真夜中まよなかのネオンに照てらされた大都市だいとしシカゴ。しかしそんな場所ばしょとは思おもえないほど不気味ぶきみな薄暗うすぐらい石いし造づくりの狭せまい長ながいトンネルを二人ふたりの双子ふたごの男おとこ達たちが足あしを引ひき摺ずる様ように歩あるいていた。

グレイブ「ジェイコブ？大丈夫だいじょうぶか？」

ジェイコブ「ぅ……ああ…」

グレイブ「後あと少すこしでアジトに着つく…だから頑張がんばれ」

　血ちが頭あたまから滴したたり落おちる男おとこの肩かたを担かついでいるのは兄あにであるグレイブ・トンプソン。足あしも満足まんぞくに動うごかせない方ほうが弟おとうとのジェイコブ・トンプソン。

　二人ふたり共ともトンネルの奥おくまで歩あるいていくと、木きの扉とびらの前まえに立たち扉とびらを独特どくとくのリズムで叩たたくと、小窓こまどが開あきが大おおきな二ふたつの眼めがギョロギョロと二人ふたりを捉とらえた。

門番もんばん「合言葉あいことば」

グレイブ「戦場せんじょうこそ金かねのなる木き」

門番もんばん「入はいれ」

　　ガチャッ！

　扉とびらの鍵カギが開あけられ、門番もんばんが二人ふたりを急いそいで招まねき入いれた。

　二人ふたりは扉とびらの中なかに入はいると、そこには大理石だいりせきの綺麗キレイに整ととのえられた床ゆかと白しろい柱はしらが並ならべられており、高たかい天井てんじょうから釣つり下さげられていたランプが通路つうろを明あかるく照てらしていた。

　その通路つうろの傍かたわらにある壁かべに背せを預あずけ、もたれかかっているオレンジ色いろの髪かみの男おとこがグレイブに話はなしかけた。

？？？「ヨーーー……これはこれは〜ハハハハハハ…トンプソン君くんではあーーりませんか〜〜？その頭あたまから流ながれてるのは…ホットドッグのケチャップではあーーりませんか〜〜？中々なかなか私ワタクシの様ような凡人ぼんじんには到底とうてい理解りかいの及およばないファッションセンスをお持もーーちのようで〜〜！？」

グレイブ「ノルスタイン卿きょう……相変あいかわらず…ふざけた口調くちょうだな」

ノルスタイン「オーーー…ソーリー…これはこれはお気きに障さわーーりになりましたか〜〜？しかーーし普段ふだんであれば気きにも止とめーーないようなトンプソン君くんが〜〜その様ような恐こわーーい顔かおをなさーーるだなんて〜〜」

グレイブ「何なにが言いいたい…？」

ノルスタイン「君きみ達たちトンプソン兄弟きょうだいをそこまで苦くるしめーーる宿敵ライバルと呼よぶに相応ふさわし〜〜い強敵きょうてきだった…とでも言いい訳わけなさりたーーいのですか〜〜我ワレらがボスに…？？」

グレイブ「…ッ！！！」

　　ドン！！

　グレイブのレーザービームがノルスタインの顔かお目掛めがけて放はなたれた。しかしノルスタインはその攻撃こうげきをいとも簡単かんたんに躱かわし飄々ひょうひょうとした顔かおで言葉ことばを続つづけた。

ノルスタイン「おお〜〜恐こわい恐こわいでーーす！何なんともヤバーーンなお方かたで〜〜す！」

グレイブ「うっせぇぞ！！次つぎまたその鬱陶うっとうしい口くちを開ひらきやがったらただじゃおかねぇぞ！！」

？？？「トンプソン！そこまでにしておけ！！」

　通路つうろでまた別べつの雄々おおしい声こえで呼よび掛かける男おとこが奥おくから現あらわれた。

グレイブ「スティーブン……」

　スティーブンと呼よばれるその男おとこは英国えいこく騎士きしの様ような服装ふくそうをし、背筋せすじをピンと伸のばし整ととのえられたオールバックの黒髪くろかみと髭ひげをした、いかにも軍隊ぐんたいのお偉えらいさんにしか見みえない風貌ふうぼうの男おとこだった。

スティーブン「グレイブ…苛立いらだつ気持きもちを抑おさえてくれないか？今いまはボスは取とり込こみ中ちゅうなんだ。来客らいきゃくでマクシム連合れんごうのウイリー少将しょうしょうが来きていらっしゃるんだ。ノルスタイン卿きょう……そんな時ときに人ひとを揶揄からかう様ような口調くちょうは控ひかえていただきたいと頼たのんでいたはずだが？」

ノルスタイン「オオ〜〜ソーリーソーリー……私ワタクシも気きを付つけまーーすのでその様ような恐こわ〜〜い顔かおをなさらな〜いで下くださーーい」

スティーブン「……グレイブ…ジェイコブの治療ちりょうはとりあえず俺おれが医療いりょうチームに頼たのんでおく。お前まえは何なにがあったのかボスに報告ほうこくしろ。ウイリー少将しょうしょうが帰かえった後あとでな」

グレイブ「了解りょうかい……」

　スティーブンはジェイコブの身体からだに触ふれると、ジェイコブの身体からだが宙ちゅうを浮うき始はじめスティーブンの手ての動うごきに合あわせて移動いどうしていったーーー

　ーーーしばらく時間じかんが経たつと奥おくの扉とびらが開ひらき、白しろい軍服ぐんぷくを身みに纏まとったネイビー色いろの髪かみの男おとこが部屋へやから出でてきた。その隣となりにスーツを来きた片眼鏡カタメガネの男おとこが帰かえりに付つき添そっていた。

ウイリー「それでは…私わたしはこれで失礼しつれいする」

？？？「ええ…ウイリー少将しょうしょう……これからもこの関係かんけいが長ながく続つづく様ようにお願ねがいいたしますね？」

ウイリー「あ、ああ……こちらも君きみの組織そしきの資本しほん力りょくの恩恵おんけいを受うけ取とって、この地位ちいを“買かう”ことができたんだ。ではまた」

？？？「こちらこそ！」

　二人ふたりの男おとこはお互たがい握手あくしゅして、そこで別わかれた。片眼鏡カタメガネの男おとこはウイリー少将しょうしょうが出でて行いくのを見届みとどけた後あと部屋へやに戻もどろうとした。

グレイブ「ボス！！Mr.ミスターアレックス・ブルガント！！」

アレックス「？」

　通路つうろで待まっていたグレイブが、ボスらしき片眼鏡カタメガネの男おとこに声こえを掛かけて引ひき止とめた。

アレックス「グレイブ……一体いったい何なにがあった？お前まえをそこまで苦戦くせんさせる敵てきは誰だれなんだ？」

グレイブ「ッ！……シカゴのホテル『ローグ』の前まえで殺やり合あったんです！名前なまえはゲンタ・サワタリとリュウガ・アイカワです！二人ふたり共とも適能者デュナミストです」

アレックス「…………」

グレイブ「俺おれと弟おとうとの攻撃こうげきを一撃いちげきも喰くらわず俺達おれたちを倒たおしたガキ共どもです」

アレックス「…とりあえず中なかで話はなしを聞きこうか…」

　アレックスはグレイブを手招てまねきすると、グレイブはそれに従したがって中なかに入はいっていった。

　その部屋へやは黄金おうごんの硬貨こうかに囲かこまれていた。綺麗キレイに並ならべ立たてられた金貨きんかが眩まばゆい光ひかりを放はなっていた。

アレックス「さっきの話はなしだが……ガキってことは、子供こどもって言いうことか？」

グレイブ「え、ええ！……ゲンタって言いうガキは棍棒こんぼう使つかいで、もう一人ひとりのリュウガってガキが剣術けんじゅつ使つかいです！二人ふたり共とも接近戦せっきんせんに強つよく機動きどう力りょくも高たかいですが、遠距離えんきょりからの攻撃こうげきには弱よわいので……」

アレックス「……で？」

グレイブ「え？」

アレックス「そこまで解わかっていながら、なぜお前まえらはそのガキ共どもに良いいようにやられたんだ？倒たおせない訳ワケはねぇよな？そこまで分析ぶんせきできてて」

グレイブ「それは……あっちがガキだったモンでこっちが油断ゆだんしちまって…」

アレックス「結局けっきょく…理由りゆうはそこにあるんじゃねぇか？お前まえらが敵てきを前まえにして相手あいての見みた目めで判断はんだんして手てを抜ぬいた結果けっかが今いまだろう？」

グレイブ「……！！」

アレックス「まぁ…そこの椅子イスにでも座すわりな」

グレイブ「それじゃ」

　グレイブはアレックスの指差ゆびさした椅子イスに腰掛こしかけるとなにやら罰ばつを受うける子供こどもの様ように、ビクビク恐こわがっていた。

アレックス「なぁ」

グレイブ「はっはい！！」

アレックス「この金貨きんかどうだよ？中々なかなか良いい出来できだろ？」

　アレックスは机つくえの上うえに置おいてあった金貨きんかの一枚いちまいを取とり上あげ、それをグレイブに投なげ渡わたした。グレイブは慌あわててそれを受うけ取とると、金貨きんかに彫ほられている文字もじや絵えを必死ひっしに見みた。しかしグレイブの意識いしきは金貨きんかには向むかっていなかった。グレイブの額ひたいからはもの凄すごい量りょうの汗あせが吹ふき出でていた。

グレイブ「………はぁ…はぁ……ッ！とっ！とっても！！とっても素晴すばらしい出来できだと思おもいます！！」

アレックス「そうだろう！そうだろう！ハッハッハッハッハッッハ！！」

　グレイブは吃どもりながらも何なんとか言葉ことばを捻ひねり出だした。それを聞きいたアレックスはわざと高たからかに笑わらって見みせた。

アレックス「ハッハッハッハッハッハ！！……でもな？所詮しょせんどれだけ良いい品質ひんしつのモン造つくったってな……否いやが応おうでも“偽物にせもの”だってことに気付きづかされんだよ…」

　　ガッ！！

グレイブ「！！？ガハッ！！」

　そう言いった瞬間しゅんかん、アレックスは左腕ひだりうでをグレイブの首クビに回まわし締しめ上あげ始はじめた。ジワジワと締しめ上あげる腕力ちからを強つよくしていき、グレイブは苦くるしさのあまり頭あたまの中なかが真まっ白しろになっていった。

アレックス「こうやって偽造ぎぞう通貨つうかを造つくり続つづけてるとよ……“偽金にせがね”だってバレんのが恐こえぇから必死ひっしになって品質クオリティに拘こだわり続つづけて頭あたまが狂っイカれちまいそうな毎日まいにちを過すごすことになっちまうんだよ」

グレイブ「うううう……！！アレックスさん……！！ぐるじ…い……！！」

アレックス「でもそんな時ときふと気付きづいちまったんだよ……金かねってのはどこまで行いこうが、ただの石いしコロと紙切かみきれにしかならねぇんだってことになぁ…！！！」

グレイブ「あ……！！カハ……！！！」

　グレイブは手足てあしをバタバタさせ必死ひっしに抵抗ていこうしようとするが背後はいごからの首絞くびしめに苦くるしむだけでどんどん力ちからが抜ぬけていくだけだった。

アレックス「元々もともと“金かね”に“力ちから”があるんじゃねぇ…“力ちからがある者もの”が“金かね”を使つかわせるから……だから皆みんな誰だれもが“金かねに力ちからが宿やどっている”と言いう“幻想げんそう”を見みるんだよ」

グレイブ「ウグ………！！」

アレックス「“金かねを造つくる側がわ”の人間にんげんは弱者じゃくしゃを力ちからづくで黙だまらせて金かねを流通りゅうつうさせなきゃ意味いみねぇよな？グレイブ？テメェとテメェの弟おとうとがそのガキ共どもに負まけちまったせいで、俺おれの造つくる金かねの価値かちが下さがっちまったんだよ！ここにある金貨きんかもただの石いしコロに成なり下さがっちまった」

アレックス「テメェみたいな馬鹿バカに今いまの事態じたいが解わかるか？そのガキ二人ふたり如ごとききっちりシメられねぇ奴ヤツがいるブルガント団だんなんか何なんにも恐こわくねぇって思おもわれちまうんだよ！テメェの醜態しゅうたい晒さらしたおかげでな！」

グレイブ「オ……エ……」

アレックス「テメェも適能者デュナミストだってんならシメるとこはきっちりシメてこいや！！！」

　　ガン！！！

グレイブ「ガハ！！！……はぁぁ…！！はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…！！！」

　地面じめんに叩たたき付つけられたグレイブはようやく解放かいほうされて必死ひっしに肺はいに酸素さんそを満みたそうと呼吸こきゅうをした。

アレックス「……チッ！ソルマン！！」

　アレックスが半なかばキレながら呼よびつけると、壁かべをすり抜ぬける様ようにノルスタインが部屋へやの中なかに入はいって来きた。

ノルスタイン「オオ〜〜お呼よーーびですか〜〜？？」

アレックス「グレイブこのバカがやらかしたしくじりの為ためにこの俺おれが直々じきじきに出でることになった…」

ノルスタイン「まぁーーー何なんてこ〜〜とでしょーーう？敵てきはいった〜〜い誰だれでーーすか〜〜？？」

アレックス「都市とし内ないのホテル『ローグ』ってとこにいるガキ二人ふたりらしい……このままブルガント団だんをナメられたままにしてたまるか！！」

　アレックスはその後あと扉とびらを蹴破けやぶる様ように部屋へやを出でて行いった。ノルスタインはその様子ようすを見みてしばらくしてその後あとを着ついて行いく様ように歩あるいて行いった。

ノルスタイン「……シカゴこのまちもこれで終おわりでしょーーかね〜〜」

　ーーーーーー早朝そうちょうホテル『ローグ』にて、

竜賀りゅうが・源太げんた「どりゃああああああ！！！！」

　　ガン！！ガン！！ガン！！ガン！！ガガン！！

光男みつお「おお！やってる♪やってる♪朝あさから稽古けいことは師匠ししょう冥利みょうりに尽つきるな〜！」

　藍川あいかわ光男みつおが木刀ぼくとうを肩かたに担かつぎながらホテルの庭にわで実戦じっせん稽古けいこをしているのを見みて愉快ゆかいそうな声こえを上あげた。木刀ぼくとうで戦たたかっている藍川あいかわ竜賀りゅうがと、木製棍もくせいこんで戦たたかう猿渡さわたり源太げんたはその声こえに気付きづいて手てを止とめた。

源太げんた「あ！おはようございます！！」

竜賀りゅうが「！？おはようございます！！」

光男みつお「おはようございます！！今日きょうは一段いちだんといい挨拶あいさつだねぇ……昨日きのうの戦たたかい勝かてたのがそんなに嬉うれしかったか？」

源太げんた「いやーーバレちゃいましたぁ〜？」

竜賀りゅうが「おい！そんなんじゃないけど」

光男みつお「いいよいいよ！そうやって一ひとつの成功せいこう体験たいけんを自信じしんに繋つなげていくってのは」

源太げんた「ホラ！おやっさんもこう言いってんだし！」

光男みつお「……だが成功せいこう体験たいけんが邪魔じゃまする時ときもかなりあるからな」

竜賀りゅうが「ホレ見みろ！そんな簡単かんたんに油断ゆだんして良いいことじゃねぇんだ！」

光男みつお「ハハハ……まぁ昨日きのうの戦たたかいは二人ふたり共とも悪わるかったとこも良よかったとこもキッチリ整理せいりして自信じしんになったと思おもうよ…慢心まんしんじゃなくて、自信じしんにな」

　光男みつおも身体からだを伸のばしながら準備じゅんび体操たいそうを進すすめていき、二人ふたりのもとへ近付ちかづいて来きた。

竜賀りゅうが「父とうさんさ……今日きょうはどうする予定よていなの？もうすぐでシカゴこのまちから出でて行いくの？」

光男みつお「ん？…イヤ、ちょっとこの都市まちの様子ようすを見みてみようかなって思おもってる」

源太げんた「え？この都市まちから出でて行いかないの？」

　源太げんたは不安ふあんそうな顔かおをしていたが光男みつおはそれを落おち着つかせるように優やさしく語かたりかけた。

光男みつお「大丈夫だいじょうぶだよ源太げんた…なるべく早はやくこの都市まちから出でて行いく様ようにするから…」

竜賀りゅうが「この都市まちで何なにか欲ほしい物ものでもあるの？」

光男みつお「うん」

源太げんた「何なにが欲ほしいの？」

光男みつお「俺おれが戦たたかう為ための真剣しんけん…つまりは刀かたなだな。なるべく日本刀にほんとうの方ほうが良いいけど」

竜賀りゅうが「やっぱり昨日きのうみたいに父とうさんだけ丸腰まるごしってのは不安ふあんなの？」

源太げんた「木刀ぼくとうがあるじゃん」

光男みつお「木刀ぼくとうじゃ防御ぼうぎょに心許こころもとなさ過すぎるからな……そこはなるべく良いい真剣しんけんを手てに入いれておきたいんだよ」

竜賀りゅうが「でもアテはあるの？」

光男みつお「そりゃエリックさんに聞きくのさ！おっ！噂うわさをすればナントやらだ」

　庭にわに部屋着へやぎで入はいって来きて、目めを擦こすりながら欠伸あくびをしていた。

エリック「こんな朝あさ早はやくから、剣術けんじゅつの訓練トレーニング？」

光男みつお「いつもの日課ですよ！朝あさの人間にんげんが集中しゅうちゅう力りょくを発揮はっきしやすい時間じかん帯たいにキツめの稽古けいこをすると技術ぎじゅつが身みに付つきやすいんですよ！」

エリック「そっか…そりゃ良いいけど…今日きょうはどうするんだい？この都市まちから出でて行いくのかい？」

光男みつお「それもあるんですが……この都市まちに鍛治屋かじやか武器屋ぶきやはありませんか？」

エリック「え？……そりゃあるにはあるが……何なんだい？無適能者アンチステージとして武器ぶきが無ないのが怖こわくなったのかい？」

光男みつお「ええまぁ……あんなに適能者デュナミストが物騒ぶっそうな規模きぼの破壊力はかいりょくを持もっているんであれば、僕ぼく自身じしん今いまのままじゃ息子むすこ達たちの何なんの助たすけにもならないので……」

エリック「分わかった……そんじゃあ良いい武器屋ぶきやをいくつか知しってるから、そこに行いくと良いい！かなり良いい拳銃けんじゅうや機関銃きかんじゅうが揃そろってるらしいから…」

光男みつお「ああ！いや！！…あの…」

エリック「どうした？」

光男みつお「欲ほしいのはピストル系けいじゃなくって…剣けんなんですよ…できれば刀かたなが良いいので」

エリック「はぁ！？剣けん！？光男みつお！！アンタ正気しょうきかい！？そんなもんじゃ息子むすこどころか自分じぶんの命いのちだって守まもれやしないぜ！！」

光男みつお「いえ…銃じゅうは使つかい慣なれていないので、馴染なじみ深ぶかい武器ぶきの方ほうが良いいんです」

エリック「………アンタがそう言いうんなら……とりあえず心当こころあたりのあるとこに連絡れんらくして、紹介状しょうかいじょうもアンタ達たちに出だすよ」

　エリックは言葉ことばを飲のみ込こんで、光男みつおの要望ようぼう通どおりにすると腹はらを括くくった。光男みつおはその言葉ことばに深々ふかぶかと頭あたまを下さげた。

光男みつお「ありがとうございます」

光男みつお「ーーーーーここか…」

　光男みつおは車くるまを降おりながらそう呟つぶやいた。シカゴの都市まちの目立めだたない路地ろじを少すこし入はいったすぐそこに探さがしていた店みせがあった。

　ーーーー鍛冶屋かじや『サウザンド・ダイ』ーーーー

竜賀りゅうが「“千のサウザンド死ダイ”…か……カッコいいんだか、物騒ぶっそうなんだか」

光男みつお「まぁまぁ…これから手てに入いれる物ものを考かんがえたらかわいい名前なまえじゃないか…」

　店みせ自体じたいは鉄筋てっきんコンクリートでできた頑丈がんじょうなバーの様ような雰囲気ふんいきを出だしていたが、店みせの内側うちがわからは異様いような空気くうきが漂ただよっていた。

源太げんた「こんなところに本当ほんとうに欲ほしい武器ぶきがあんのか？」

竜賀りゅうが「さぁね？」

光男みつお「元々もともと日本にっぽんにある様ような骨董品こっとうひんで尚且なおかつレアな品物しなものだからな……駄目ダメで元々もともとかもしれん」

竜賀りゅうが「そんじゃここで大人おとなしく車くるま見みてろよ」

源太げんた「はぁ？せっかくだし！俺おれも店みせに入はいりたいっての！！」

竜賀りゅうが「我儘ワガママ言いうなよ……車くるまの中なかには食料しょくりょうや旅たびの必需品ひつじゅひんが山やまの様ようにあるんだぞ！誰だれかが監視かんししてなきゃ駄目ダメだ！」

源太げんた「だったら竜賀りゅうががやれよ！」

竜賀りゅうが「日本刀にほんとうの見本みほんを今いま持もっているのは俺おれなんだよ……それにお前まえだけじゃなくて見みつかって困こまるのは俺おれも父とうさんも一緒いっしょなんだからリスクも一緒いっしょだ」

光男みつお「そういうことだ……けどもし本当ほんとうにやばくなったらこの場ばから離はなれてもいいからな」

源太げんた「……分わかった」

光男みつお「ありがとう…マクシム連合れんごうが来くる前まえに帰かえってくるのを祈いのっといてくれ」

　それだけ言いい残のこすと光男みつおと竜賀りゅうがは駆かけ足あしで店みせの入口いりぐちまで走はしって行いってしまった。源太げんたは車くるまの中なかで身みを屈かがめながら祈いのっていた。

源太げんた「マジで急いそいでくれ二人ふたり共とも…」

　ーーーーサウザンド・ダイの入口いりぐちに近付ちかづいた時とき、突然とつぜん扉とびらが開ひらき二人ふたりを突つき飛とばしそうになった。

光男みつお「おおう！？？」

竜賀りゅうが「うわあ！？？」

　扉とびらの内うち側がわから屈強くっきょうで大柄おおがらなスキンヘッド男おとこが出でて来きた。いかにも自分じぶん達たちはこの店みせの門番もんばんですと主張しゅちょうするかの様ように腕組うでぐみして光男みつおの前まえに立たち塞ふさがった。

門番もんばんA「何なんの用ようだ？」

門番もんばんB「子供こどもを連つれていれば怪あやしがられないと思おもっているのか？」

光男みつお「……はぁ…こんなとこで喧嘩ケンカしたくは無ないんですよ…」

　光男みつおはポケットの中なかに手てを突っ込ツッコんだ。門番もんばんは素早すばやい動うごきで腰こしのホルスターにあった拳銃けんじゅうを抜ぬき、光男みつおの頭あたまに向むけた。しかし光男みつおはそれに動どうじずポケットから手紙てがみを取とり出だし、それを門番もんばんの男おとこにゆっくり差さし出だした。

光男みつお「エリック・ブラックさんからの紹介しょうかいでここに来きた。これがその証拠しょうこです」

　門番もんばん達たちは目めを丸まるくしてお互たがいに顔かおを見合みあわせたが警戒けいかいを一切いっさい解とかず、一人ひとりが手紙てがみをゆっくり受うけ取とり手紙てがみの中身なかみを確認かくにんした。

門番もんばんA「………確認かくにんした。こちらへどうぞ」

　そういうともう一人ひとりの門番もんばんも拳銃けんじゅうを下おろし入口いりぐちへの道みちを譲ゆずった。光男みつおは竜賀りゅうがにアイコンタクトを取とり店みせの中なかに入はいって行いった。

　ーーーー店みせの中なかは全すべての壁かべにズラッと立たてかけられている拳銃けんじゅう、機関銃きかんじゅう、重火器じゅうかきが所狭ところせましと並ならんでおり、様々さまざまな武器ぶきが客きゃくを迎むかえる造つくりになっていた。

　門番もんばんの一人ひとりが入口いりぐちでまた待機たいきして、もう一人ひとりの門番もんばんが光男みつおと竜賀りゅうがの二人ふたりを店みせのカウンターにまで案内あんないした。

門番もんばんA「この店みせのリーダーはこの奥おくにいます。着ついてきて下ください」

光男みつお「ありがとうございます」

　そのまま門番もんばんの後うしろに着ついてカウンターの奥おくにある扉とびらの中なかに入はいって行いった。

　　カーン！カーン！カーン！

　そこにはこれまた筋骨隆々きんこつりゅうりゅうな白人はくじんの男おとこが巨大きょだいな釜戸かまどの前まえで鉄てつを打うつ作業さぎょうをしていた。

門番もんばんA「リーダー！例れいのお客様きゃくさまを連つれてきました」

光男みつお「Mr.ミスターケリガン・コーエンですね？」

　ケリガン・コーエンは作業さぎょうの手てを止とめ後うしろを振ふり返かえり光男みつおの顔かおを見みつめ、さっきまでの無表情むひょうじょうを崩くずして気難きむずかしそうな顔かおを向むけた。

ケリガン「ああ……アンタらか…Mr.ミスターブラックの言いってた客人きゃくじんってのは…」

光男みつお「ええ……藍川あいかわ光男みつおと言いいます。こっちは私わたしの息子むすこの竜賀りゅうがです」

竜賀りゅうが「藍川あいかわ竜賀りゅうがと言いいます！よろしくお願ねがいします！」

ケリガン「元気げんきが良いい餓鬼がきだな……だが俺おれはあんまり世間せけん話ばなしには疎うとくってな…興味きょうみが無ないからあんまり話はなしは弾はずまねぇぞ」

光男みつお「……今日きょう我々われわれがここに来きた理由りゆうを事前じぜんにMr.ミスターブラックから連絡れんらくを受うけ取とっていますよね？」

ケリガン「ああ……俺おれに銃じゅう以外いがいの武器ぶきを貰もらいたいそうだな？」

光男みつお「ええ……私わたし達たち親子おやこは銃じゅう社会しゃかいとは随分ずいぶん縁えんの無ない世界せかいに過すごしていたものなんでね、銃じゅうは全まったく使つかい慣なれていないんで脅おどしにもならないんですよ…」

ケリガン「……ほう？……見みたところ二人ふたり共とも…東洋人オリエンタルに見みえるが間違まちがいないかな？」

光男みつお「ええ…日本人ジャパニーズですよ」

　ケリガンはその言葉ことばを聞きいた途端とたん顔かおがパァっと明あかるくなり、口数くちかずが一気いっきに増ふえた。

ケリガン「おお！！マジか！？俺おれ昔むかし日本にっぽんに行いってたことがあるんだぜ！！」

光男みつお「本当ほんとうですか！？」

ケリガン「ああ本当ほんとうさ！！こりゃ良いい客きゃくが来きたもんだ！！俺おれは昔むかし日本にっぽんの冥臥めいが連合れんごうに命いのちを救すくわれてから人生じんせいが変かわったんだからな！」

竜賀りゅうが「冥臥めいが…？連合れんごう？？何なんですかそれ？？」

ケリガン「おん？知しらねぇのか小僧こぞう？冥臥めいが連合れんごうと言いえば日本にっぽんで唯一ゆいいつの適能者デュナミスト組織そしきじゃねぇか！俺おれは昔むかし冥臥めいが連合れんごうのダイゴロウって男おとこに助たすけられてな！その人ひとから今いまの武器ぶき造づくりの基礎きその知識ちしきを教おそわったのさ！」

光男みつお「そうだったんですね！」

ケリガン「ああ！………そうか日本人ジャパニーズか…ってことは御所望ごしょもうの品しなってのは銃じゅうではなくアレ・・だな？」

　ケリガンは少すこし眉まゆをイタズラっぽく上下じょうげに動うごかしながら光男みつおの目めを真まっ直すぐ見みつめた。

光男みつお「もちろん我々われわれ親子おやこは剣士けんしですので剣けんです！できれば日本刀にほんとうで！」

ケリガン「だろうな！！話はなしがようやく分わかる客きゃくが来きてくれてありがてぇよ！待まってろよ！」

　ケリガンは勢いきおいよく立たち上あがり、部屋へやの隅すみに置おいてある宝箱たからばこに近付ちかづいていき胸元むなもとから鍵カギを取とり出だし、それを光男みつおに見みせびらかしながらニヤニヤしてきた。

ケリガン「風かぜの噂うわさではな……日本にほんの名なのある剣士けんしなら喉ノドから手てが出でるほど逸品いっぴんだからな…コイツは」

　ケリガンが宝箱たからばこをその鍵カギで開ひらき、重おもそうな蓋ふたをゆっくり上あげた。ケリガンは大おおきく深呼吸しんこきゅうし緊張きんちょう感かんを持もちながらゆっくり箱はこの底そこに両手りょうてを入いれていった。

　ケリガンが宝箱たからばこから取とり出だしたのは、白しろい絹きぬの布ぬのが掛かかった刀掛かたなかけだった。

　竜賀りゅうがはそれを見みて背筋せすじがゾクゾクした。光男みつおも緊張きんちょうした顔かおの奥おくに興奮こうふんが漏もれていた。剣士けんしであれば条件じょうけん反射はんしゃ的てきに反応はんのうするこれは、

竜賀りゅうが「真剣しんけんですか……！！？」

ケリガン「ああ…！！だがそこいらにあるナマクラのレプリカやハンパもんじゃねぇ…正真しょうしん正銘しょうめい本物ほんものの真剣しんけんだ」

光男みつお「一体いったい……誰だれが打うった…逸品いっぴんなんですか？」

ケリガン「さっきも言いったがな、俺おれの師匠ししょうに当あたる人ひと……沢城さわしろ大吾郎ダイゴロウの渾身こんしんの七作しちさく『沢城さわしろ大吾郎ダイゴロウ作さく七聖剣しちせいけん』の内うちの一振ひとふり『聖剣せいけん・藍風あいかぜ』だ」

光男みつお「……なぜそんな凄すごい作品さくひんを私わたしなんかに？一応いちおう剣術けんじゅつの心得こころえを持もっているとは言いえ、見みず知しらずの赤あかの他人たにんの私わたしにそんな大切たいせつな物ものを…？」

ケリガン「いやな？……実じつは昔むかし俺おれが日本にほんからアメリカに帰かえってくる時とき、大吾郎ダイゴロウ先生せんせいが俺おれが一生懸命いっしょうけんめい刀かたな造づくり頑張がんばってた御礼おれいの意味いみを込こめてこの藍風あいかぜをいただいたんだよ。でも日本にっぽんでは今いま『沢城さわしろ大吾郎ダイゴロウ作さく』の宝刀ほうとうが実じつは六作ろくさくじゃなくて七作しちさくあったってことで剣士けんし達たちの中なかで大だいパニックが起おきてるらしいんだ」

　竜賀りゅうがは引ひき込こまれる様ようにケリガンの話はなしに聞きき入いっていた。今いま日本にっぽんにいる剣士けんし達たちがこのアメリカに持もち込こまれた伝説でんせつの逸品いっぴんを血眼ちまなこで探さがしているというのだ。

光男みつお「これを……私わたしが使つかっても良いいと？」

ケリガン「それもある！…でも本当ほんとうはこれを日本にっぽんにいる俺おれの友達ともだちに渡わたして欲ほしいんだ」

光男みつお「日本人にほんじんの？」

ケリガン「ああ！名前なまえは大嶋おおしま丈じょうって言いうんだ。そいつは俺おれが中華ちゅうか連邦れんぽうに拉致らちされているのを助たすけてくれた大吾郎ダイゴロウ先生せんせいの所ところでお世話せわになっていた時ときに親友しんゆうになったんだ」

竜賀りゅうが「その大嶋おおしまさんってMr.ミスターコーエンが何歳なんさいの時ときに知しり合あったんですか？」

　竜賀りゅうがはどうしても気きになってつい口くちをついて質問しつもんしてしまった。

ケリガン「ん？俺おれが10才さいの時ときさ。その時ときは丈じょうの奴ヤツが12才さいだから今いまは確たしか61歳さいのはずだ」

竜賀りゅうが「それじゃあMr.ミスターコーエンは今いま59歳さいなんですか！？見みた目めメチャクチャ若わかそうなのに！！」

　またつい思おもったことが口くちをついて出でてしまった。

ケリガン「ハッハッハッハッハッハ！！そう言いって貰もらえて光栄こうえいだね！若わかさの秘訣ひけつは筋きんトレだぜ！！筋肉きんにくは裏切うらぎらねぇからな！」

光男みつお「大分だいぶ話はなし逸それましたけど、この藍風あいかぜをその大嶋おおしま丈じょうさんに友情ゆうじょうの証あかしとして納おさめに行いって欲ほしいってことですね？」

ケリガン「ああ…アイツとは腐くされ縁えんだからな……離はなれてても丈じょうは親友しんゆうだ」

光男みつお「連絡れんらくは取とり合あっているんですか？今いまでも？」

ケリガン「いや……もう随分ずいぶん前まえから連絡れんらくは取とり合あえてねぇんだ。だから藍風コレは師匠ししょうが俺おれにくれた、俺おれと丈じょうの友情ゆうじょうの誓ちかいなんだよ。丈じょうが藍風コイツを見みてくれれば思おもい出だしてくれるはずだ。まだまだ未熟みじゅくだったけど刀かたな造づくりに魂たましいを込こめていた頃ころの誓ちかいを…」

竜賀りゅうが「ケリガンさんって刀かたな造づくりが大好だいすきなんですね」

ケリガン「ああ……師匠ししょうが刀かたな造づくりに生命いのちを懸かけてる様ような人ひとだったからな…この藍風あいかぜだって師匠ししょう自身じしんの伽霊能力ギアルスキルで造つくったんだよ」

光男みつお「え？刀かたなを打うつのにも伽霊能力ギアルスキルを使つかったんですか？」

ケリガン「ああ…それで言いうなら俺おれもそうさ……この火ひを操あやつる伽霊能力ギアルスキルで金属きんぞくを熔とかして、錬成れんせいして、武器ぶきを鍛きたえる技術ぎじゅつは師匠ししょうから教おそわったもんだからな」

光男みつお「そうだったんですね」

竜賀りゅうが「どうしてそんな大切たいせつな宝物たからものをなぜ僕達ぼくたちに託たくしてくれたんですか？日本人にほんじんだからですか？」

ケリガン「……理由りゆうか……そんなモン特とくにねぇよ」

竜賀りゅうが「へ？」

ケリガン「強しいて無理矢理むりやり理由りゆうを付つけ加くわえるとすれば、光男みつお！アンタが武器ぶきが欲ほしくてここに来きたはずなのに銃じゅうには目めもくれず真まっ先さきに刀かたなをくれと言いって来きたからかな？人ひとと殺ころす武器ぶきでもなく、聖剣せいけん・藍風あいかぜでもなく、『俺達おれたちは剣士けんしだから剣けんでお願ねがいします』ってな」

光男みつお「それぐらいの理由りゆうでこんなに大事だいじな刀かたなを我々われわれに託たくしてくれるなんて……」

ケリガン「ま…勘かんって奴ヤツだな……アンタになら託たくしても大丈夫だいじょうぶそうだなと勝手かってに思おもっただけさ…」

　ケリガンが絹布けんぷに手てを掛かけて二人ふたりに目めで合図あいずした。

ケリガン「さて！！前まえ置おきはここまでだ！まずは藍風コイツを見みて貰もらおうか！」

　バサッ！！

　絹布けんぷを勢いきおいよく払はらい除のけた時とき、刀掛かたなかけの上うえには藍色あいいろに黒くろい雲模様くももようの漆塗うるしぬりの鞘さやと柄つかに美うつくしい銀ぎんの装飾そうしょくを施ほどこされた見事みごとな太刀たちが乗のっていた。

　光男みつおと竜賀りゅうがはその美うつくしさに息いきを飲のんだ。

ケリガン「まだ驚おどろくのは早はやいぜ？まだ外面そとずらを見みてるだけだ」

　ケリガンは鞘さやを掴つかんで柄つかを光男みつおの方ほうに向むけて、抜ぬいてみろと目めで訴うったえた。

光男みつお「それじゃあ…」

　光男みつおは恐おそる恐おそる柄つかを握にぎり刀かたなを引ひき抜ぬくと、刀かたなは青あおみがかった黒くろく輝かがやく刀身とうしんを覗のぞかせた。

光男みつお・竜賀りゅうが「ふわああああ……」

ケリガン「クククク…」

　感嘆かんたんの溜息ためいきを漏もらす二人ふたりを必死ひっしに笑わらいを堪こらえながら見みていた。刀かたなを完全かんぜんに鞘さやから引ひき抜ぬくと切先きっさきまで美うつくしい直刃すぐはが全貌ぜんぼうを現あらわした。

ケリガン「適能者デュナミストとしての能力チカラを生涯しょうがい日本刀にほんとう造づくりに捧ささげ続つづけ死しんだ伝説でんせつの刀匠とうしょう沢城さわしろ大吾郎ダイゴロウの傑作けっさくの一振ひとふり……」

光男みつお「これが……聖剣せいけん・藍風あいかぜ」

竜賀りゅうが「………綺麗キレイ」

ケリガン「光男みつお……これは今いまだけアンタが使つかってもいい…時間じかんが掛かかってもいい……でもいつか…」

光男みつお「この刀かたなを大嶋おおしま丈じょうさんに届とどける！……でしょ？」

ケリガン「……ああ！！そうだ！！」

　ケリガンは満足まんぞくそうな笑顔えがおを見みせた。

　そして光男みつおはあることにハッと気きがついたのか、突然とつぜんドッと滝たきの様ような汗あせをかき始はじめた。

光男みつお「………ち…ちなみに代金だいきんって……」

ケリガン「何なに言いってんだよ……これはむしろ俺おれからの頼たのみなんだ！金かねなんか要いらねぇよ！久々ひさびさに日本にっぽんの剣士けんしの目めを見みれたんだ！これを大事だいじに使つかって、丈じょうのもとに送おくり届とどけるのが代金だいきん代がわりだ」

光男みつお「それじゃあ……これは預あずからせて貰もらいます」

　光男みつおは刀かたなを鞘さやに納おさめ、その刀かたなを刀袋かたなぶくろに入いれた。光男みつおは竜賀りゅうがに続つづき武器ぶきとして真剣しんけんを手てに入いれた。

To Be Continued