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ひどらの不思議体験記◉(バリ編②)

部屋も見つかり落ち着いたところで
まずはみんなに会いに行くことにした。

部屋探しを手伝ってくれた男の子は、
レザーショップで働いている。
お礼もあるし、今日はそこへ行くことにした。

この時はまだスマホもなくて、
ガラケーは海外では使えないから
連絡手段は何もなかった。
相手が携帯を持っていれば、ワーテル
(電話やパソコンを時間を区切って貸してくれるところ)
へ行き電話をすることができるけれど、
めんどうなので直接行ってみることにした。

「いなくても誰かはいるし大丈夫☺︎」

「ハロー」
「スラマッソレー」
「オーひどらハロー」
「アパカバール?(元気?)」
「バグス!(めちゃ元気!)」
「いいねぇー!」

そんないつもの会話をして、
ショップの真ん中にあるテーブルに通される。

ホテルを一緒に探してくれた彼はいなかった。
夕方には戻ってくるみたいで、待つことにした。

みんなあんまり元気がない。
聞くと丁度断食のタイミングで、
水さえ飲んでいない彼らは、
ベンチで力なく横になっていた。

「はぁぁぁ」
ため息と併せて、水の入ったペットボトルを
いじくってボーッとしている子に

「水くらい飲みなよ。それもダメなの??
死んだらどーすんの。」

「んんん。ノー!」

この時出会った彼らはイスラム教徒で
みんな断食をしていたから
フラフラの店員しかいなかった。

因みにバリは、
バリヒンズーが大半を占めていて
次にキリスト教だという。

彼らは恐らくバリ人ではなく、
お隣の島、ジャワ人なのだと想う。
(この辺りのことは色々あるので深くは
聞かないようにしていた。)

「おなかすいた。。」
そりゃそうだ。
「はあああ」
「ああああああ」

でも彼らにとってはとても大切な儀式。

腹の底から絞り出すようなため息が
幾重にも重なり鳴り響く中、
わたしはくぴくぴ水を飲む。

「じとーっ。」
「ミヌン?(飲む?)」
「ノォォォ!」

キャッキャと同じやりとりをしていたら、
他の子から話しかけられる。

「ひどらのホテル、アレ来た?」
「ん?あー。来てないよ。ブルン。(まだ。)」
「ブルン?」
「ヤ。ブルン。」

みんなしてなんだぁー。
と、残念な声をあげる。

テロが起きた時、あまりに急なできごとで、
一瞬で死んでしまった人たちは、
自分が死んでいることを解っていない。
だから、死んだ者がその時泊まっていた
ホテルの部屋に帰ってくるのだと聞いていた。

みんなわたしを怖がらそうと、
ニヤニヤしながらテーブルを叩く。
「コンコン。」
「ひどらー」
「コンコンコン。」
こうやって、ドアをノックしてくるのだって。

「ジャガン!サヤ、タクッ!(やめて!怖い!)」
わたしが笑って怖がる振りをすると面白がって
更に言ってくる。

「ひどらー!」
「コンコン!」
「うー。タクー!(怖いー!)」

そして、夜中にはあの黒焦げの車から音楽が鳴って
光るはずのないヘッドライトがピカピカ光り、
人の影が踊っている(目撃者あり)と、
新聞やニュースでもよく
取り上げられているみたいだった。

地元の新聞も見せてくれたけれど、
さすがにこれは読めなかった。残念。

(おばけかー。)
でもわたしのホテルには来ない。
なんとなく、そんな気がしていた。

英語やインドネシア語の勉強もかねて、
みんなと会話をいくつもしているうちに
18時が近くなっていた。

どうやら18時(日没)の夕食は食べられるようで
みんなそわそわしだす。

携帯でなにやら喋ってる。
誰かがラジオをつける。

18時目前で1人の仲間がバイクでやってきた。
よくある透明なビニール袋に食べ物が入っている。
それを何袋も携えていた。

みんなでビニール袋を素早く破り、
用意していたお皿に手際よく入れていく。
そして、ラジオに合わせ、祈りを捧げる。

その頃には、あの男の子もこちらにいたけれど、
お腹が空いてて会話どころじゃない。
お祈りが終わった瞬間、
みんな獣のようにご飯を食べ始めた。

(今日は帰った方が良さそうかな。
わたしもお腹すいたし。)

席を立とうとすると、隣に座っている子が
食器を指差して止めてきた。

そこには、わたしのスプーンも用意されていた。
戸惑っていると、

「ひどら!マカン!マカン!(食べて!食べて!)」
「え!タピ。。(でも。。)」
「ノー!ノー!食べて!」
「わたしたちはかぞくです。」
「イート!」
「イート!」
「だいじょぶ!」

日本語や英語やインドネシア語で、
口々にそう言って大切なご飯をご馳走してくれた。
みんなの方がお腹が空いているはずなのに、
お皿をこっちにやってくれる。

ビニール袋から出てきたそれらは
正直、なにがなんだかわからなかったけれど、
温かくて全部美味しかった。

そして、テーブルを囲んで
みんなで分け合って食べるご飯が
心にひたひたと優しく沁みた。

「これは甘い。スイーツ。」

ほかほかの白いココナッツベースのスープ。
中にはカラフルななにかが入っていたけど、
何かは分からない。
温かいスイーツのようだ。

「ん!エナッ!(美味しい!)」
と笑顔を見せると、みんな喜んでくれた。

あんなにも沢山あったビニール袋は、
あっという間に消え去った。

ごはんの時間が終わると、お店もそろそろ終わり。
空も暗くなってきた。

この日は、みんなで仲間の家に行くというので
ついて行くことにした。

いつもわたしの1日は、
誰かとともに終わっていった。∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

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