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現代視覚文化で中国語を勉強しよう!中国国産アニメ編①序章


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「中国語を話せると、20億人と話せる」

①中国語は発音がとにかく、むずい・・・

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中国語学習を進めていくと、どうしても超えられない壁にぶちあたります。それは、発音です。中国語は英語に比べて、聞く(何言ってるか全然わからん)、話す(何喋っても伝わらん)のハードルが高いと感じています。

②AI翻訳には限界があると思っています

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「え、DeepLとか使ったことないの?精度すごいじゃん、別に勉強しなくてもそのうち同時翻訳できるっしょ?」

 おっしゃるとおりです。DeepLはたまげましたね。

 AI翻訳が発達したそう遠くない未来(遅くても10年以内には)、文字ベースの言語学習は不要になると思います。が、それは発話を必要としない、文字ベースのコミュニケーションだけだと思ってます。

 音声会話はそうはいきません。なぜなら、音声は人間の声帯から出る音波なので、距離や周囲のノイズによって劣化しやすいからです。更に、人によって声質が違ったり、早口だったり、どもったりします。

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たとえばこんな音声会話の場合。

「オウフwwwいわゆるストレートな質問キタコレですねwwwおっとっとwww拙者『キタコレ』などとついネット用語がwwwまあ拙者の場合ハルヒ好きとは言っても、いわゆるラノベとしてのハルヒでなくメタSF作品として見ているちょっと変わり者ですのでwwwダン・シモンズの影響がですねwwwwドプフォwwwついマニアックな知識が出てしまいましたwwwいや失敬失敬wwwまあ萌えのメタファーとしての長門は純粋によく書けてるなと賞賛できますがwww私みたいに一歩引いた見方をするとですねwwwポストエヴァのメタファーと商業主義のキッチュさを引き継いだキャラとしてのですねwww朝比奈みくるの文学性はですねwwwwフォカヌポウwww拙者これではまるでオタクみたいwww拙者はオタクではござらんのでwwwコポォ」(早口、口角に泡がついてる)

 みたいなのを、たとえば幹線道路脇の歩道に立った状態で、マイクで誤変換なく100%文字化するのは10年後でも流石にキツイと思いませんか?

 要するに、音声会話は発話者の意図どおりにデジタル化することが困難なので、文字ベースのコミュニケーションと違って、翻訳以前の問題が発生するのです。音声による会話は、文字ベースのコミュニケーションに比べどこまでいってもアナログなので、入力時点でデジタル化しきれません。

 発話者の意図を抜け漏れなくデジタル化できない以上、ネイティブ同士で話しているようなレベルでの同時翻訳の実現は難しいでしょう。

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 ましてや、ドラえもんの世界のような超高精度かつ超低遅延な同時翻訳は、発話入力を脳波入力に置き換えることができるテクノロジー(2040年頃)が登場しないと難しいと思います。それまでは、音声会話がコミュニケーションの基礎であることは間違いないでしょう。

③親の声より聴きたい中国語はありますか?

 前置きが長くなりましたが、発話レベルを上げるためにまず必要なステップとしては、とにかく生の中国語を聴くしかありません。

 ここで、何を聞くか、ということが論点となります。無味乾燥な学習教材の会話を聴くか、意識高くニュースを観るか、あるいは优酷で中国語ドラマを見るか、哔哩哔哩にユーザー投稿されたグルメ動画を見るか。

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 いま並べたいずれの動画も、中国語字幕がついているので、悪い選択肢ではないと思います。実際に僕も、これらの動画をよく見ています。(北京女子图鉴や、ユーザー投稿グルメ動画などは面白いですね)しかし、そこには言語の壁を超える情熱が存在しないことに気づきます。

 言語の壁を超える情熱とはなんでしょうか。まわりの中国人を見ていると、日本語の文字は読めないけど、日本語を喋ることができるケースが多いことに気づきます。どうやって日本語をおぼえたのかときくと、ほぼ間違いなく、日本のアニメでおぼえたと答えるでしょう。

④中国国産アニメに挑戦しよう

 2020年の8月に書いた記事では、「中国国産アニメ、まだイマイチっすね」的なレビューをしましたが、クオリティ高い作品が散見されるようになったので、中国国産アニメを掘っていきたいと思います。

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⑤中国国産アニメのこれから

 次のエンタメコンテンツ覇権国は、間違いなく中国になると思います。中国のコンテンツ生産力は、大規模な企業資本を背景とした圧倒的な制作資金と人材による供給体制、こうした供給を支える需要、すなわち中国14億人の人口、需要と供給を結ぶ販路であるスーパーアプリによる配信サービスを背景として、既にマクロ環境的に「キャズムを超えた」状態になっています。

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 このことを客観的に裏付けるものとして、株価があります。株価は会社の将来価値の予測、すなわち人々の期待や不安を反映する指標の1つです。ニコニコ動画とコンテンツIPを持っているカドカワの時価総額が3250億円、中国国産アニメの大半に関与しているビリビリの時価総額は、カドカワの12倍の4兆円です。

 ビリビリはニコニコ動画のパクリから始まりましたが、ビリビリの動画サービスは、本家ニコニコ動画のクオリティを圧倒的に凌駕していて、なんとも残念な気持ちになります。ニコニコ動画はこのまま死んでしまうのか、奇跡の復活を遂げるのか、個人的に気になるところです。

 今は、中国国産アニメは、国内向けとして消費されるケースがほとんどだと思いますが、今後は、原神、アークナイツ、荒野行動などのゲームと同じように、日本でも熱狂的に消費される日がそう遠くない未来に実現することでしょう。鳴り物入りではなく、あれ、これ中国のアニメだったの?みたいな感じで、溶け込んでくることでしょう。(地上波で放映されるかはわかりませんが)

 さて、なぜここまで中国のアニメのクオリティが劇的に向上してきたのでしょうか。それは、日本のアニメ制作スタッフが携わっているからです。昔は、日本から中国側にオフショア委託をしたり、労働力として日本で雇用していた時期があったようですが、それが逆転し、中国資本から発注を受けて、日本のアニメ制作会社が作成するケースが多いとか。

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「日本人なら中国人の3分の1で済む」アニメ制作で進む"日中逆転"の深刻さ

中国人アニメーター、日本でスキル高めて続々と帰国、日中間で受発注が逆転、激変するアジアアニメ市場

日本のアニメ人材、中国勢が囲い込み 正社員で厚遇

 日本のアニメーターといえば給与低すぎ問題がよく取り沙汰されますが、それを逆手にとって、安く日本側に発注したり、アニメーターを高給で中国本土の会社に引き抜くといったことも発生しているようです。

 コンテンツ産業の育成を国策として推し進めている中国に、日本は為すすべなく、リーダの座から引きずり降ろされてしまうのでしょうか。それは、実際に中国のアニメを見て、肌で感じ取ってみてほしいと思います。具体的なアニメは、次回以降紹介していきたいと思います。

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【次回】現代視覚文化で中国語を勉強しよう!中国国産アニメ編②ビリビリで観よう


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