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美しいおむすびに会いにレトロな横浜へ行く。

横浜に密やかな人気を誇る、昭和レトロなスポットがあるのをご存じですか?横浜というと、オシャレな「みなとみらい地区」や、賑やかな中華街をイメージする方が多いと思います。が、それは表の顔。その目と鼻の先、阪東橋を越えたところに、時がゆっくりと流れる下町があります。かつての賑わいは残っていませんが、当時の面影を感じさせる店がぽつぽつと今も残っています。今回ご紹介する伊藤米店もそのひとつ。明治34年(1901年)創業。なんと日露戦争よりも古い!その歴史を肌で感じてみませんか?伊藤米店へ行くべきポイントを3つ、ご紹介しましょう。

その1。戦前の昭和レトロな旅情に浸れる!
横浜は1945年(昭和20年)5月29日に、横浜大空襲に見舞われました。それは酷い空襲で、市の中心部は見渡す限りの焼け野原。1万人近い死者が出たといわれています。
幸運にも、伊藤米店のある八幡町・中村町は焼けなかったそうです。そのためこのエリアは、戦前の昭和レトロな雰囲気が色濃く残っています。一歩足を踏み入れると、ここは映画村かしらと錯覚するほど。なんだか行き交う人までエキストラさんに見えてくる…。
伊藤米店はそんなノスタルジックなエリアの端に位置します。

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レトロモダンな店先で女将さんの笑顔に会うと、ひょいと現代に引き戻される。そんな不思議な感覚をぜひ体験してみてください。

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その2。建物フェチはぜひ行くべし!
伊藤米店の建物は戦災を免れたため、創業当時の建物をそのまま使っています(補修や拡張をしてはいますが、ほぼ当時のままのようです)。建築には門外漢なわたしが興奮するくらい素敵です。

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調べてみたら、出桁造り(だしけたづくり)というものらしい。江戸時代頃から町家(店舗兼住宅)で用いられていた様式で、全面に張り出した軒が重厚さを生み、商店の格を表していました。
実は横浜は戦災が酷かったため、古い建物があまり残っておらず、伊藤米店の建物はかなり貴重です。現役で、しかも美しく使われていて、一見の価値があります。


その3。豊かな愛情に出会える!
店頭に立つ女将さんは、「食は身体を作るものですから、大事にしてほしいと思っているんです。だからこそおいしいお米を知ってほしいし、お客様から『おいしい』といってもらえると、ほんとうに嬉しいです」と、穏やかな口調の中に熱を込めます。
そんな女将さんを4代目店主のご主人は、「ほんとにこの店は彼女があってこそなんですよ」と、優しいまなざしで見つめます。愛があふれている!
聞けば、お二人は大学時代の友人。女将さんは周囲の大反対を押し切って嫁いだそうです。ご夫婦で先代のあとを引き継ぐうちに、女将さんは自分でも意外なほど、米屋というお仕事に愛情を抱くようになりました。

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そんなお話を伺っている間にも、ご近所の老紳士が来店したり、店の前を馴染みのご近所さんが通りかかったり。
「どうも。今日も暑いわねぇ」
「ほんとに。お身体どうぞお気をつけて」
「ありがとう。また寄るわね」
まるで古くからの友人のような気さくで温かい小さな会話が、ゆったりと景色に中に溶けていきます。超ローカルなのかと思えば、遠方からわざわざ来店したお客さんもいます。
「この前のトマトおむすび、おいしかったわぁ」
「よかった!いつもありがとうございます。今日は事前にご連絡いただいていたので、おむすびとお野菜、あとお米、用意しておきました」
「あっ、今日はブルーベリーおむすびね。嬉しい!家でまた作らなきゃ」
「レシピ、あとでメールしますね」

コロナ禍で他人と触れ合う機会が減っているせいか、愛がいっぱいの空気にすっかり魅了されました。

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わたしもお米とおむすびを買ってみました。ちなみに、おむすびの販売は週3回(火・木・土)です。事前に確認した方がいいかもしれません。塩おむすびと、季節の新鮮な野菜を入れた炊き込みご飯(野菜ごはん)のおむすびがあります。何の炊き込みご飯かは、行ってみてのお楽しみ。伊藤米店のインスタグラムでお知らせされるみたいです。

この日はブルーベリーおむすびでした!きれいな色ですよね。どんな味がするのかしら…?

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ブルーベリーの風味はほんのり。もっちりみずみずしいご飯にかすかに甘酸っぱさが感じられる程度です。言われなかったら、ブルーベリーだと気が付かないかも。でもわかって食べるとクセになる美味しさです。

作り方を奥様から教えていただいたので、伊藤米店で買ったお米とブルーベリーで作ってみました。

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炊き上がりはこんな感じ。混ぜるときれいな紫色になります。

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おむすびにしてみました。レモン汁をちょっと足しています。

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普通にお塩で握っても美味しいですが、お砂糖をまぶすのもオススメ。素朴なおやつとかおつまみになりそうな優しい味わいになります。

お米をスーパーや通販サイトで買う人も多いと思います。でも、お米屋さんでしか得られない体験もあります。ぜひ不思議な温かい時間を過ごしに、伊藤米店へ行ってみて下さい。
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住所 : 神奈川県横浜市南区八幡町36
電話 : 045-261-4691
お店HP:https://www.facebook.com/0141hamanokome/
instagram:https://www.instagram.com/0141hamanokome/
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⭐️伊藤米店より:
『食は命です』をモットーに明治34年から営業しております。お米中心に、毎日食べる食材をこだわって作られた真っ当なものだけ販売しています。お米は米屋にしか出来ないこと。当店ならではの方法で、美味しく食べていただけるように努力しています。

伊藤米店のオススメ
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●津南魚沼産コシヒカリ:食味コンクール殿堂入りの桑原さんのお米です。
●会津コシヒカリ:会津健土隊のお米です。
●オリジナルブレンド米「伊藤の米」:東北を中心とした産地のお米を独自の配合でブレンドしたお米です。「蔵、俵、苗」と3種類あります。お客様のお好みなどお聞きしておすすめしています。
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●「苅部農園」の新鮮野菜:
横浜市保土ヶ谷区の苅部農園は、江戸時代から続く農家です。そのおいしさに惚れ込んだ店主自ら、買いに行っています。伊藤米店での苅部農園野菜は、月水金に販売しております。(販売日に朝採れを買いに行くので新鮮です!)
https://fresco-karube.com/
●相模原市の「昔の味のたまご」農場の卵:
週に1回仕入れています。こちらは店横の自販機でも販売しております。
https://freshegg.co.jp

(2020年7月取材)

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