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観点別評価と評定の出し方

学期末になると学校の成績が話題になります。通知表には現在、観点別評価(ABC)と評定(5〜1)が記載されています。『どうしてAAAで成績4なのか。おかしい』『なぜACBで成績3が付いたのだろう?』などの不満も聞かれます。ここからは分かりやすさや説明責任の重要性を感じます。ここでは、観点別評価と成績の算出方法の算出パターンを考えます。


観点別評価とは

学習の状況を『知識技能』『思考判断表現』『主体性』の3つの観点で分析的に捉えて評価するやり方です。評価の出し方はABCの3段階で、

  • A:十分満足できる状況と判断されるもの

  • B:おおむね満足できる状況と判断されるもの

  • C:努力を要する状況と判断されるもの

と記号で表現します。

評定とは

学習指導要領に示す各教科・科目の目標に基づき、学校が地域や生徒の実態に即して定めた当該教科・科目の目標や内容に照らし、その実現状況を総括的に評価するものです。評価の出し方は5〜1の5段階で

  • 5:十分満足できるもののうち、特に程度が高い 状況と判断されるもの

  • 4:十分満足できる状況と判断されるもの

  • 3:おおむね満足できる状況と判断されるもの

  • 2:努力を要する状況と判断されるもの

  • 1:一層努力を要する状況と判断されるもの

と数字で表現します。高校では評定1は単位不認定になり、進級や卒業ができなくなる場合も生じます。

観点別評価と評定の算出方法例

これまで様々な先生がそれぞれ独自に工夫して成績を出しているのをまとめると以下のように分類できそうです。

①それぞれを独立して算出

観点別評価と評定を別々に出すやり方です。以下のメリットがあります。

  • 今までと同様に評定を算出できる。

  • 特に高校では、推薦や進学には評定のみが使われるため、今までと同じ基準で進路指導を行うことができる。

一方、以下のデメリットが考えられます。

  • 観点と評定が関連していないため、大幅なズレが生じることがある。

  • はっきり言って二度手間である。

  • 最終的に利用されない観点別評価を出す事自体に意味がほぼなくなり、本来の趣旨から外れる。

②観点別評価に応じて評定を算出

観点別評価を出し、それに基づいて評定を出すやり方です。さらに、観点別評価からどのように評定を出すかで2通りのやり方があります。

3観点均等の場合

観点別評価を出し、『知識技能』『思考判断表現』『主体性』の3つの観点を1:1:1で合算して評定を出すやり方です。以下のメリットがあります。

  • それぞれを学習の重要な要素として扱うことができる。

  • 『知識技能』『思考判断表現』『主体性』は結局強く相関しており、算出される成績はそれぞれが同じ傾向になる(知理・思判表・主体がABBで4など)。

  • 評定の出し方には各観点を数値化して合算する方法(例:各観点100点満点を合算して、300点満点中250点以上で5、200点以上で4、150点以上で3)や、観点別評価のパターンから評定を出す方法(例:AAAで5、ABBで4、BBBで3、BCCで2)など、柔軟な評定算出の方法がある。

一方、以下のデメリットが考えられます。

  • 『知識技能』よりも『思考判断表現』力を重視したいなど、教科の独自性に応えることが難しい。

  • 客観的に評価するのが困難な『主体性』の観点が『知識技能』と同じウェイトを占めてしまうことが問題と感じる人もいる。

3観点に重み付けをする場合

観点別評価を出し、『知識技能』『思考判断表現』『主体性』の3つの観点を、例えば5:3:2の割合で合算して評定を出すやり方です。以下のメリットがあります。

  • 教科によって重要視する力が異なる要求に答えることが出来る。

  • 特定の力を成績に大きく反映できる。

一方、以下のデメリットが考えられます。

  • 重み付けが低い観点がCの場合でも評定5がつくことがあり、一見おかしな成績になる(極端な例では、AACで評定5)。

  • 重み付けが低い観点がAの場合でも低い評定がつくことがあり、一見おかしな成績になる(極端な例では、CAAで評定3)。

  • 計算式が複雑になり、生徒へ説明する際に理解してもらうことが難しくなる。

まとめ

観点別評価と評定の算出パターンには、どのやり方にもメリット・デメリットがあり、教科ごとに重視したい内容によって異なっています。

そもそも3段階の観点別評価と5段階の評定は異なる性質のもののため、両方を同時に矛盾なく出すことが難しいです。そのため、皆さん苦労して観点別評価と評定を出しています。また、観点別評価の各項目(思考判断表現や主体性)を何でもって測るのかも一筋ではいかず骨が折れます。生徒保護者から問い合わせがあった場合、学校側には説明責任もあります。どの方法がベターか常に検討・見直しをしていく必要があります。

参考文献

【参考資料6-1】小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(概要)
https://www.mext.go.jp/content/20210325-mxt_daigakuc02-000013646_10.pdf

資料1-2 高等学校における学習評価に関する参考資料(2)
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/075/siryo/__icsFiles/afieldfile/2016/06/22/1372604_1_2_2.pdf

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