見出し画像

ツブシのきく選択のその先のはなし

ブルーピリオドを読んだ。
セリフ忠実ではないけど、印象に残ったメッセージ。

自分はいたって平凡で、
何かをクリアするにはそれ相応のコストをかければいいと理解しただけ。人は神と自分を比較することができない。才能あるねという言葉は、突き放すような気がする。褒められても、虚無感に襲われるだけで、本当はもっとやれる人たちがたくさんいるのだと悟る。楽しんだり、全力を出したりしたものを否定されるのが怖いから。

・・・

クリエイティブという名のつく私の部署には美大出身の人間が多い。同時に早慶含めた高学歴も多い中で彼らは「うちの会社美大の採用やめたよねwそういうことかw」と自虐する。

・・・

美大については、見ていないハチクロくらいしかこれまで知識がなかったことを悔やんだ。高2でこの漫画を読んでいたら、藝大を夢見たのかもしれない。

大学受験の第一志望は東京外語大だった。しかし、不意に都内の私立大学に憧れ、その指定校推薦の枠を見つけてしまった高3夏の私は、第一志望を手放す理由をかき集めていた。どうしてわかってくれないのかと、親に、枕に、日記に泣いた。本気で第一志望に立ち向かって落とされるのが怖くて、一般入試でチャレンジするという選択を選べなかった。その時は見て見ぬ振りをしていた感情は明らかに悔しさだった。

その第一志望を手放し、私立大に入る条件の一つが、おばあちゃんとの暮らしでもあったんだから本当に勝手な話だと思う。

・・・

後期入試しかあとがない中で第一志望に合格した友人がかっこよくて、紙一枚で大学が決まった自分が情けなくなった。今でも鼻の奥がツーンとする。

弱い自分に選ばされた学部は社会学部だった。社会学って広い学問だから、大学にいる間に自分はこれってものを見つけやすいかもしれないと甘えた。外語大で言語を極めなくてよかったと正当化した。海外行きたいわけじゃないしと小さく呟いた。しかし卒業して3年が経とうとした今、大学の授業はほとんど思い出せなくなっている。何でも学べる環境で、何にもならない時間ばかり過ごしていた。シャガクは息を吸ってれば単位が取れる。同じ学部の友人たちと自分らを嘲っていた。単位は落とさなかった。机に突っ伏した寝起きの胃の気持ち悪さを知った。ある授業で言われた「ここの大学の生徒はプライドが高いくせに自信がない奴が多い」という言葉は、いまだに思い出す。

・・・

4年経つと、また選択しなければならない時が来る。
本当は大きな広告代理店に入ってみたかったし、エンターテイメントの会社も出版の会社も憧れた。結果決まったのはIT系とも括られるインターネット広告会社。もともと思い描いた憧れの業界は1社しか落ちなかった。いや、1社しか受けることができなかった。

「そんなに本気出してまで入りたいわけじゃないし、そんなぬるいやつはどうせ落ちるだろうし」

こうして、インターネットマーケティングという聞こえのいい職業でクリエイティブを担う。THE ツブシのききそうな仕事代表格。

この道を選べば、何かとツブシがきくかもしれない。


また、これだった。

・・・

あの楽しそうなイケてる仕事をしている人たちと、私の違いって何なんだろうと考える。それくらいの企画私だってきっとできると考えたりする。悔しいと思う気持ちがあるうちが、やりどきなのかもしれない。人は、神様と自分を比べることができない。


俺は ただの人だ
でもこの天才にとって
俺は特別なんだ
(3:44)


「できるできない」じゃなくて「するかしないか」なんだなと感じた時、淡い期待を覚えたと同時に誰かの受け売りのような薄さに辟易した。
私が羨んでいる彼らもきっと同じなんだと思ったと同時に、高2でこの漫画と出会ってても藝大を目指すことはしなかっただろうと歯がゆい。

ありがちで退屈などこにでもある続きが
終わってからわかっても 遅いのにな
ークリープハイプ 栞ー

尾崎世界観の歌詞にしては前向きすぎるこのフレーズが、今の私のこの1700文字をたったの2行でいとも簡単に笑い飛ばした。

選択肢を狭めること、何かを捨てることをこれまでしてこれなかった私はどこを目指すのか。やってきたことをピースに組み立てるキャリアもあると、会社の偉い人に言われた。

こうして吐露した後に、少し何かを捨てても強くならなきゃと思いたいこれだけは、本心だと思う。まだまだ弱いな。クソが

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?