見出し画像

導入のポーズ「イ」

彼女は本当にポージングが下手だ
すごく美人で
コスプレ自体はすごく良いのに残念だ

何も言わずに撮影を始めると定番の3ポーズを披露する
どのキャラの時もそうだ
僕は別にそれでもいいと思うのだけど
彼女はそれで納得しない
「僕さんポーズどうしたらいいですか~」
このセリフが撮影開始15分で出てくるのが定番だ

何時かの撮影の時に、この流れからかなり自由なポーズ指定で撮影する流れになった
小道具の野菜のレプリカを使って物ボケする流れだ
この時の撮影に感触を得た僕はネタメモを取る癖がついた

「彼女にさせたいポージングメモ」とでも呼ぼうか
このメモの中には
「導入でノリが悪かった時にテンション上げるためのポーズ」
と言う項目があって、そこに『「イ」のポーズ』と言うのがあった

思い付きはこんな感じで、いわゆる「壁ドン」のポーズ、学園物の男性キャラならやることがあるポーズだ
相手がいないので変に見えるかもしないが、やってる二人は笑いながらもこの状況を楽しんでいた
この撮影が「イ」のポーズの発端だった

次の撮影では「イ」のポーズと称してポージング依頼した
実際に彼女に採用するとこれがなかなか準備体操に良い
「イの手の上げ方が逆だよ」
「手が真っすぐ伸びてないよ」
「身体は横向きのほうが良いかな」
撮影した画像をその場で見せて修正する、次第に身体と気持ちがほぐれて本来の撮影に向かうことができる
効果は抜群だ

このネタがかなりの緊張をほぐし、脳の活性化を促す効果を上げることがわかったので初めてポトレする方や、会話のネタにこの話をすることになる
「じゃあ、撮影前のウォーミングアップで「イ」のポーズして見よか」
「何それw」
撮影した「イ」のポーズ画像を見せる

「面白そうね」
「私の方が上手いわ!」
などと笑いながら乗ってくれる
写真を見ても一目瞭然で、コスキャラ撮影では出さない笑顔
笑顔になると人間は行動のクオリティが高くなる
その日の撮影画像は良いものが多く残る
僕のコレクションには「イ」のポーズの画像が増え、
彼女たちと次に会った時、話のネタになる

「よし、今日も「イ」やってみようか
「え~www」