第2章-7 黒いギターと遠ざかる料理

ESSAY - 魔法のフォアグラ

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僕はより一層アルバイトに精を出した。
一円でも多くお金を貯めて学費の足しにするんだ。
そう、強く思ったからだ。

だが、その決意は長くは続かなかった。
ごく普通の高校生の日常というものが僕の決意を無力化していく。
放課後になるとカラオケやボーリングへ誘わわれるし、仲のいい友達には彼女が出来て幸せシャボン玉いっぱいを振りまいてる。
それでも

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さあ。スピンオフをご拝読ありがとうございます♪
 ガンジャ先生。はまだ終わりがなく。成長しつつもまだまだの匠。

という事で第2部始まります。
舞台はインドへ。カレーvs匠と愉快な仲間達はジャイサルメールへ(ㆁωㆁ*)♡

第2章-6 夢と未来の詰まった白い封筒

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とりあえず資料を取り寄せてみよう。
このまま何もせずにはいられなかった。
いったい、料理学校っていくらかかるんだろう。

今なら家に誰もいない。
両親はまだ仕事から帰ってきていない。
弟は友達と遊びに行った。
祖母は近所におしゃべりに行ったまま。
今しかない。
分厚い電話帳を広げ、大阪あべの辻調理師専門学校の電話番号を調べた。
まだスマホ

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第2章-5 大人の世界へ

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アルバイトはその後も自然に舞い込んできた。
親方の手伝いもたまにしつつ、近所の土建会社の社長からも声がかかった。
きっと親方から聞いたのだろう。
駐車場の白線引きから工事中の旗振り、引越しの手伝いなど、料理とは関係ない仕事ばかりだったが仕事はあふれていた。

中三の夏休みには親方率いる大工職人と一緒に家を一軒建てた。
みるみるうちに家が建

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2-9.トリガー操作

音のツボに当てても

「2-4.音のツボとは」で解説した通り、それぞれのトランペットが持っている音のツボに当てることができれば、原理的には音色はもとよりピッチも安定します。したがって、自分自身が試行錯誤していちいち音のピッチを作っていくのではなく、楽器が本領発揮するためのサポートを奏者がするだけで安定した演奏は望めるわけです。

しかし、トランペットの演奏可能音域内において、ただ2つの音だけがツボ

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第2章-4 大阪の料理学校

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ダンボール箱はそのままにしてある。
押入れから出したまんまだ。
どうしても諦めきれなかった。

僕は、毎日のようにページをめくった。
読んでる、と言うより、ただ眺めているだけだった。
レシピがぎっしりと書かれているが、その横書きの文字から全く料理が想像出来ないのだ。
巻頭ページに写真が数枚あるものの、どうしてこんな料理になるのか全く分から

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2-8.チューナーとメトロノーム、チューニング

ピッチを合わせる、ということ

吹奏楽の世界は取り憑かれているのかと思うくらいピッチ(=周波数)にこだわりを持ち、そして混乱しているように感じます。

もちろん、複数の奏者が奏でる音のピッチの誤差があればあるほど、その演奏を聴く人にも、演奏者本人にもストレスが生まれて「美しさ」からかけ離れます。ですから、ピッチは安定していたほうが良いのは当然です。

しかし、そのピッチを合わせる方法や考え方が問題

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第2章-3 フランス料理

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叶わなかった父の夢。
それは、古ぼけた段ボールの中で何年も眠っていた。
そして、突如、僕の目の前に現れた。

ブオーン、
という乾いたエンジン音が聞こえた。
道路と家の駐車スペースの境には、水はけのために路肩があり、それをバックで乗り越えるためには、エンジンをふかすことになる。
そのエンジン音がした。

父が帰ってきたのだ。

僕の胸の中

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第2章-2 西洋料理と僕

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テーブルに座るやいなや、山盛りに盛られた唐揚げには目も向けず、早口で母に疑問をぶつけた。
「ねえ、俺の押入れにあった料理の本、お父さんのやろ?」
母は、素っ気なくそれを認めた。
「そうや。置いとくとこないからそこに置いといて」
「あれ、西洋料理の本やったけど、お父さん日本料理やろ?なんでそんなもん持ってる?」
一瞬、母は手を止めて僕を見た

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2-7.ロングトーンの正体

ロングトーン、していますか?

私が知っている限り、ロングトーンを取り入れていない吹奏楽部に出会ったことがありません。また、ロングトーン練習が必要である、と考えている方、そして実践されている(できるだけ実践すべきだと考えている)方も大変に多いように思います。

ピアノや打楽器の音は出た瞬間から減衰、消滅します。そのため、音を持続させるためにトレモロやトリルなどの技法を用いることになりますが、管楽器

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