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理学療法士として大切なこと

私は、理学療法士の資格を取得して12年になります。

昨年度末まで、理学療法士として整形外科クリニックで働いてきました。

今年度からは臨床現場を離れて、現在はWebライターとして医療・健康・トレーニングなどの記事を中心に執筆しています。

理学療法士の9割は、医療福祉施設に勤務しています。

現場ではないところで働いている理学療法士としては、まれな存在と言えるわけです。

そんな私が、これまでの経験で感じたこと、考えたことをまとめていこうと思います。

「やり方」を学んではいけない

理学療法士は、休日を返上して自らお金を払ってまでセミナーに参加することが少なくありません。

そんな中で、多くの理学療法士が「やり方」を学ぼうとします。

〇〇〇〇法
〇〇〇〇テクニック
〜〜に対する理学療法

こういった内容を学ぶだけでは、実際に役には立ちません。

患者さんは人間です。

病名が同じだから同じ治療方法で治るのかと言うと、治りません!

同じ症状だから同じテクニックを使ったら症状が改善するのかと言うと、改善しません!

当たり前のことなのですが、理学療法士の大半がそのことを忘れてしまっています。

ほとんどの人間が、テクニックや学んだやり方を使って、治した気になっているだけなのです。

こんな状況で誰が困るのかと言えば、当然、患者さんです。

日本の教育に問題の根源がある

なぜ、ほとんどの理学療法士が「やり方」を求めるのか?

この原因は、日本の教育に問題があると考えています。

日本の教育では、常に「答え」を求めます。

その「答え」を求めるための、「やり方」を教えている。

どのような教科であってもその傾向が強いでしょう。

例えば、算数。

「1 + 1 = ?」

こういった問い方しかしません。

「? + ?= 10」

このような問い方はしませんよね。

理学療法で言えば、

「変形 + 炎症 = 膝の痛み」

このような「公式」を教えてもらわなければ何もできない。

「? + ? = 膝の痛み」

本来はこう考えなければいけないはずです。

?には変形が入るかもしれないし、肥満が入るかもしれない。

?を考えるのが臨床での仕事のはずです。

それに気づかない理学療法士があまりにも多すぎる!

評価が軽んじられているのではないか

理学療法士が、目の前の患者さんの状態を詳しく調べることを、「評価」と言います。

理学療法を進める上で、最も大切なことは「評価」です。

にも関わらず、ほとんどの理学療法士は治療法・「やり方」にばかり目を向けてしまっています。

理学療法士に関わってもらった患者さんのうちで、どのくらい満足されている方がおられるのでしょうか?

私個人としては、正直に言うと、家族や自分自身をそういった理学療法士には担当して欲しくないと思います。

理学療法士を対象としたセミナーで、「評価」をメインテーマにしたものはほとんどありません。

なぜか?

皆、「やり方」を求めているため、お金にならないからです。

現在、資格を取得している理学療法士のうち、半数は経験年数5〜10年以内の若手だと言われています。

そういった若い、言い方は悪いですが世間を知らない若者を ”食い物” にしている輩が多いのも現実です。

セミナーを主催している会社の一部には、そういった信念など皆無の組織もあります。

結局、理学療法士の狭い世界の中で皆が足を引っ張りあっている状況もあるわけです。

理学療法士の仕事に疑問を感じる

私の場合は、5年くらい経験をしたところで、いくら「やり方」を学んでも目の前の患者さんを治すことはできないことに気づきました。

「評価」を大事に臨床現場で働いてきましたが、患者さんの状態は100人いれば100通りの状態があります。

この現実の壁にぶち当たりました。

目の前の患者さんを治すことができない。

こんな理学療法士、患者さんをみてはいけないのではないか。

悩みました。

数年間、悩んだ結果、出した結論は臨床現場を離れることでした。

臨床現場を離れ、患者さんや健康な方に正しい情報を伝えていきたいと考えるようになりました。

正しい理学療法士の選び方。

これも伝えなければいけない内容でしょう。

もちろん、理学療法士にも根気よく間違っていることは伝えなければいけません。

臨床現場で結果の残せなかった理学療法士としては落ちこぼれとも言える私。

そんな私が偉そうに御託を並べたところで聞く耳を持ってくれる方はいないかもしれません。

しかし、私にしか伝えられないことは必ずあるはず。

これからも経験したこと、考えたことは発信していきます。

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