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久しぶりに無駄に教養が付くかも知れない大人の講座。 今回も「古典」です・・。令和の出典元、・万葉集を読むその3

やっぱりTwitterじゃないの?って思う

さて、色恋ばっかりにスポットを当ててきたんですが、
実は万葉集っていうのは、
その内容において実におもしろいと言うか奥深いんです。

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戯れ歌なども収録していますので、
言ってみれば、これって「つぶやいてる」でしょ?
みたいな、くだらない歌とか、
大王を拝し奉る~みたいなごますり歌なんかも混在してるんです。

まさに古代人の「SNS」なんじゃないの?って感じを受けます。
さて、今回ご紹介致すのは、
多少お下品なモノも混じりますので、
あらかじめ「お察しください」・・m(_ _)m

小学生のケンカみたいな歌

さて、そういった中で、
特に「お下劣」なのをいくつか紹介いたしますが、
こういったモノは、おそらく「酒の席」で詠まれたものと思われます。
あと、人権意識なんてモノはこの頃は皆無でしょうから、
そこんとこヨロシク(  ̄ー ̄)┌ てな感じでお願い致します。

これって、完璧に炎上するTwitterのやりとりに近いっていう歌の応酬。

巻第16  3840・3841 
池田朝臣いけだのあそみ
大神朝臣奥守おおみわのあそみおきもり
歌のやりとり。 

まずは池田がこう詠みます。

 寺々の 女餓鬼申さく 男餓鬼賜りて 其の子生まはむ
(てらでらの めがきもうさく おがきたばりて そのこうまわむ)

あちこちの寺の女餓鬼が申すには、大神の朝臣の男餓鬼をいただいて、その子をどんどん産もうと言ってるよ・・・

この頃の「餓鬼」の概念は「痩せすぎ」という意味なんだそうです。
池田は大神がめちゃ痩せてるのをからかって、
お前なんかガリガリ痩せ女にしかもてね~よ(´Д`)〆
ってバカにしたわけです。

 それに対して、大神はこうやり返します。

仏造る 真朱足らずは 水たまる 池田の朝臣が 鼻の上を掘れ
(ぶつつくる まぞほたらずば みずたまる いけだのあそんが はなのうえをほれ)

 仏像を造る真朱が足らないのなら、水のたまる池、その池田のやつの赤鼻の上を掘ってみろ。

とやり返すわけでございます。
つまり、池田の朝臣は赤鼻だったゆえ、
そいつをバカにしたわけですが、
双方に身体的な欠点をバカにしあってるわけですから、
今ならば人権問題にもなりかねませんなぁ・・
炎上モノのやりとりでございます。

 では、とんでもなくお下劣だったり、失礼な歌

まずは 巻第16  3842番目 

平群朝臣へぐりのあそみという人が、保積朝臣ほずみのあそみをバカにした歌でございます

童ども 草はな刈りそ 八穂蓼を 穂積の朝臣が 腋草を刈れ
(わらわども くさはなかりそ たほたてを ほずみのあそみが わきくさをかれ)

 子供たちよ、草など刈らないで、穂積の朝臣の臭いわき毛を刈りなさい。

って詠んでるわけです。なんだか、めっちゃくちゃ失礼ですな。(ㆀ˘・з・˘)b
さらには、もっとお下品な歌もございますよ。

巻16  3832番目の歌:

からたちと 茨刈り除け 倉建てむ 屎遠くまれ 櫛造る刀自
(からたちと うばらかりぞけ くらたてむ くそとおくまれ くしつくるとじ)

そこの土地のからたちと茨を刈り除いて、倉を建てるんだから。ウンコはそこでしないで別のところしてくれよな、櫛作りのおばさんよ。 

・・いや~失礼千万って言うか下品でございますな(ㆀ˘・з・˘)b
 刀自というのはオバサンとかそういう意味です。

簡単に言うとオレの土地でクソなんかたれやがってって言う感じですな。まさに炎上しかねない「つぶやき」です。

最後は、怖い女の情念・・。浮気はダメよ。

巻第13 3270番目の歌

 さし焼かむ 小屋の醜屋に かき棄てむ 破薦を敷きて うち折らむ 醜の醜手を さし交へて 寝らむ君ゆゑ あかねさす 昼はしみらに ぬばたまの 夜はすがらに この床の ひしと鳴るまで 嘆きつるかも
(さしやかむ をやのしこやに かきうてむ やれごもをしきて うちおらむ しこのいこてを さしかえて ねらむきみゆえ あかねさす ひるはしみらに ぬばたての よるはすがらにこのとこの ひしとなるまで なげきつるかも)

さて、この長歌の意味を解くと、
夫を別の女に盗られた悔しさの心が見えてきます。
つまり、嫉妬そのものの「つぶやき」なんです。

焼いてやりたいほどの汚らしい女の小屋に、
捨ててしまいたいようなぼろ薦を敷いて、
へし折ってやりたいようなけがわらしい女の手を、
今頃夫と交し合って今ごろ寝ているだろうあの女のせいで、
あたしは昼夜とわずいつの時も、この寝床がみしみし鳴るほどに、
悔しくて悔しくてもだえ苦しみ嘆き続けてるのよ。

・・・・怖いですが、この頃は基本的に「通い婚」が通例でした。
したがって、こういう哀しい自省のつぶやきで収めてます。
同巻 3271

わが情 焼くもわれなり 愛しきやし 君に恋ふるも わが心から
(わがこころ やくもわれなり あしきやし きみにこいふるも わがこころから) 

私の心を嫉妬で焼くのも私、
あの人に恋い焦がれるのも私の心


・・・(´・ω・`) フカイ


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