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【試合分析】4/9(日)東海大福岡vs福大若葉

みなさん、こんにちは。
樋口智洋です!

ついに福岡県リーグ1部が開幕しましたね!

分析に入る前に…

このリーグを分析する理由は、初回の投稿に書いた通りです。

なぜ福岡県リーグ1部を分析するのか?|樋口智洋ユースサッカー研究所|note

分析する以上、両チームの戦術面や、ときには個人名を挙げてプレーの説明などをすることもあります。
ただ、これはあくまでも読んでいただくみなさまにわかりやすく、楽しんでいただくためのものであり、チームや個人を非難したり攻撃したりする意図はありません。
あくまでも高校生の大会です。
選手や指導者は守られるべきだと思っています。
もし、読んでいて不快になるような表現があれば撤回しますので、遠慮なくコメントください。

一方、記事の内容や、この活動自体にはさまざまなご意見があってしかるべきだと思います。
賞賛いただければ筆者が嬉しいですし、分析の内容が悪ければ批判されてしかるべきだと思っています。
そのようなご意見はウェルカムですので、よろしくお願いいたします!

それではまいりましょう‼

対戦

開幕戦の今回は、一番再生回数の多かった注目の一戦、東海大福岡vs福大若葉を分析してみたいと思います。
略称でも長いので、「東海」「若葉」でいきますね。

基本フォーメーション

東海(黄) 1-4-3-3
若葉(赤) 1-5-3-2

試合開始時の基本配置

試合の概要

試合結果だけを見ると、壮絶な打ち合いだったかのように想像できますが、実際にはそういう展開ではなかったです。
終始、東海が主導権を握って試合を優位に進めました。
若葉も我慢しながら機会をうかがっていましたが、ここというタイミングで狙いどおりにパワーを発揮できませんでした。
その理由も含めて紐解いていきましょう。

東海の狙いはポゼッションでボールを握り、ゲーゲンプレスで奪い返して相手に攻撃の機会を与えないこと。
(このnoteでは、前線での攻撃的な守備を2種類に分けます。
1つは「プレッシング」、お互いに整った状態から、相手のビルドアップに対して行う守備です。
2つめが「ゲーゲンプレス」、攻撃でボールを失ったあとにそのままの勢いで奪い返しにいく守備。プレッシングと比べて、相手の攻撃の態勢が整う前に行う守備と考えます。)

一方、若葉は東海の攻撃的なサッカーに対して、ハイプレスというよりはミドルに構えてゴール前を厚く守ることを選択しました。
奪ったあともなるべく早めに前線にフィードし、手数をかけずに攻撃して守備のバランスを崩しすぎないように。

対照的な両チームでしたが、勝負を分けたのは戦術の完成度でした。
時系列で観ていきましょう。

立ち上がり

前半、最初の10分はお互いにセーフティなプレーをしながら様子見。
このフェーズでは、配置とサイズに利のある若葉が優勢でした。

序盤の構図

前半11分~、ペースを掴んだ東海

試合の流れが決まってくるのはここから。
10'30"からの約1分半、東海の意図的な攻撃がこの試合初めてみられ、若葉を押し込むことに成功しました。

注目すべきは、この後の若葉のゴールキック。
この試合初めて押し込まれた1分半の直後に、ハイプレスの態勢をとる東海に対して、若葉はGKからの組み立てを選択し、2回連続で失敗しています。
その直後のルーズボールを拾った東海がこの日最初の決定機を作りました。
ここまでの3分間が、この試合の明暗を分けましたね。
Green Cardチャンネルのメンバーの方はぜひこの3分間を見直してみてください。
面白いと思いますよ!

ここからは、東海がボールと主導権を握る時間が続きます。
この展開の中で、若葉は東海のボール保持者にプレッシャーを与えることができませんでした。

東海は、6番井上を中心に、中盤の選手がフリーでボールを持つことができたので、前線の選手が相手背後へのアクションを連続して起こし、若葉の3CBを動かし続けました。
特に効いていたのは10番中島です。
ポジションはCFでしたが、役割は偽9番そのものでした。彼がMFの位置までタイミングよく受けにいくことで、若葉の3CBはだれも付いていかなければフリーでボールを受けさせしまうし、CBの1人が付いていけば、その空いたスペースに東海のMFやサイドFWがどんどん入ってくる。先制点となるPKを6番井上がもらった場面もそうでしたね。

若葉は、中盤での1stDFを明確にして、ボール保持者にプレッシャーをかけられれば、もっと狙いどおりのサッカーができたのではないかと感じます。

東海の攻撃vs若葉の守備

後半序盤、東海の追加点

実際、若葉は前半でかなり疲れていたと思います。
走った量というよりも、相手の主導権の中で走らされていたからです。それでも、後半フレッシュな気持ちで、積極的にいこうと入ったはずです。
しかし、3'55"からの後半1回目のプレッシングの場面にすべてがつまっていましたね。
後半の一番フレッシュな状態でのプレッシングがハマったと思った瞬間に鮮やかにはずされてしまいました。
これはショックが大きかったのではないでしょうか。
直後、ビルドアップに入ろうとしたところで相手のプレスを回避できずに失点しました。
奪われた選手への若葉の選手のサポートよりも東海10番中島のプレスが早かったですね。
これには、直前のプレーの影響があったと感じます。
試合が動いたときには、その直前のプレーや数分間の流れを振り返ってみると、ヒントがありそうですね。

不屈の若葉、魔の2-0東海

普通はここでほぼ試合終了ですね。
メンタル的にももうこの試合中に本気で勝利を諦めずに戦うことは難しいです。
今回筆者は、結果を知った上でアーカイブを観たので、「若葉はここからどうやって3点取ったの?」
と不思議でなりませんでした。

きっかけは8'35"若葉はこの日初めて、GKからの意図的なビルドアップで相手ペナルティエリア内への侵入に成功し、あわやPKというシーンを作り出しました。
この場面は、前半なかなか定まらなかったCB3人のポジショニングが明確に取れ、全体の距離感が良くなったことが要因でしたね。

若葉のポジションバランスと崩し

東海は、この場面で一度落ち着いて、

  • 2-0の中どうゲームを運ぶか?

  • ボールは持たせてもOKか?

  • 変わらず攻撃的に主導権を握りにいくのか?

このあたりまで統一されて、このゲームのような試合を3-0で終わらせられるようになると優勝が見えてくると思います。
実際、この後失点するまでの3分間の間に、これまでになかった判断ミスやチャンスを逃す場面、消極的なプレーによるミスが増えています。
失点の瞬間も、GKとその前にいるDFのどちらがボールを処理するのかが決まっていて(またはGKが声をかけて)、ゴールエリア内では必ず自分より前にボールを弾くということが慌てずにできればOKでした。

若葉としては、飲水に入るまでの10分間に少しずつ攻撃の成功も増えて、同点弾の場面も相手のミスからではありましたが、よく走り得点に繋げたと思います。

若葉のギアチェンジと東海の連続得点、大勢が決する

飲水時、おそらく若葉は、あるタイミングからミドルプレスをハイプレスに切り替えるという作戦を共有していたように思います。

メンバーチェンジにより、SH9番川上をFWへ、投入した18番奥井を右SHへ入れました。
そのメンバーで様子を見て数分後に発動というイメージだったと思いますが、メンバーチェンジ直後とハイプレス発動直後に失点しました。
この2点でさすがに試合は決まりましたね。

これは、この時点での采配どうこうではく、そこまでに走らされ過ぎていたことと、4失点目に象徴されるように、若葉の3CBの準備よりも東海の背後への飛び出しが鋭く、最後まで抑えられなかったことが要因でしたね。

今日のMVP

長くなりましたが、最後に今日のベストプレーを紹介します。
東海10番中島です。
後半17'50"、自らがゴール前に関わったあと、相手の攻撃が始まります。
この場面、だれよりも早く切り替えて、猛スピードでボールを追いかけていきました。
プレスの基本はボールに一番近い選手がアタックすることです。
ただ、この場面で中島はボールに近い3人の味方を追い越してプレッシャーをかけにいきました。
疲労や反応の早さ、メンタリティを含めて、結果的に一番速くいけるのが彼だったということですね。
こういうプレーはチームに勇気を与え、「もう一度ハードワークしよう」とチームメイトに思わせることができます。
高校生らしい、素晴らしいプレーでした。
攻撃面でも、彼の関わりが常に東海にいいリズムをもたらしました。

一方、若葉のポイントはキャプテン2番吉住。
この試合中に3回のポジション変更により3つのポジションをこなしました。
メンタル面でもインテリジェンスでもチームの大黒柱です。
この試合、難しい状況でも挫けずにチームとして戦えたのは彼の力が大きいです。
だからこそ、よりタフにたくましく、プレーでも引っ張る姿を彼が魅せてくれれば、若葉も優勝候補になると確信しました。

両チームの健闘に拍手!!
ナイスゲームでした👏
ありがとう!


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