デスアンドリバーシブル

飯を無理矢理にでも食わなければガチで死ぬ、と思ったことはあるだろうか

扁桃炎だと思うのだが、高熱と喉の痛みで飯が食いたくない

バナナシェイクばかり食べておるので、ついにレストランの娘たちからバナナシェイクの人!と覚えられた

病院もまともにあるか不明な離島で風邪をこじらせると死の気配がする

大げさすぎるかい?

解熱剤で体を誤魔化した隙に飯をかきこむ

俺はフィリピンまで来て何をやっているんだ、と笑いたくなる

別に死に場所なんて探してない

しかし本当に死というものが近づいているような感覚を覚えるのだ

もちろん、すぐそばに、なんてことはない

ただ、今まで意識したこともなかったようなものが意識されるのは恐ろしいと同時に興味深い

これ以上体調が一瞬でも悪化したら即座に日本に帰ろうと思う

なんども言うが死ににきたわけじゃない

ベットでうなされていると色んな感情が押し寄せてくる

前の会社で嫌だったことや、親への気持ちなど

朦朧としているから、意識と無意識が混濁しているのか

よくもまぁこれだけ怒りや憎しみを溜め込んでしまったものだなぁなんて思っている

そりゃ体調も崩れるよなぁ、申し訳なかったなぁという気持ち

誰かのために生きなければと思いつつ、それができない罪悪感に苛まれ続けた
そして罪悪感は自罰や自責を引き起こす

完全なシステムエラー

あるいはガン細胞だ

この呪いを誰かのせいにすることはできても、解けるのは己のみという

地獄は頭の中にある、というのは虐殺器官のセリフだが

天国もまた頭の中にあるはずなんだ

頭の中にあるはずの天国

天国じゃなくてもいい

平穏な地、平穏な日々

そんな簡単なもの

そんな簡単なこと

それを探しているんだよ

己に対する自己イメージ

世界に対する信頼感

この後、もし細胞が生まれ変わっているならフィリピン産だ

再生

するかな?

PS
今注文したカレーが届いたんだが、フィリピンの料理の中で初めてうまい!と思えるほどうまいカレーだった

すんなり胃に入った

人参やイモも

これで明日は生きられる

飯を食うたび、これでなんとか明日は生きられる、と思う

小さな女の子が名前を聞いてくれて、バイ〜と手を振ってくれた

明日は確実に生き延びられる

そんな気がした夜

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