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【書籍】精神力と耐久力の極致ー元横綱二子山の人生と哲学

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』(致知出版社、2022年)のp213「6月28日:素直になれない人は大成しない
(二子山勝治 財団法人日本相撲協会理事長)」を取り上げたいと思います。

 元横綱先代若乃花である、二子山勝治氏、元日本相撲協会の理事長は、若い頃の過酷な稽古の経験を語り、それがどのようにして自身の強さと精神を鍛え上げたかを共有しています。真夏の暑さの中、水分を失いながらも稽古を続け、力道山にかみつくほどの執念を見せたエピソードは、彼の途方もない精神力と耐久力を示しています。二子山氏は、厳しい稽古が怪我を防ぎ、強い体と精神を作ること、心に隙があると怪我をすること、そして稽古への真剣な取り組みが必要であることを強調しています。日常生活も稽古における精神の一部であり、上位の力士は日常の中で研究し、土俵でのパフォーマンスを最大化する方法を模索していると述べています。

まあ、そんなこともありましたけれども、何事もやっぱり真剣にね、そして手抜きのない稽古しなきゃ。仕事でも何でも一緒ですよ。自分の肉体をいじめ抜いて強くなるんですよ。だから、病気もしなかったし、怪我もしなかった。厳しいから怪我をしないんです。

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』(致知出版社、2022年)p213より引用

 相撲の世界では、階級、礼儀作法、清潔さ、整頓などが重要であり、これらが欠けると相撲道も終わりを迎えると警鐘を鳴らしています。病気や怪我をしないこと、上下関係の厳守、そして真剣な稽古を通じて丈夫な体を作ることが、力士にとって最も重要だと説いています。彼はまた、稽古への取り組み方にも言及し、師匠や先輩の前だけでなく、常に一生懸命に稽古する姿勢が大切であると強調しています。最後に、人間は素直でなければならず、素直になれない人は大成しないと締めくくっています。この話からは、厳しさ、精神力、日常の姿勢が成功への鍵であり、これらを身につけることの重要性が伝わってきます。今の相撲界はどうなのか、二子山氏は天国から見ていることでしょう。

<では人事の立場でどう応用していくか>

 二子山氏が語る「素直になれない人は大成しない」という言葉は、人事の立場から見ても非常に重要な教訓を含んでいます。彼の経験談からは、厳しい環境での稽古を通じて、自己を律し、限界を超える努力をする重要性が語られています。これは、相撲の世界だけでなく、ビジネスや人事管理の分野においても大きな意味を持ちます。

 素直さとは、指導や批判を受け入れ、それを自己改善に活かす能力を意味します。人事管理においては、この素直さが従業員の成長や組織の発展に不可欠な要素です。素直な人はフィードバックを受け入れ、自己反省を通じてスキルや行動を改善し、より高いパフォーマンスを目指します。一方で、屁理屈をこね、批判やアドバイスに耳を貸さない人は、成長の機会を逃し、組織内での大成が難しくなります。意外にこのような方が多いですし、自分自身もそういう側面がないかどうか、厳しくチェックする必要があります。

師匠が見てるから稽古してやろうとかいう気持ちじゃなくて、師匠がいまいが、先輩がいまいが、毎日こつこつこつこつやる者が大成していくわけですよ。人間は素直でなきゃならない。屁理屈こねて、素直になれない人は大成しないね。

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』(致知出版社、2022年)p213より引用

 素直さは採用、育成、パフォーマンス管理などの各プロセスにおいて重視すべき資質の一つです。採用過程では、候補者がどれだけフィードバックを受け入れ、それをもとに自己改善する意欲があるかを評価することが重要です。また、従業員の育成や研修の際には、自己反省とフィードバックの受容性を促進するプログラムが効果的です。パフォーマンス管理においても、目標に対する進捗状況や改善点をオープンに話し合い、素直に受け入れる文化を醸成することが大切です。

 さらに、組織文化とリーダーシップにおいても重要な示唆を与えます。リーダー自身が素直さを持ち、自己改善を続ける姿勢を示すことで、組織全体の学習文化を促進することができます。また、厳しい環境や挑戦的な目標を通じて、従業員が自己を超える成長を遂げられるようなサポートを提供することが、組織の発展に繋がります。

 まとめると、人事管理においては、個人の素直さや成長意欲を見極め、育成し、それを組織の力に変えていくことが求められます。二子山氏の経験から学ぶべきは、厳しい状況でも前向きに挑戦し続ける姿勢と、フィードバックを素直に受け入れることの重要性です。これらの要素は、相撲のリングだけでなく、ビジネスの世界においても、個人と組織の双方にとっての大成に不可欠な要素であるといえます。

夏の厳しい日差しの下で過酷な稽古に励む若い力士の姿を捉えています。水分を失いながらも稽古を続ける力士の決意と耐久力、不屈の精神が表現されており、背景には伝統的な相撲の稽古環境が見られます。このシーンは、厳しい稽古、階層制度への敬意、清潔さの重要性を反映しており、相撲文化におけるこれらの要素が成功への鍵であることを示唆しています。画風は柔らかく、インスピレーションと忍耐力の感覚を呼び起こします。


1日1話、「生き方」のバイブルとなるような滋味に富む感動実話を中心に365篇収録されています。素晴らしい書籍です。




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