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【考察】続・転職100日間の過ごし方

これまでの100本以上のnote記事の中で、2番目の人気記事が”【考察】転職後100日間の過ごし方”です。

この記事は、私がブラジルやウクライナ案件の「出向経験」や、それまでの転職者の人間観察を踏まえて書いたもので、多くの反響をいただきました。

この記事の執筆から2年経ちましたが、この間スタートアップの人事責任者として多くの転職者を見てきましたし、他社の人事担当者と意見を交わす機会もありました。

その知見から、新たに「転職後上手く行く人の3つの共通項」を見出したので、続編として綴ってみます。

今回は、前回よりも「ハイレイヤー」の方々に気を付けていただきたい要素を並べています。是非、最後までご一読ください。


コミュニケーションは「大喜利」である。

追って「3つの共通項」を書いていきますが、それ以上に皆様に意識していただきたいのは、「コミュニケーションは"大喜利"である」ということです。

これは私が尊敬するTVプロデューサーの佐久間 宣行氏が仰っていたことですが、言い換えると、こういうことです。

  • コミュニケーションは「誰が」「何を」言うかで成り立っている。

  • 「何を」だけじゃなく、「誰が」との掛け算。

  • なので、「誰が」の部分は「何を」と同じくらい重要視すべき。

例えば、何か人に伝える時に「結論から話す」とか「平易な言葉で」など、コンテンツの方に意識が行きがちですが、人は「相手の情報を頭に置きまくりながら」聞いています。

「Aさんがこう言っているということは、きっとこういう意味だろう」
「Bさんにしては説明が浅いが、Bさんの言う事なら間違いないだろう」
「Cさんにしては説明が小難しいが、本当にこの人は分かってて言ってるのだろうか」

同じ回答でも、バカリズムが言うのと全然知らない芸人が言うのでは、面白さが違いますよね。それと同じです。だから大喜利。

言葉に直すと超当たり前のことのように聞こえますが、正直これが分かってる人は物凄く少ないと感じています。何故か。

人間は必ず、世の中を「自分視点」で見ているからです。だから、相手や場所が変わっても、同じ質問に対して同じ回答をしてしまう。

でも、相手が10年来の同僚なのか、はじめましての人なのかによって、コミュニケーションは当然変わって来なければなりません。

転職の有無にかかわらず、「相手は自分のことをどの程度理解している人なのか」ということを意識しながらコミュニケーションをしてみてください。

その意識を持って日頃からコミュニケーションが出来ていれば、転職後に問題が起きる確率もぐっと下がります。

(以下は佐久間さんの書籍です。現実的なことが並んでいて、新社会人になる人とかに特におすすめです)

共通項①:さらけ出しが上手い("誰が"パート)

転職後に上手く行く方は、「"自分がどんな人なのか"を伝える能力が高い」と感じています。

「誰が」に関する情報の非対称性を、入社後早期に解消できる、ということですね。

多くの方が転職後に「認めてもらおう」と、「自分は何が出来る」とか「こんな経験をしてきた」みたいなことを伝えようとするのですが、正直そんなことはどうでもいいのです。

そういう能力がある人を求めて採用要件を出し、面接して入っているので、そこに大きなギャップがあることはほぼありません。

一方、その人の「人間性」や「過去」については、かなり未知数です。面接中に聞けることなどほんの一部ですし、プライベートな失敗談などは当然出てきません。

ですが、「どういう価値観を持っている人で、どういうバックグラウンドの人なのか」が分かるか分からないかで、コミュニケーションの質は圧倒的に変わります。本当に圧倒的に。

そのため、是非転職後に以下のような情報を、早い段階で開示してみてください。特に部下を一人でも持つ人は、最早「マスト」です。

・どういう意思決定をするタイプなのか(特にマネージャー以上)
・どういうコミュニケーションを好むのか
・どういう時間の使い方が好きなのか
・どういうものが好きで、どういうものが苦手なのか(プライベート含)
・過去どんな失敗をして、そこから何を学んだのか

こういう情報を「さりげなーく」会話の中で織り交ぜられる方は、すーっとオンボーディング出来ている印象です。

なお、カミナシさんは「入社エントリ」をまさに「社内への自己開示」の目的で使われており、自己開示が苦手な方への橋渡しという意味でも、非常に理に適ったアプローチだと思います(以下note参照)。

共通項②:Negative Feedbackを我慢できる("何を"パート)

嫌われることではなく、「歪んだ認知が組成されること」が問題

ある程度成果を出してきた方、多くの経験を積んでこられた方は、転職先の「出来ていない所=Problem」に必ず気が付きます。優秀であればあるほど、一瞬で気付くでしょう。

ですが、そのProblemが発生している背景には①構造的要因、②人間的要因、③歴史的要因、、、といった多様な文脈と理由があるはずです。

それを理解せずに「え、なんでこんなことをしていないの」的な発言が先行してしまうと、二つの大問題が発生します。

  1. 「やる気のある社員」からほど、嫌悪感を抱かれる

  2. 「そういう人なんだ」という認知が先行して組成されてしまう。

特に問題は2つ目の方で、共通点①でも述べたように、「どういう人なのか、という認知」はめちゃくちゃ重要です。

いくらさらけ出したところで、ネガティブが先行してしまうことで、「あ、結局そういう"出来てない所をあげつらう人"なのね」という認知が出来上がてしまっては、それを拭い去るのはかなり大変です。

なので、Problemに気づいてしまい、言いたくなっても、まずは我慢しましょう。

問題の"構造化"をQuick Resultに

ここで勘違いしていただきたくないのは「既存社員に気を遣って、指摘するのはやめましょう」という事ではありません。逆に、それをやったら転職社員の意味がありません。

僕は前回のnoteで「溶け込みつつ、Quick Resultを積み重ねる」ことを推奨しました。具体的にやったことは以下の二つ。

①リスペクトを持ち、相手の話を全て聞く。中断しない。まず受け入れる。
②小さくてもいいので、「Quick Synergy」を出し、「細田が来てよかった」と思って貰えるきっかけを多く作る

そして今、「転職者を受け入れる立場」になった自分として、「やってもらったらめちゃくちゃ有難いこと」がProblemの構造化です。

今抱えているProblemはどんな構成要素によって起きていて、その構成要素同士はどんな関係があるのか。これを外から来た人の目線で表現されたら、それはもう素晴らしい"Quick Result"です。

つまり、「気付いたらすぐに指摘するのではなく、構造化まで行ってから、堂々と指摘しましょう」ということですね。

優秀な人ほど拙速に問題を指摘し、現メンバーとの心理的距離が音速で離れていく所を良く見てきたので、是非気を付けてください。

共通項③:アンラーニングする姿勢を見せる("誰が"パート)

転職後に「むむ?」と思っても、実は自分の方が遅れていたり、自分の方が合わせた方が良いことも絶対に出てきます(無いなんてあり得ません)。

その時に、「最速でアンラーニングし、その姿を見せる」ことが出来れば、完璧です。

既存メンバーが貴方(転職者)に何かを言ってきた時に、相手はめちゃくちゃ貴方の反応を見ています。そして最も見ているのは、「こいつは自分の話を聞く気があるのかどうか」ということです。

「聞く気が無い人」だと思われたら、もう次からは真剣にボールを投げてはもらえません(ファーストストライクの重要性については、こちらの記事参照)。

ですが、「アンラーニングした姿」は強烈なメッセージです。一つ一つの話を聞く、聞かないよりも遥かに「こいつは柔軟な奴だ」と知らしめる効果があります。

実は結構些細なことで良いのです。例えば、

・一人だけフォーマルな服装だったのが、いきなりカジュアルでセンスいい格好で出社してくるようになった。
・Slackをぶつぶつ言いながら使ってたのに、ある日いきなり使いこなし、メンバーの知らない機能の紹介までしてくれた
・分からないことをメンバーの職種・肩書関係なく頭を垂れて教えを乞うようになった …etc

など。どうしても例が「大企業→ベンチャー」的なものになってしまいましたが、逆もあるでしょうし、「ベンチャー→ベンチャー」でも沢山あると思います。

最終的に人は「何を言っているか」よりも「何を実行しているか」で人を判断します。「アンラーニング」という強烈な"DO"で、「言ってもらえる人間」になりましょう。

おわりに

このnoteは「転職者側の心得」みたいなことを書いていますが、同じレベルで重要なのは「転職者を受け入れる会社側の心得」です。

大企業は大体そうなっていますが、スタートアップでも、気づかぬうちに「暗黙知」「不文律」が生まれていて、排他的になっていることがあります。

特に、以下の2つのタイプは危険です。

  1. 人数が増えているのに、創業社長に権限が集中し続けている

  2. 離職率が低く、更にそれを誇りにしている

もしこれを読んでおられるスタートアップ人事の方がおられましたら、是非客観的に自社の状況を見直してみてください。

では、また次回お会いしましょう。

細田 薫


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