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【小説/一話完結】私は

昨日、おばさんが亡くなった。
あの人は、天国か地獄のどちらに行くのだろうか。

幼い頃、おばさんは、いつも私に怖い話をしていた。
そういう話が大嫌いだった私の反応が面白かったみたい。

私は、なんだかんだ言って、おばさんが大好きだった。
さっきみたいにからかわれて喧嘩することもあるけれど、最後は、いつも仲直りをして、手を繋いで家に送ってくれた。

ある日、おばさんから手紙が届いた。
おばさんは、たまにそうやって手紙をくれた。
もらった手紙には、いつもと違って、私の父と母・弟の名前がただ並んでいた。

私は怖くなって、父と母に手紙のことを相談した。
それから私は、おばさんと会わせてもらえなくなってしまった。

おばさんは、そんな私のことが憎かったみたい。
それから私の周りでは、悪いことばかりが起こるようになった。

一昨日、さっきの話を思い出した。
昔みたいに、良いことをしないから、おばさんに嫌われて、悪いことばかりが起こるんだと気づいた。

私は、おばさんの名前を何度も何度も心の中で唱えてみた。
おばさんは死んでしまった。

でも、おばさんは分かってくれるよね。
おばさんは、知っていたもの。

私は、死神ってこと。


お題:死神、天国、おばさん

今回も、前回と同じく、B5ノート1ページに話が収まるように書いてみた。

出だしから最後のオチまでが短くなるよう制約が課せられるので、
これはこれで良いトレーニングになりそう。

出だしを書いている時は、オチを考えずに書いている。
中盤くらいでやっと、オチが見えて、そこからはどうやって文字数を抑えて書くかを考えながら書く。

今回も、またホラーテイスト感のある作品になってしまった。
”良いこと”と”悪いこと”がなんだったのか、それは私の頭の中に留めておく。
それぞれの解釈で、好きに考えてもらえたら良いかなと思う。

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