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遺伝子のスイッチとは?


【遺伝子】
 遺伝子とは、身体の設計図です。二重まぶた、ある鼻の形になる、特定の病気にかかりやすいなどは、遺伝子によって決まっています。遺伝子とは、DNA上のところどころにある一定の文字列のことで 、それは全体の2%ほどにしかすぎません。その文字列の情報には、特定の意味があります。ただし、遺伝子にあるのは、機能だけです。そこに独自の意思というものはありません。人間の遺伝子は、約2万個以上あるとされています。ただし、その正確な数は不明です。現在、その約70%の働きが解明されてます。ある特定の「形質」が発現出来るのは、遺伝子の働きのおかげです。例えば、人間になる遺伝子が働けば、人間が形作れられます。人間の場合、遺伝子の99%は人類共通です。違っているのは、ほんの0.1%にしかすぎません。 
 
 【遺伝子のスイッチ】 
 全ての遺伝子には、オンオフ出来るスイッチがあります。そのスイッチは「転写因子」というタンパク質です。転写因子は、遺伝子一つ対して、一つだけしかありません。スイッチの状態は、子供の時の方が変わりやすいとされてます。例えば、ガンになるのは、ガンを抑える遺伝子のスイッチがオフになっているからです。もし、スイッチがオンになっていれば、ガンを抑える物質が放出され、ガンになりにくくなります。人体の運命を左右するのは、スイッチがオンになっているかオフになっているかです。近年、このスイッチをコントロールすることができる可能性が浮かび上がってきました。
 
 【タンパク質】
 遺伝子とは、タンパク質の設計図です。その設計図に従って、情報がタンパク質に置き換えられています。体が正常に成り立っているのは、タンパク質が正しく作られているからです。ただし、その全ての遺伝子が、常に働いているわけではありません。必要な時や、特定の細胞だけ働く遺伝子もあるからです。
 遺伝子の働きを変えているのは、スイッチのオンとオフの切り替えです。ホルモンという化学物質が、遺伝子の一部にくっつき、スイッチをオンにしています。このホルモンも、タンパク質の一種です。遺伝子のオンオフによって、作られるタンパク質も変わってきます。体内で、さまざまな種類の細胞が作られるのは、タンパク質によって、細胞の働きが変わるからです。
 

 【エピジェネティクス】 
 遺伝子は、親から子へ遺伝するものだけでありません。そうした分野を扱うのが、エピジェネティクス「後成学」です。DNAの塩基配列の変化を伴わないのに、遺伝子の後天的な変化が、子孫にも影響を与えることがあります。塩基配列とは、タンパク質を作るための暗号のことです。例えば、祖父の代が食べすぎると、その子や孫が、普通に食べただけで太ることがあります。これは、子孫が祖父の肥満体質を受け継いだからです。祖父が食べすぎで、一時的に肥満状態となった時「食欲を増す」「脂肪を貯める」というDNAのスイッチがオンになります。その子孫が、肥満体質を受け継いでいるのは、スイッチがオンのままの状態で遺伝したからです。世代を超えて受け継がれたDNAのスイッチの状態は、変化しにくくなります。エピジェネティクスによって、食事や運動など親が経験したことが、次の世代にも遺伝することが分かりました。

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