ヒナドレミ

こんにちは、ヒナドレミです。最近 のマイブームは「自然」と「超短編小説」そして「not…

ヒナドレミ

こんにちは、ヒナドレミです。最近 のマイブームは「自然」と「超短編小説」そして「note」の記事を書くこと。A4サイズでサクッと読むことの出来る記事を書いています。コーヒーブレイクに、ぜひどうぞ。

最近の記事

ヒナドレミのコーヒーブレイク    古(いにしえ)への旅

 私は、フラリと訪れた古びた宿を気に入って、もう一週間も投宿している。この宿は、客に諂(へつら)うでもなく、バカ丁寧に応対するでもなく、いい感じに放っておいてくれるのがいい。宿の外観や食事は質素だが 素朴でいいし、部屋も造りは古いが、清潔で落ち着く。まるで実家の自分の部屋にいるようだ。ただし、私の部屋より余程キレイだった。  普段は出不精の私が、ある時 無性に旅をしたくなった。何故なのかはまるで分からなかった。そして私は、小さなボストンバッグ一つで旅に出た。会社には 現地に

    • ヒナドレミのコーヒーブレイク    真夜中のマジックショー

       暗闇の中、私は手探りで 寝室の枕元の電気スタンドを点灯した。窓の向こうで何かが動いた。いや 動いた気がした。私は、正体を確かめるため ベッドから起き出し 足音を立てないようにして その『何か』のいる方へと進んでいった。そしてレースのカーテンの隙間から外を覗く。常夜灯の青白い光の下、そこにはいつもと変わらぬ景色があった。(確かに 何かが動いたのに・・・)私は不思議に思ったが、変な生き物がいるよりは良かった。  ベッドへと戻ろうとしたが、目がさえてしまって眠れそうもなかった。

      • ヒナドレミのコーヒーブレイク     ダイアリー~一部抜粋~

         今 私の前には、一冊のダイアリーがある。このダイアリーには、私の人生の全てが詰まっているといっても過言ではないだろう。そのダイアリーには、あの出来事が赤裸々に書かれている。もちろん、それを書いたのは私だ。  そう、あの出来事は、私の人生を大きく変えてしまうくらい、すごい出来事だった。今思い出してもゾッとする。消してしまえるのなら、あの記憶を一切消してしまいたい。だがそれは叶わぬこと。そのダイアリーの一部、関連部分を下に抜粋する。 ♦♦♦私はアメリカ人の父親と日本人の母親

        • ヒナドレミのコーヒーブレイク      話し相手

           その家は、いつも雨戸が閉まっていた。家の中から人が出てくるのを、私は一度も見たことがなかった。だがその家には、年配の女性が一人で住んでいた。私の好きなアイドルと同じ苗字で、何となく気にしていたのだ。  小説家の私が、気分転換に散歩に出かけた朝のこと。その家の辺りで「あれぇぇ・・・」と声がしたかと思うと、ガタンと大きな音がした。私はすぐに、玄関先へと向かい、大声で「どうかしましたか?」と尋ねた。すると庭の方から「誰か~」という声がした。急いで庭に回ると、庭に面した廊下に 白

        ヒナドレミのコーヒーブレイク    古(いにしえ)への旅

          ヒナドレミのコーヒーブレイク                         固定観念

           ある金曜日の仕事帰りのこと。真っすぐに家に帰りたくなくて、私は一人で遊園地へと向かった。同僚を誘おうかと思ったが、何となく今日は一人でいたい気分だった。別に、ジェットコースターに乗りたいわけでも、絶叫マシンに乗りたいわけでもなかった。ただ人込みに紛れていたい、そんな気分だった。その他大勢のうちの一人でいたかった。賑やかな園内の喧騒が、丁度よいBGMとなって私の耳に伝わってくる。  人込みの中、私は当てもなく歩いていた。今なら、どのアトラクションも待たずに乗れたが、冷たい風

          ヒナドレミのコーヒーブレイク                         固定観念

          ヒナドレミのコーヒーブレイク         かくれんぼ             

           「もういいかい」和斗が言った。「まぁだだよ」ボクが言った。「もういいかい」和斗が言った。「まぁだだよ」ボクが言った。「もういいかい」3度目の和斗の声は、少し強めだった。「もういいよ」ボクは言った。  ボクと和斗は、空き地でかくれんぼをしていた。ボクは、空き地の隅っこの木の茂みに隠れていた。かくれんぼが始まってすぐに、和斗はボクの目の前に来た。(あっ、見つかる!!)ボクは思った。でも和斗は、ちょっとだけ探してすぐに向こうへ行った。そしてその後も、和斗はこっちに来なかった。だ

          ヒナドレミのコーヒーブレイク         かくれんぼ             

          ヒナドレミのコーヒーブレイク    夕焼け空と新しい父

           薄桃色の夕暮れが、私に向かって押し寄せてくる。私はある記憶を思い出し 息苦しくなって、深呼吸をした。1回、2回、3回。私は 幼い頃に母に手を引かれてみた夕焼け空を思い出したのだった。    ある時、薄桃色の空の下で、母が言った。「なっちゃんに、新しいお父さんができるのよ」薄桃色の空を見ると、今でもその時の母の言葉が蘇る。    私(菜月美・・・なつみ)の両親は、私が幼い頃に離婚し、私が3歳の時に新しい父がきた。前の父のことはほとんど覚えていない。一つだけ覚えているとした

          ヒナドレミのコーヒーブレイク    夕焼け空と新しい父

          ヒナドレミのコーヒーブレイク     京都に独り

           私は独り、京都の とあるお寺に来ている。ここには、3年前にも訪れたことがある。以前と違うのは、その時は彼と一緒で今は独りだということ。  あの頃の私は、幸せに満ち溢れていた。だからあんなことになるとは、夢にも思っていなかった。幸せの絶頂から一気に奈落の底にでも落ちたような感じだった。  彼が突然 私の前から消えてしまったのだ。あの京都旅行の直後だった。彼自身の意思で消えたのか、何物かが関与していたのかは定かではない。だが、彼が消えた1ヶ月後に、彼から私宛のハガキが届いた

          ヒナドレミのコーヒーブレイク     京都に独り

          ヒナドレミのコーヒーブレイク      フランスへ

           長年付き合っていた彼と別れた。日本にいると色々な日本語(声)が聞こえてきて煩わしかったので、海の向こう フランスへと渡った。何故フランスに行ったのか。そこまで明確な理由があったわけはないが、強いて言えば フランス語の持つ柔らかな響きに 救いを求めていたのかもしれない。柔らかなフランス語の聞こえる街を歩けば、私のこの傷ついた心が癒やされるかもしれないと思った。   英語圏の国では、知っている単語も聞こえてきそうだし。全く知らない(知っているのはボンジュールとメルシーくらいだ

          ヒナドレミのコーヒーブレイク      フランスへ

          ヒナドレミのコーヒーブレイク    11月・北の地にて

           一雨ごとに、寒さが増して来た。この分では、今年も相当量の雪が降るかもしれない。北のこの地に越して来て1年になるのだが、寒いのには なかなか慣れない。寒がりの私が この地に越してきたのは、夫が友人の別荘を譲り受けたためだ。  庭のガラス戸を開け、外に出る。思った以上に寒くて、上着を取りに一度部屋へと戻った。上着を着て、再度 庭に出ようとした。庭の芝生に、茶色い色をした鳥が一羽いた。一瞬スズメかと思ったが どうやら少し違うようだった.。  この地に来てから、野鳥を目にする機

          ヒナドレミのコーヒーブレイク    11月・北の地にて

          ヒナドレミのコーヒーブレイク    永遠に忘れないよ

          この広い世界の中で、あなたと私が巡り合えたことは奇跡。あなたと同じ時代(とき)に生きることが出来て、私は何と幸せ者なの!あの日、あの時、あの場所へ行かなければ、あなたと出会うことはなかった。使い古された言葉だけど、それはまるで 神様がくれた偶然という名の必然だったのかも。私たちは、出会うべくして出会ったのかもしれないね。  あなたと見る景色は、一人で見る何倍も美しく見えたし、あなたと聴く音楽は、一人で聴く何倍も素晴らしく聴こえた。そして あなたと食べる料理は、一人で食べ

          ヒナドレミのコーヒーブレイク    永遠に忘れないよ

          ヒナドレミのコーヒーブレイク          ふるさと               

           私は 詩人でもなければ作家でもない。したがって どれほど美しい景色を見たとしても その美しさを100%伝えることが出来ない。そして自分の思いを伝えることさえ上手く出来ない。そんな自分が 時々とても歯がゆくなる。  私の貧困なボキャブラリーを酷使して、ある時私は文章を書いてみることにした。小説とも言えず、そうかと言って詩でもない。随筆に近いものなのかもしれない。思いついたままに、文章を羅列してみる。            ・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・  その日私は 秋

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          ヒナドレミのコーヒーブレイク    金木犀の咲く頃

           金木犀の咲く季節に、私はあなたに恋をして、それから2年後の金木犀の咲く季節に、私は恋を失った。私の恋は、金木犀とともに育ち、金木犀とともに熟し、そして金木犀とともに散った。オレンジ色の小さな小花が多数 集まった花、金木犀。金木犀の香りはとても甘やかで、まるで蜜のたっぷり入ったパンケーキのよう。  そんな金木犀の咲く10月に、私たちは出会った。あの頃は、金木犀の香る小径を 手を繋いで歩いたっけ。あなたの暖かくて大きな手が、私の小さな手を包み込む。このまま、時が止まればいいと

          ヒナドレミのコーヒーブレイク    金木犀の咲く頃

          ヒナドレミのコーヒーブレイク    天国のお兄ちゃんへ

           ボクには、5つ年上のお兄ちゃんがいた。でも 今はいない。ボクのお兄ちゃんは生まれて来ることが出来なかった。だから、お兄ちゃんには名前がない。お母さんの体から出てくる前に、天国に行ってしまったんだ、まだ名前がないうちに。  お母さんからその話をきいたボクは(お兄ちゃんに名前がないのはかわいそう)と思った。そしてボクはお兄ちゃんの名前を考えた。3日くらい悩んで、やっと決めた。お兄ちゃんの名前は『すすむ』漢字は難しくて、ボクにはまだわからないから、ひらがなの名前にした。  名

          ヒナドレミのコーヒーブレイク    天国のお兄ちゃんへ

          ヒナドレミのコーヒーブレイク    出会いと別れ

           ある秋の休日の昼下がり。恵茉(えま)は駅前のスーパーへ買い物に行くため、最寄り駅までの道のりを歩いていた。その日は、時間のある時だけ通る 狭い道を通った。  すぐ隣が公園になっていて、その公園に 女児・・・4歳くらいだろうか・・・が一人で遊んでいた。(あの子、一人で大丈夫かな?)そう思った私は、女の子に声をかけようと、公園内へと歩いて行った。そして私は、女の子の前にしゃがみ込み「こんにちは」と言った。すると女の子は顔を上げて私をみて、とびっきりの笑顔で「お姉ちゃん、こんに

          ヒナドレミのコーヒーブレイク    出会いと別れ

          ヒナドレミのコーヒーブレイク    絵を描く

           きっかけはリンゴだった。キッチンにあったリンゴが、あまりにもいい色をしていたので、私は嫁に「おい、ちょっと これ借りるぞ」そう言って、リンゴを片手に名ばかりの書斎へと入っていった。  初めは、リンゴの絵を描く気など毛頭なかった。たまたまデスクに置いてあったメモ用紙が目に入ったので(描いてみるか)と思った。その絵(デッサンだが)を嫁に見せたところ「あら、なかなかいいわね」と言われた。調子に乗った私は、その後も絵を描き続けることになる。  それから10年。ここまで絵を続けて

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