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【詩】ボス・イズ・ドラゴン

九龍のストリートの奥深くに
眠るマフィアのボス
銀色の髪に長い顎ひげ
落ちくぼんだ青い瞳の中で
竜が炎を吐いている
真っ赤なサテンの上に
細かな花の刺繍がされてる
スリット入りのドレスを着た女が
膝に座りキセルを吸いながら
ナイフより冷たい声で夢の話を続ける
金ぴかの大きな門の前で
孤児たちが見張り番をしている
恩義を重んじているから
指先ひとつで人を殺すこともある
札束でいっぱいのアタッシュケースを
魔法のチョコレートと交換する夜
凍り付いた空気に口を挟める奴はいない
ボスは札束を数えながら聞く
「この血はなんだ?」
中華料理と火薬の混ざった匂いは
この町に住んでいれば当たり前のこと
遠くで野良犬が吠えている
大陸的な思想に逆らい
最低の暮らしから這い上がってきた
奪えるものは奪い尽くし
ひどい裏切りを何度も重ねた
寂しさなんて生まれつき
悲しみなんて人生そのもの
嘆いてもなにも変わりはしなかった
指10本じゃまったく足りないぜ

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