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フルトヴェングラーの戦中録音を聞く(1)

フルトヴェングラーの第二次世界大戦中の録音をいくつか聞いてみたいと思います。
というのも、わたしは今まで、主に戦後の録音を聞いていて、戦中録音はあまり聞いていないからです。理由は音が悪いから。

といっても、戦中の録音でも音が良いものもなかにはあります。戦中録音は当時、ドイツが開発したマグネットフォン(磁気テープ)に録音され、以前に比べて音質は格段に向上したはずなんですが。。。

実際に聞いてみると、音が大きくなると混濁しまくったり、歪まくったりする録音も多々あり、困難で当時世界最高水準だったの?と言いたくなる録音も結構あります。

当時の録音技師のフリードリヒ・シュナップ博士の回想だと、録音はワンポイントマイクで行ったもので、少しで入力オーバーになると、歪んでしまったりしてコントロールが大変だったみたいです。

聞いてみた演奏
ブラームスの交響曲第4番、1943/12/12-15、ライブ、ベルリン・フィル

第1楽章の冒頭から、フォルテで歪まくり、挫折しました(笑)。
このように歪まくりだと、音楽として楽しめません。一応、第2楽章以降も聞きましたが、フォルテで歪むところはずっと一緒です。

それにしてもなんでこんなに録音、下手なんでしょうね。1943年といったら、もう何回もベルリンの旧フィルハーモニーで録音は行ってきたわけで、大音量での入力オーバーぐらい簡単に対処できそうですが。。もう一つの可能性としては、もとの録音では歪んでなかったけど、コピーを繰り返して歪みだしたというのもありえなくはないですが。56年メロディアのアッコルド盤から歪まくりのようなので、その可能性は低いかなと思います。または、メロディアの制板が良くなかったのか?

まあ、フォルテ以外の箇所で音が良いところもありますので、そこを楽しめばよいのかもしれませんが、ここまで歪が頻発すると自分には無理でした。

演奏自体は、戦後のものとさほど変わりないです。解釈はすべて一緒ですね。というわけで、私がフルトヴェングラーのブラームスの4番を聞くならやはり、1948年録音を選びます。

追記
その後、以下の別復刻を聞いてみると、そこまで歪まくりではなかったです。これなら演奏を少しは楽しめそうです。

聞いた結果
この音源なら十分に聞けます。人工的にエコーを追加している可能性はありますが、音はまずまずです。第1楽章含めて全体的にそこまで歪みません。十分許容範囲内です。

このように歪みが少ない音源で聞くと、演奏の良さが伝わってきます。基本的な形は、1948年の戦後の演奏と大差なく同じですが、確かに少し若々しいかもしれません。推進力があり勢いのある演奏です。
一番感銘を受けたのはやはり、第4楽章ですね。流れが良く、後半の高揚感が最高です。これは名演奏ですね。

今のところ、大戦中の演奏で、良いと思ったものは、ベートーヴェン交響曲第3番(1944年、ウィーン)、ベートーヴェン交響曲第5番(1943年、ベルリン)、ブルックナー交響曲第5番(1942年、ベルリン)、ブルックナー交響曲第8番(1944年、ウィーン)、シューベルト交響曲第8番「グレイト」(1942年、ベルリン)ぐらいですが、今回、できるだけ大戦中の演奏を聞いて、好きな録音を見つけたいと思います。


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