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人事・経営支援関連

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私の経営・人事支援関連の記事です。
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「人事課題を解決したい」企業の方に対し、私がお尋ねする観点

 私は、地方企業様の人事課題の解決支援の活動をしています。その際、経営者の方、担当の方とも多くのコミュニケーションをさせていただいています。その際、話題として、人事関係(制度等)の話はもちろんですが、基本的な経営の状況の話もさせていただいています。  最近でこそ、「人事は経営の根幹の一つ」という経営者の方も多くなってきました。総論としては理解されているものの、なかなか深く突っ込んで議論をするのは苦労します。とはいえ、最初から「サーベイシート」のような、こと細かい資料を使って

労働組合の新時代: 現代課題への適応と企業との連携

 昨今、労働組合の「弱体化」がいわれています。私も1990年代の後半から、人事労務に従事してきました。労働組合との対応もこなしてきましたが、当時はすでに労働組合は以前ほどの強さではないということを何度も聞かされてきました。  しかし、会社側と従業員側が対等の立場で議論できる場は非常に重要であり、健全な企業運営には欠かせません。ここで、労働組合の役割、企業との関係、そして現代における課題について、再度考察したいと思います。  一方で、経済のグローバル化、技術革新、労働市場の変化

多角的アプローチによる人材不足問題の解決戦略

 人材不足問題は、単一の原因によって引き起こされるものではなく、複数の要因が複雑に絡み合って発生します。そのため、問題の解決には、社会環境、企業側、求職者側の各視点から深く分析し、それぞれに対応した多角的なアプローチが求められます。  人材不足は、企業や組織の成長と発展を阻害する深刻な問題であり、その影響は個々の企業にとどまらず、社会全体の経済活動に及びます。したがって、この問題に効果的に対処するためには、関係者全員が協力して取り組む必要があります。以下では、これらの要因に

戦略的目標管理ーMBOの形骸化とも戦う

MBOとは  MBO(Management By Objectives)は、目標管理とも呼ばれ、役割責任を基に目標を設定し、目標に基づいて効果的にマネジメントを行う制度です。ただし、目標を管理する制度ではなく、目標を使ってマネジメントを行うことが重要です。 MBOは単に目標を設定し、その達成度を評価するだけのものではなく、上司と部下が目標を共有し、目標達成に向けて協力しながら業務を遂行することが求められます。  Management By Objectives = MBO

偶然の成功はあるが、偶然の失敗はない:教訓と学び

 『致知』2024年6月号(特集「希望は失望に終わらず」)の中で、「おにぎりは心と心を繋ぐものー右近由美子さん(おにぎり専門店 「ぼんご」 店主) p100」という記事(私のnote記事にリンク)があります。  ここで、右近さんは「偶然の成功はあるが、偶然の失敗はない」ということを述べています。この言葉には、成功と失敗の本質に関する洞察が込められています。成功は運に恵まれることもありますが、失敗には必ず原因があり、その原因を探り改善することで次の成功に繋げることができると示

社員一人ひとりが知っておくべき給与の基礎知識ー最低限は会社が教える

 私たちが働いて得る対価である給与は、生活を支える重要な収入源です。しかし、多くの社員が自分の給与についての知識を十分に持っていないのが現状ではないでしょうか。自分のお金なのに、自分ではわかっていないというのは寂しい話です。おそらく、誤りがあっても多くの場合分からない場合も多いように思います。会社としても、社員一人ひとりが給与に関する基礎知識を身につけられるよう、教育を行うことが望ましとおもっています。  給与は、私たちの生活を支える重要な収入源であり、自分の労働に対する対

シンプルさの追求ー人事業務の効率化と効果向上の戦略

 「シンプルにすること」は、人事業務においても重要であり、私もこれまでの経験の中で様々な仮説・検証を実施してきました。人事という領域は、その本質から多様なステークホルダー、複雑な問題、そして絶え間なく変化するビジネス環境にさらされています。特に昨今は、人事が経営に直結するという期待感もあります。このような状況で、物事をシンプルにすることは、クリアな判断と迅速な行動を可能にし、組織の効率性と効果性を最大化することにも寄与します。  しかしながら、シンプルにすることは容易ではあ

経験学習によるポテンシャルの解放ー部下の強みを育てるマネージャーのガイド(松尾睦氏)

 Aoba-BBTの番組で、松尾睦氏による『部下の強みを引き出す育成力養成講座』というテーマ。部下の強みを引き出し、その成長を後押しすることは、マネジャーにとって最も重要な役割の一つです。組織の持続的な発展のためには、一人ひとりの部下が持つ独自の才能や強みを見出し、それを最大限に活かしていくことが欠かせません。しかし、現実には、部下育成に悩むマネジャーが少なくありません。「どのように部下と向き合えばよいのか」「部下のやる気を引き出すにはどうすればよいのか」といった疑問や不安を

持続的な成功のための組織文化の強化ー9の着眼点

 組織文化の強化は、組織全体における重要な課題であり、成功するためには総合的なアプローチが求められます。組織文化は、組織の価値観、信念、行動規範、慣習などを包含する複雑な概念であり、組織の全てのメンバーに浸透し、組織の方向性と意思決定に影響を与えます。強い組織文化は、組織の一体感と結束力を高め、メンバーのモチベーションと生産性を向上させ、組織の目標達成を促進します。一方、弱い組織文化や不健全な文化は、組織の効率性と成果を阻害し、メンバーの士気を低下させる可能性があります。その

人事戦略によるポジティブな職場文化の創造

 いつも良い空気が流れるチームや組織は、単に業績を上げるためだけではなく、メンバー一人ひとりが働きやすく、互いを尊重し合う文化を持っています。このような環境は、組織の持続可能性と成長のために不可欠です。以下に、提供された情報を基に、これらの特徴がどのようにして人事の立場から支えられ、育てられるかについて詳細に考えてみましょう。 1. 明るく前向きな雰囲気 価値観の共有  人事は職場の文化を形成する上で重要な役割を果たします。ポジティブな職場文化を築くために、人事は価値観を

職場文化の活性化ー報酬とパフォーマンス評価の課題への対応

 「どうせ給料上がらないし、評価もされないから適当に」という従業員の発言が、組織における報酬マネジメントとパフォーマンスマネジメントシステムの不備を示しています。これは従業員のモチベーション低下、職務満足度の低下、そして組織全体の生産性への悪影響に繋がりかねない深刻な問題です。以下では、これに対する包括的な改善策を考察します。 1. パフォーマンスマネジメントの見直し  パフォーマンスマネジメントシステムは、従業員の業績評価とモチベーション向上のための核となる要素です。従

成長に不可欠な要素ー負荷と挑戦の価値

 「負荷のない環境で成長は難しい」ということについて考えてみたいと思います。人事として様々な業務を経験してきた中で、この真理は個人のキャリア開発だけでなく、組織の成長や変革おいても非常に関連が深いと思います。 個人のキャリア開発において  従業員が常に快適な範囲内で仕事をしていると、成長は鈍化します。新しいプロジェクト、異なる部署での勤務、あるいは新しい技術の習得など、従業員にとって未知の領域への挑戦を促すことは、その人のスキルセットを広げ、キャリアの可能性を拡大します。

石井遼介氏『心理的安全性のつくりかた』ー心理的安全性が導く組織変革の道標

 「心理的安全性」が言われて久しいです。本書は、近年ますます重要性が高まっている組織やチームにおける心理的安全性をいかにして構築するかについて、理論的背景から具体的な実践方法まで幅広く解説した書籍です。もう1回講読してみました。 第1章 チームの心理的安全性  チームの心理的安全性とは何かという基本的な定義から始まり、それがチームのパフォーマンスや学習、成長にどのようなポジティブな影響を与えるのかを様々な研究結果を引用しながら説明しています。また、日本版の心理的安全性を測

川上真史氏ーパブロフの理論からビジネス戦略へー条件付けとマインドセットの理解

川上真史ビジネス・ブレークスルー大学教授の「企業と心理学 トピックス #7 条件付けとマインドセット」というテーマは、マインドセットが条件付けによって変わっていくという興味深い視点を示しています。人事の立場においても非常に重要な示唆を得られるものでした。考察してみたいと思います。 条件付けとマインドセットの理解 条件付けとは、ある特定の刺激(条件刺激)に対して一定の反応(無条件反応)が習慣化される心理学のプロセスです。この概念は、イワン・パブロフの古典的条件付けの実験から広