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記事一覧

川上真史氏ー企業の持続的成長に向けたエンカレッジメントの活用: 従業員の個性を活かす人事施策

 川上真史ビジネス・ブレークスルー大学教授の「企業と心理学 トピックス #8 エンカレッジメント」というテーマは、古くて新しい概念を改めて認識する良い機会となりました。エンカレッジメントとは、単に人を励ますことではなく、自分の意思や判断に基づいて主体的に行動を起こすための勇気を与えることを指しています。  具体的には、他者のために生きるのではなく、自分の意思で主体的に生きる責任を持つことの重要性が強調されています。周囲の人々に認められるために、社会的に望ましいとされる行動を

【書籍】なぜ小企業は仕組み化に苦労するのか?成功の鍵を探る

 小川実著『小さな会社の「仕組み化」はなぜやりきれないのか』(アスコム、2023年)を取り上げたいと思います。私自身、「超」大企業には在籍したことはなく、また、ご支援もいわゆる中小企業が中心です。納得感がある内容が多くありました。 仕組み化の難しさ  近年、多くの小さな会社が直面している共通の悩みとして、仕組み化の難しさが挙げられます。せっかく仕組み化に取り組んでも、途中で挫折してしまうことが少なくないのです。その主な原因としては、次の3つの点が指摘されています。  1

組織と個人の成長を導くための人事戦略ージム・ロジャーズ氏の洞察から学ぶ

 『プレジデント2024年5/17号)』は、「毎日ラクになる 任せるコツ」でした。その中でも、「世界的投資家ジム・ロジャーズが伝授 お金の教養がない中高年は、今から何を学ぶべきか?」(p70)は大変興味深い内容でした。  ジム・ロジャーズ氏は、世界的な投資家として数十年にわたり世界中の経済動向を見続け、数々の経験から多くの洞察を得ています。彼は、日経平均が4万円を突破し、円安、インフレ、少子化といった日本経済の厳しい状況に直面している現在、中高年層が今から何を学ぶべきかを語

【書籍】会社は人間修業の道場ー染谷和巳氏の視点から

 『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(致知出版社、2020年)のp160「5月7日:会社は人間修業の道場(染谷和巳 アイウィル主宰)」を取り上げたいと思います。  染谷和巳氏といえば、「鬼上司」シリーズの書籍が有名、『上司が鬼にならねば部下は動かず』(プレジデント社)は特に有名と思います。  染谷和巳氏が「会社は人間修業の道場」という観点から、仕事を通じて成長する重要性について語っています。彼は、会社での苦労や挑戦を修業と捉え、それを乗り越えることで個

戦略的目標管理ーMBOの形骸化とも戦う

MBOとは  MBO(Management By Objectives)は、目標管理とも呼ばれ、役割責任を基に目標を設定し、目標に基づいて効果的にマネジメントを行う制度です。ただし、目標を管理する制度ではなく、目標を使ってマネジメントを行うことが重要です。 MBOは単に目標を設定し、その達成度を評価するだけのものではなく、上司と部下が目標を共有し、目標達成に向けて協力しながら業務を遂行することが求められます。  Management By Objectives = MBO

偶然の成功はあるが、偶然の失敗はない:教訓と学び

 『致知』2024年6月号(特集「希望は失望に終わらず」)の中で、「おにぎりは心と心を繋ぐものー右近由美子さん(おにぎり専門店 「ぼんご」 店主) p100」という記事(私のnote記事にリンク)があります。  ここで、右近さんは「偶然の成功はあるが、偶然の失敗はない」ということを述べています。この言葉には、成功と失敗の本質に関する洞察が込められています。成功は運に恵まれることもありますが、失敗には必ず原因があり、その原因を探り改善することで次の成功に繋げることができると示

AI時代に求められる学びの形ー藤原和博氏の教育改革提案と企業にどう活かすかー日経ビジネス記事より

 日経ビジネス2024/5/1-2の記事に『藤原和博氏が訴えるAI時代の学び(前後編)』が掲載されていました。この時代における学びは、企業人事としても吸収、応用できる部分が多々あり大変参考になりました。 「情報編集力」と「基礎的人間力」  教育改革に長年尽力されてこられた藤原和博氏は、AI時代の到来を見据え、これからの教育に真に必要とされる力として「情報編集力」と、それを支える「基礎的人間力」を提唱されています。「情報処理力」に関しては、AIの目覚ましい発達によって、近い

※講読途中【書籍】『致知』2024年6月号(特集「希望は失望に終わらず」)読後感

 致知2024年6月号(特集「希望は失望に終わらず」)における自身の読後感を紹介します。なお、すべてを網羅するものでなく、今後の読み返し状況によって、追記・変更する可能性があります。 「希望は失望に終わらず」とは?  今月号のテーマである、「希望は失望に終わらず」という言葉は、様々な解釈が可能です。いくつか例を挙げたいと思います。 1. 希望は、どんな困難にも打ち勝ち、必ず実現する  キリスト教徒の聖パウロの手紙に由来すると言われています。パウロは、どんな苦難の中でも神

経験学習によるポテンシャルの解放ー部下の強みを育てるマネージャーのガイド(松尾睦氏)

 Aoba-BBTの番組で、松尾睦氏による『部下の強みを引き出す育成力養成講座』というテーマ。部下の強みを引き出し、その成長を後押しすることは、マネジャーにとって最も重要な役割の一つです。組織の持続的な発展のためには、一人ひとりの部下が持つ独自の才能や強みを見出し、それを最大限に活かしていくことが欠かせません。しかし、現実には、部下育成に悩むマネジャーが少なくありません。「どのように部下と向き合えばよいのか」「部下のやる気を引き出すにはどうすればよいのか」といった疑問や不安を

【書籍】流れる星の奇跡ー藤原咲子氏の物語

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』(致知出版社、2022年)のp157「5月4日:咲子はまだ生きていた(藤原咲子 高校教師・エッセイスト)」を取り上げたいと思います。  藤原咲子氏の物語は、苦難と誤解を乗り越えた母娘の関係を描いています。咲子は、病との戦いを乗り越えて作家となった母の厳しい育て方に苦しみながらも、自分が母に愛されていないと感じていました。特に、母が書いた『流れる星は生きている』の中で自分について触れられている部分を読んだ時、咲子は母から

スマートに主張するー現代のマウンティングリテラシーの技術

 『プレジデント2024年5/17号)』は、「毎日ラクになる 任せるコツ」でした。その中でも、「現代の新しい「教養」マウンティングリテラシー」(p80)は大変興味深い内容でした。  「マウンティング」とは、自己の優位を示すために他者に対して行われる言動です。この言葉はもともと動物行動学から来ており、サルが群れの中で優位な個体が劣位の個体に乗ることで社会的な序列を示す行為を指します。現代では、人間社会においても同様の行動が広く見られ、特にSNSの普及によって個人が自己の優位性

石井遼介氏『心理的安全性のつくりかた』ー心理的安全性が導く組織変革の道標

 「心理的安全性」が言われて久しいです。本書は、近年ますます重要性が高まっている組織やチームにおける心理的安全性をいかにして構築するかについて、理論的背景から具体的な実践方法まで幅広く解説した書籍です。もう1回講読してみました。 第1章 チームの心理的安全性  チームの心理的安全性とは何かという基本的な定義から始まり、それがチームのパフォーマンスや学習、成長にどのようなポジティブな影響を与えるのかを様々な研究結果を引用しながら説明しています。また、日本版の心理的安全性を測

リスキリング戦略ー従業員のスキル更新と企業の持続可能性

 2024/04/17日本経済新聞の記事に「リスキリングの現状と課題(上) 企業の説明・成果の還元 必須(守島基博・学習院大学教授)」が掲載されていました。私もリスキリング(スキルの再教育)については自分自身でも継続的に取り組んでおり、また、人事の立場でも重要な課題感を持っています。大変興味深い記事でした。  記事では、技術革新や市場環境の変化により従来のスキルが陳腐化している中、企業が従業員のリスキリングをどのように進めているかを詳細に解説しています。リスキリングは、従業

【書籍】才能を最大限に引き出す新時代のトレーニング法ー林成之さん

『一生学べる仕事力大全』(致知出版社、2023年)のp158「人生の勝負とは自分の才能を発揮することー林成之さん」を取り上げたいと思います。  従来のスポーツ界では、国内選考レースを目指して厳しい練習を積み、オリンピック本番に向けては一度ペースを落とし、体調を整える方法が一般的でした。しかし、この方法では脳が「ペースを落とす」という否定的な信号を受け取り、自己保存の本能を優先させるため、最高のパフォーマンスを発揮することが難しくなります。  新しいアプローチでは、ドーパミ