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【POV】即興2人芝居WS 中級コース 土曜クラス 20230806

60分間の即興2人芝居を行なうためのワークショップ
中級コース

◆内容◆
 ●映画『ドライビングミスデイジー』の確認(宿題)
 ●オープニング10分間を成立させる


◆POV
木曜クラスに引き続きこの土曜クラスでもやはりこれがキーとなった。今一度確認をしておきたい。

POVとはPoint Of Viewの略称であり、相手のセリフや一挙手一投足に自分はどのような影響を受けるかという事を指す。
POVが発生するには下記の流れで行われる。

① 相手役(等)からの何かしらのアクション
  ↓
② 衝動を受ける
  ↓
③ アウトプット


順に説明していく。
 
① 相手役が何らかの言動を行なう。
・裁縫を行なう
・「馬鹿」とこちらに向かって言う
・こちらを睨みつけてくる
等、具体例を挙げれば枚挙に遑がないがとにかく相手が発する全ての言動を指す。仮に、相手役から「好き」と言われたと仮定してこの話を進めていきたい。
 
② 「好き」と言われた自分がどう反応するのかが大事だが、その反応の前段階として、「好き」と言われたこと事態への衝動が存在する。この衝動は相手の言動によって千差万別である。例えば下記の4例。
 ・愛する人から「好き」と言われた
 ・嫌いな人から「好き」と言われた
 ・愛する人から「死ね」と言われた
 ・嫌いな人から「死ね」と言われた
すべてが同一の衝動にはならない筈だ。
「相手からのアクションをしっかり受け取る」と言い換える事もできる。
 
③ そしてその衝動を外に顕すのがアウトプットである。所謂リアクションと呼ばれる箇所だ。
「好き」と言われたことに対して「ありがとう」と言うのか。泣き始めるのか。部屋を出て行ってしまうのか。
「ありがとう」と言うにせよ、笑いながら言うのか。それとも泣きながら言うのかでその後の展開が全く異なる。
これは即興芝居を行なう役者のチョイスであり、センスとなる。自分の引き出し=表現者としての幅を拡げていかないといつまでもワンパターンの表現に陥ってしまう部分だ。
 
上記を踏まえた上で、ぼくがWS中に受講者に何度も何度も繰り返し言っている「POV持って!」について説明していきたい(あまりに言いすぎた為、受講者の間でのぼくのあだ名が「POV中毒者」になっている)。
 
ぼくが受講者に「POV持って」と言う時、それはたいてい上記の②衝動が欠けている事を指す

②衝動があるなら、飛び交うような軽快な言葉のラリーを行ない続ける事は非常に困難となる筈である。「やりとりが早すぎる」という指摘は、とりもなおさず「①の後、②を飛ばして③になってるわよ。もっと②を丁寧に味わってごらんなさいよ」という事を、美輪さんを真似て言ったに過ぎない。
軽快な言葉のラリーは観客を置き去りにする。
なぜなら観客は皆、客席に座りながらも自然と頭の中で即興している。つまり、上記の①②を味わいながらも「さて舞台上の演者はどう③アウトプットするんだろう?」と楽しみに見ているのだ。
軽快な言葉のラリーは観客の楽しみを奪う行為に等しい。観客の生理に合わない為、満足度の下降は止められない。
 
ではなぜこの現象が起きるのか。理由は大別すると2つだ。
理由1: 焦り
→「早く③アウトプットをしなければ」意識から②を疎かにする。これを改善するには、ゆったりと落ち着いて落ち着いた後やはり落ち着くしか無い。焦る必要などないのだと腑に落とす事ができれば改善される。改善するのは難しくない。
 
理由2:自分の衝動がわからない
→かつてのぼく自身もこうだった。恩師の言葉を借りれば「自分と繋がる」必要が出てくる。自分と繋がっていないと、自分自身がどう感じているかがそもそも判らないのである。レペテションやセンソリー等が非常に効果的であり、時間はかかるが改善される。
そしてこれが改善されると人が生まれ変わった様に別人となる。
 
以上、即興芝居におけるPOVの説明である。

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