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骨と若さの関係

【骨】 
 人間の骨は、約200本から構成され、全体重の15~18%の割合になります。その骨の主成分となるのが「コラーゲン」と「カルシウム」です。コラーゲンは、タンパク質の一種で、人間の場合、全タンパク質の30%を占めています。カルシウムは「無機物」です。それが骨に硬さを与えています。無機物とは、炭素を含まない物質のことです。また、カルシウムには「ホルモン」を助ける作用があります。ホルモンとは、体を調整するために、 情報を伝達する化学物質のことです。
 動物は、平均的にカルシウムを獲得することが出来ません。そのため、食べられる時に食べて、体のどこかにカルシウムを蓄えておく必要があります。その「貯蔵庫」となっているのが骨です。体内のカルシウムが不足すると、骨から供給されます。骨がカルシウムの貯蔵庫となったのは、もともと生物が海から河へ進出した時です。また骨には、重力に耐えて体を支えたり、内臓を保護する「プロテクター」の役割もあります。 
 
 【需要と供給】 
 動物は、カルシウムの「需給」と「供給」の調整を体の中で行っています。健康を保つためには、カルシウムのバランスをとらなけばいけません。カルシウムを体内に放出するためには、骨をいったん壊す必要がありました。ただし、体内のカルシウム量が多すぎると、動物にとっては毒になってしまいます。そのため、隔離しておくためにぎゅっと固めたものが骨になりました。その骨を壊す働きをするのが「破骨細胞」です。破骨細胞は、実際に骨を壊す時には「酸」で溶かします。 
 
 【代謝】 
 疲労骨折を防ぐためには、骨の入れ替わり「新陳代謝」が必要でした。大人の場合、約3~5年で全身の骨が新しく入れ替わっています。骨を新しく入れ替えるのに必要なのが「骨への衝撃」です。歩くなどの上下の運動によって、骨に衝撃を与えることが出来ます。衝撃を受けた骨から出るのが「骨を作ろう」「骨を壊そう」というメッセージ物質です。このメッセージ物質というものは、人体のあらゆる臓器や細胞から放出されています。骨にかかった衝撃を敏感に感知するのが、骨細胞のネットワークです。骨細胞は、お互いに結びつき、骨の中にネットワークを張り巡らせています。 
 
 【若さ】 
 骨は、若さを司る臓器です。人間が活動的に運動している限り、骨は、全身の若さを保つ「メッセージ物質」をたくさん出しています。そのメッセージ物質を出すのが「骨芽細胞」です。骨芽細胞とは、骨を実際に作る細胞のことで、骨細胞の表面にあります。骨細胞とは、骨芽細胞にカルシウムがついたもののことです。骨は、人間が運動をやめてしまうと、もう若さを保つ必要がないと判断し、メッセージ物質の放出を止めてしまいます。メッセージ物質が止まると、全身の若さが保てません。寝たきりや、座ったままだと、若さを保つメッセージ物質が途絶えてしまいます。高齢者が、骨折をきっかけに、4~5人に1人が1年以内に命を落とすのはそのためです。また骨から出るメッセージ物質は「記憶力」や「免疫力」とも関連しています。

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