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「夢も定かに」権力争いに巻き込まれても、やっぱり華やかな後宮物語

後宮の女官三人の、青春小説です。

澤田瞳子さんの小説を読みたいな~と思っていたところ、読みやすそうなこの本をみつけたので読んでみました。

ラノベでも多い題材ですが、次から次へと事件が起こって思いも寄らないところにまで行ったりして。

さすがは澤田瞳子さん、面白かったです。

主人公は元々は妹が行くはずだったのに、ひょんなことから自分が采女として都に出ることになった豪族の娘、若子。

はじめは後宮で上手くやっていく自信が無く、結婚して女官の仕事をやめることも考えるのですが・・・。

真っ直ぐな覚悟を持った女の子で、正統派主人公だな、と感じます。

こういう子、好きです。

キャラクターとしても好き。こういう子を書いてみたいのですが、これが意外と難しいんですよ。

それから、美人さんで大人びている春世、頭が良くてキビキビしている笠女。

一つの部屋で一緒に暮らしているこの三人が中心になって物語が動いていきます。

それにしても、この三人、すごいなって思います。

「一介の采女だから仕方ない」それが辛い。

物語の序盤ではそういう感情が強いのですが、若子も春世も笠女も実は宮中の大きな出来事を動かしていて。

すごく面白いんですよね。ここまで持って行く澤田瞳子さんの文章力も発想も歴史の知識もすごいし、もっと読みたい!と思いました。

私が一番好きなのは、なんといっても春世です。

なんというか、華やぐんですよね。

春世が出ているシーンを読んでいると、やっぱり華やかな人なんだろうなあって思います。

でもそれだけじゃなくて、文章全体が戦いの場だけれど艶やかな後宮、という雰囲気で素敵でした。

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