報です。

一番下にニュースの動画を貼り付けていますが、最初に見た時の感想は「地熱井の噴出試験に似ているな・・・」でした。地熱発電では、地下深くまで井戸(坑井)を掘削して、高温の蒸気や熱水を取り出します。実際の発電に至る前には、”地熱井の実力”を測定するための”噴出試験”というものがあります。地熱井を掘った後には、今回のように暴噴しないように、噴出防止装置が坑井の口元に取り付けられています。噴出試験ではこの防止装置を緩めて、ワザと蒸気を噴出させます。私が見たことがあるのは”一斉噴出試験”で、複数の地熱坑井を一斉に噴出させるもので、音は煩いですが壮観な眺めでした。

タイトル画は、『謎の水柱』とは関係が無い、エチオピアのアルトランガノ地域にある二本の地熱生産井から噴き出す上記の様子です。エチオピアには大地が今まさに割けようとしている大地溝帯があります。大地溝帯は地熱活動が活発なので、エチオピアの未来のエネルギーを目指した地熱開発が進行中です。この日本の地熱井は、日本の『環境プログラム無償資金協力』を通じて掘削された井戸で、どちらも深さは約2,000mです。

ニュースで知った北海道・長万部町の神社の敷地内で突如現れた”水柱”は、昨日(8/10)に噴出したものと思っていたら、昨日が目撃されて3日目とのことでした。つまり丸二日は水が噴き出し続けていることになります。ニュース記事(8/10の”どさんこワイド179”)にあった北大・佐藤努教授のお話では、「間欠泉の場合はマグマの活動によるもの、いったん噴き出ると圧力が無くなる。今回の場合は間欠ではない、恐らくマグマの活動ではなくいままで水の道がなかったところに(噴き出した場所が)つながったのではないか」ということでした。

長万部町によれば、噴出している場所の近くには、1958年から59年にかけて温泉などを探すために堀った井戸があり、水はその付近から出ているということです。他のニュース記事で、北海道立総合研究機構 エネルギー・環境・地質研究所の高橋徹哉・専門研究主幹の話によれば、「現場には1950年代に掘られた天然ガスの井戸の跡があり、老朽化で井戸が損傷しガスと地下水が噴出した可能性がある」ということです。

北海道には札幌近郊に天然ガスを産出している勇払ガス田があります。また商業生産はしていませんが、石狩から稚内にかけて石油貯留層の存在が確認されています。ひょっとすると、高橋専門研究主幹が指摘されたように、”天然ガス+地下水の噴出”なのかもしれません。

大人気のマンガ/アニメに『鬼滅の刃』というのがあります。私は詳しくないのですが、その登場人物に水柱みずばしら冨岡義勇とみおかぎゆうという人がいるみたいです。今回の件とは無関係ですが・・・。長生きしていると、珍しい自然現象!?に出会うことができます。「地球に生まれて良かった~!」。


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