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駄文#29 三番の歯

こんにちは、抽斗の釘です。

虫歯ってしつこくないですか。

やっと治療を終えて、通院も治療費もオサラバだって安心していたら、また翌年にひどい虫歯が見つかったり。
本当はコンスタントな検診が必要なのでしょうけれど、なかなか、痛くなければ歯医者って忘れてしまうものです。

このたび、奥歯が全滅の運びとなりました。
これで奥歯4本すべてが銀歯です。
唯一無傷であった右下の奥歯、頬の肉に隠れるところに虫歯が見つかったのです。
年が明け、治療を開始、歯の半分ほどが削られてしまいました。
フロスも、歯間ブラシも毎日しています。が、そんな努力も空しく。

とはいえ、些細なことですが、人工物を着けて生きるというのはなんだかサイボーグのようで悪くない。そんな気もしてきます。
「それでも生きる」という感じが、どこか前向きに思えます。

そしてどこか前向きなのは、何もサイボーグだからというわけではなく。
今回の治療から、新しい歯医者に鞍替えしたのです。
以前の歯医者は何かと不信感がぬぐえませんでした。
頬の内側が出血したり、銀歯を喉に落とされたりと、何かとデンジャラスな通院。
治療済みの銀歯に違和を感じ相談しても、何も異常はないと笑われる始末。
通える距離に新しく歯医者が建ったことをこれ幸いと、年末から通い始めたのでした。
当該銀歯にやっぱり異常が見つかり、虫歯が中で進行しておりました。

その、初診の検診でのこと。新たに発覚したことがありました。
なんと3番の歯が無いとの指摘。

……歯が無い?
これは寝耳に水です。
かれこれ10年近く、以前の医院に通っていましたが、そんな指摘を受けた覚えはありません。いや、もしかすると言われて忘れていただけかもしれませんが、ともかく私の歯は揃っていると信じて生きておりました。母親に聞いてみても初耳だと言います。

三番とは、前歯から数えて三番目の歯のこと。つまり犬歯がないのです。しかも上下ともに。
30代になって、まさか皆にあって自分には無い部位が見つかるとは。
とはいえ、無いものは仕方ありません。それに正直、困ったことがまるでない。
歯医者に話を聞けば、3番の歯がないのは珍しいとのこと。
多くの場合、歯の欠如は歯並びに影響し、歯が横向きに生えてしまうこともあるらしく。しかし私の場合、親知らずがうまく噛み合って奥歯の働きをしてくれているらしいのです。
実に、人体とは絶妙なバランスで生きているのだと感心する次第です。

体の一部が欠けながら、そのうえ人工物を装着し生きていく。
幸い現在までは歯の中だけのことですが、今後も老いに従い他の部分でそういったことが増えていくことでしょう。
足りない部分は何かで補う。
どこまでそうやって生きていくか。どこまで「それでも生きる」と思えるのか。
苦痛があっても書けてさえいれば。そんなことを思います。

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