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記録を残すことの重要性

タイトル画は、南米コロンビアのセラニア・ラ・リンドサ地区の岩窟住居遺跡で見つかった壁画の一部です。この壁画のうち、初期のものは1万2600年前から1万1800年前の間に描かれているそうです。壁画には南米最初期の人類と氷河期の生き物との関わり合いが描かれていて、オオナマケモノや古代のリャマやウマなどが描かれています。また、よく見ると大きな鳥?や亀?のような絵もあることが判ります。

当時の人たちがどのような意図でこの壁画を描いたのかは、今になっては分かりませんが、この壁画を残してくれたことで、当時生きていた生物や当時の生活の様子をうかがい知ることができます。記録が残ったことで、様々な情報が時空を超えて共有することができます。このように、絵や字で”記録を残すこと”は、とても重要なことなのです。

古代の壁画は「芸術の原点」だと考える人がいます。壁画には動物や人物を抽象化して描いたものが多いようですが、なかには動物たちのダイナミックな姿を描いた写実的なものもあります。また、壁画の抽象的な絵から、ヒエログリフなどの”絵文字”や、漢字のような”象形文字”に発展していった可能性もあります。壁画は「文字の原点」でもあるのです。さらに、当時の生活環境や自然環境の情報を未来に残した意味においては、「歴史の原点」でもあると思います。

このような壁画の多くは、洞窟の奥深くに描かれています。洞窟の奥深くまでは自然光が届かないので、松明などで灯りをとることになります。そうすると、洞窟内は酸欠状態になるので、一種のトランス状態になるらしいのです。ある研究者は、このようなトランス状態の中で壁画が描かれたので、洞窟の壁を”この世と豊かさや成長を象徴するあの世とつなげる入り口”だと考えていたのだろうという宗教的な意味があったのではないかと主張する人もいます。本当かな?。もしそうだとすれば、洞窟壁画は「宗教の原点」でもある訳です。

『独学大全』の著者・読書猿さんが、インタビューに答えてこのように言っています。『資料を残すことは、人類の知に対して信頼することであり、「未来の私達は現在より賢くなれるかもしれない」と期待をかけることなのです。』

今回の記事のメインは、長い時間を隔てた”記録の重要性”でしたが、短期間でのコミュニケーションでも、記録は重要です。ビジネスでの相互の情報共有は、共通認識に齟齬を発生させないための重要な手段です。また、共同研究をする場合にも、記録を残すことはとても重要です。



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