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私の大切な一冊/ネバー・ギブアップジョン万次郎〜どんな時も強く生きる〜

#読書の秋2020
生まれて初めて、本を読んで嗚咽をあげて泣いた。

明治時代に日本人では初めてアメリカに渡った、
中浜万次郎(ジョン万次郎)の子孫の方が書かれた彼の伝記。

彼の人生は激動のものだった。
7歳のときに父を亡くし、兄は生まれつき病弱だったため、幼い頃から小間使いとして懸命に働き家計を支えいてた。
当時から頭が切れる子だったため仕事を自分の創意工夫で効率化していたところ、閉塞的な漁村の中では受け入れられず、「あいつは怠ける」とレッテルを貼られてしまう。
村の掟で、15歳を迎えれば漁師として海に出ることができる。大人たちからの冷遇にも耐え、それを心待ちに日々修練を積む。
満を持しての航海、しかしそこでいきなり大嵐に遭巻き込まれ遭難、無人島に流されてしまう。  

過酷な環境の中でも怪我をした船員や仲間を励まし、支え合いながらアホウドリを生け捕りにして食すなどして生き延びる。
しかし約半年が過ぎ、いよいよ食糧も尽きる。ここで終わりか…そう思った時、通りがかったアメリカ捕鯨船に救助される。

当時の日本は"鎖国政策"の真っ最中。彼らを助けたアメリカ漁船「ジョン・ハラウンド号」は救出こそしたが、日本へ送り届けることができない。
近郊海へ近づけば問答無用で砲撃されてしまう。
そこで一同はまずは次の港まで送り届けてもらうことに…

言葉も通じない、風貌もまるで違うアメリカ人と日本人。
お互いにぎこちなく過ごす中で万次郎は積極的に捕鯨船メンバーと身振り手振りでコミュニケーションを図り、何か自分にできることはないかと食器洗い、掃除、洗濯などを率先して代わる。
田舎の漁村では何をしても怒られてばかりだったが、ここでは自分で考えて行動することにより周囲に感謝され、絆が深まっていった。

そんな万次郎の姿を見続けていたのが、ウィリアム・H・ホイットフィールド船長。
辿り着いたハワイにて、万次郎一同を中国まで向かう船に乗せ日本近郊まで送り届けてもらえるように手配してもらう。しかし、ホイットフィールド船長は万次郎に「一緒にアメリカに行かないか?」と提案する。

そこから彼の人生が180度変わる。

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今でこそ個人の意思が尊重され、職業も居住も個人で選択できる時代だけれど、この封建的な時代の中での万次郎の行動、決断は周囲には狂気のものとして映っただろう…。
本当に奇跡の物語ではあるけれど、その奇跡をじっと座って享受するのではなく、万次郎は自分の創意工夫、努力、行動で倍に返す。
周囲がもうダメだ…と悲観的になっていても、どんな状況でも前向きに考え続け全てのピンチを成長の機会に変えてしまう。

事実は小説より奇なりとはまさに。
彼の人生はどんなドラマよりもドラマチックだと思う。
万次郎とホイットフィールド船長の物語には、心が大きく揺さぶられ、読みながら私は部屋で一人で嗚咽をあげながらボロボロに泣いた…。
(中浜家とホイットフィールド家は今でも子孫の方々で交流があるそう)

当たり前のことだけど、なかなか難しい。どんな時も前向きでいること。
万次郎のことを思うと、私はなんてちっぽけなことで悩んでいるのだろうと恥ずかしくなる。

大きな感動と学びをくれた大切な一冊。これから私がどこへ行くことになっても、持っていこう。そして時々読み返して思う。万次郎がタイムスリップして現代の日本を見たらどう思うかな。私は恥ずかしくない生き方をしているかな。ずるいことはしていないかな。前を向いているかな。

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なかなかネタバレ…?
彼の生涯は広く知られているからいいかな…
万次郎の生涯は数多く書籍化されているけれど、私はこれが一番好き。
是非是非多くの方に読んでいただきたいです👐❤

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