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肘で相手を斬る!キックボクシングKNOCK OUTを観戦して

キックボクシングイベントKNOCK OUTは、各キックボクシング団体のチャンピョンやチャンピョン経験者が団体やプロモーションの垣根を超えて参加して一番を決めるキックボクシングイベントだ。

KNOCK OUTの運営は、新日本プロレスの親会社でもブシロードが持つ子会社キックスロードがイベントを運営している。

そんなKNOCK OUTが約半年を掛けて開催するフライ級王座決定トーナメントの準決勝およびライト級アジアトーナメント1回戦が2018年10月7日(日)後楽園ホールで行われた。※昨年も長期間をかけてライト級王座決定トーナメントが開催されている。

“肘あり”キックボクシングで最強を決める

キックボクシングでは、肘あり、肘なしで大幅に競技性が変わってくる。※「肘あり」と表現しているが、正確には「肘打ちあり」(エルボーが有効)が正しい。肘打ちあり、なしのルールが試合ごとに違う場合は、試合の前に肘打ちについてアナウンスがあり、何度も観戦していると「この試合は肘ありルールです」で通じるようなる。

タイの国技であるムエタイでは、“肘あり”で行われている。立ち技最強を謳う競技であるからには、使える武器が一つ多いのは当然と言える。日本で“肘あり”ルールを採用している団体、プロモーションは新日本キックボクシング、レベレス、そしてKNOCK OUTなどだ。

KNOCK OUTでは、試合は3分5ラウンド行われ、パンチ、キック、肘が有効打として認められており、多くの試合で肘打ちが活用されている。多くのキックボクシングの試合が3分3ラウンドを採用している中でKOを多くするためか5ラウンドなのも特徴で、KO(ドクターストップ含む)が多く生まれる。

ドクターストップでもKOでも言い方とすれば一本勝ちである。ハッキリと勝敗が決まるので見ていてスッキリする。判定は観客が見ている印象と審判団の採点が一致しないことが多々あるので、スッキリ終わるの試合が多いことは素晴らしい。

個人的な話をすると総合格闘技が好きで、UFCで肘を使った戦いや一昔前だと全日本キックでサムゴー(ムエタイのバケモノ)の試合を後楽園ホールで見ていたので、肘なしルールを採用したキックボクシングは好みではなかった。そんな中でKNOCK OUTは肘ありを採用したイベントとして立ち上がり、「求めていた立ち技競技はこれだ!」と思えるイベントに出会えた。それからは見続けている

肘の斬れ味の鋭さを改めて感じさせられた大会

セミとメインでは肘の斬れ味の鋭さが非常に感じられる大会にだった。肘は骨が出っ張っているので、叩くというよりも斬るという表現が正しい。骨の先が顔に当たればぱっくりと斬れてしまう。

そんな肘が目立った大会だったが、このコラムではフライ級トーナメント準決勝の2試合を紹介したい。王座決定トーナメントなので負けたら終わりの緊張感の中で激しい試合が2試合行われた。

若手選手の鬼気迫る打ち合い。

まずセミファイナルで組まれたフライ級トーナメント準決勝、“リトルサイボーグ”タネヨシホ vs “ワンダーボーイ”大﨑一貴の試合では、ラウンドが進むにつれ肘を打ち合う展開に。

この試合は、KNOCK OUTプロデューサーの小野寺プロデューサーも事前番組で噛み合う(面白い)試合になることを推していたカードだ。

大崎の肘がタネの額にクリーンヒットして一気に試合が動いた。タネは大きなダメージを負ったことで、巻き返すためにラッシュで勝負に出た。

肘で額が斬られたことのダメージと出血で足元がおぼつかない中、ラッシュをかける姿は鬼神のような戦いだった。

最後の椅子を奪い合う戦い

メインイベントで組まれたフライ級トーナメント準決勝、石井一成 vs 仲山大雅の試合は、序盤から打ち合う展開。

1ラウンド目は仲山が押している印象だった。良いパンチも当たっていたが、2ラウンド以降は石井がクリーンヒットをさせている場面が多く、最後は打ち合いの中で肘が綺麗に鼻に決まった。

肘が綺麗にはいるとパンチやキックのように派手に倒れて失神するということはほとんどないが、肘をもらった選手は大きなダメージを負うことになり、仲山も一撃でドクターストップ。

試合後にツイッターで判明したが、仲山は肘でのダメージで鼻が粉砕骨折しており、直ぐに手術を行っている。見た目の派手さがないことが多い肘だが、競技上の有効打としては大きな威力を発揮する。

12月のメインイベントはムエタイ出身で、肘を使って勝ち上がった2人

肘で相手を斬って勝ち上がった2人が12月のKING OF KNOCK OUT 2018両国国技館大会のメインイベントで、フライ級のタイトルをかけて戦うことが決定。

大崎一貴は、ムエタイ最高峰ルンピニースタジアムで8連続KOの記録を作り、タイトル奪取は残念ながらならなかったがルンピニースタジアム王座にも挑戦したことがある。

一方の石井一成もルンピニースタジアムで試合をしており、上位選手に勝っている。またRIZINにキックボクシングルールで参戦しているが、1勝1敗。2試合共に判定までもつれ込んでしまっているので、KNOCK OUTの肘ありルールの方が合っているのだろう。

ライト級と同じく来年はフライ級でもアジアトーナメントが開催されるのだろうか。王者として出場するには、勝つしかない。大崎も石井も、どちらも前に出ての打ち合いをする選手なので、ベルトを賭けた熱い試合が期待される。


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