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手放していけない人生

物理的な「モノ」も、頭の中の記憶も、手放すのが心底苦手で、とても大切に抱きしめてしまうことが結構コンプレックスだ。

最近は「郵政民営化」という単語の漢字を知った時の喜びを思い出して、一人でニヤニヤしてしまった。
ぼくが幼い頃に、郵政が民営化された。
その時期テレビをつければ「ユーセーミンエーカ」という言葉が溢れかえっていた。意味はおろか、漢字など知る由もなかった。
小学校の間は、じわじわと漢字を習っていく。
音だけ知っていた単語の漢字を知るたびに、この世の解像度が上がっていった。特に漢字を知れて嬉しかった言葉に「郵政民営化」がある。

もちろん、意味を完璧に理解した時はもっと嬉しかった。
そういうあたたかい気持ちを箱に入れてとっておいてあるきらいがある。

反対もそうだ。
急に「思い出したくないちょっと恥ずかしいこと」で頭がいっぱいになって、唇を噛みしめてしまうことがある。

気に入った本は手放せない。
好きな言葉が書いてあるページをメモしておいて、落ち込んだ時にパラパラと開いて眺めたりする。
校外学習でもらった非売品のミニカー、親がくれたいらないボタン、お菓子のきれいな包み紙、美しい模様の文房具…そういうものが、気づくと家に溢れてしまう。

昨日は、写真を整理していたら、気に入って少しずつ使っているマスキングテープの購入時の写真が出てきた。
9年も前だった。
9年…

忘れることが苦手なのは、コンプレックスになっている。
頭の中に保存してあるものは、時に勝手に大暴れする。記憶と記憶が結びついて、頭の中がぐちゃぐちゃになる。それはけっこう、疲れる。

それに「過去に囚われるのは損だ」という言説については、その通りだな、と思う。見方によっては、自分の今までの人生に励ましてもらっているといえるが、ただ過去に囚われているだけだよな、と思うことも多々ある。

頭を軽くして、すっきりとちょっと前に歩けるようになりたいな、と思うのです。それでも、何かを手放すことはあまりしないのかなと思うけど。

という気持ちが強くて書いた「ピアスとものがたり」がこちらです

https://www.instagram.com/p/C4k1Bkyvuio/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZA==

ちなみに、「記憶力がいい」は起こった出来事とか話の流れとか言われた言葉とか言った言葉とか情景とか人の誕生日とかだけに有効であって、暗記科目はからっきしだめでした。役に立たなぁい!

いただいたサポートでココアを飲みながら、また新しい文章を書きたいと思います。