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熱意があってもなくてもいてほしかった

三月で地元の映画館が一つなくなる。
私がビル内の一角にある映画館の存在を知ったのはたしか大学生くらいのときだった。もちろんそれ以前からずっとあった。

だけど、映画館が入っているビル自体が結構古い建物で一階層もさして天井も高くないし広い印象もないので、映画を上映できるようなスペースなんてあるのかなって思っていた。ずっとビルの入り口に本日上映する映画のポスターが貼ってあったにも関わらず、とっくに閉店している店の看板がいつまでもでているのと同じにとらえていた。

今はだいたい、平均したら一か月に一度くらい行っている。
RRRとか、かなり流行った映画でもない限り、そうそう席が埋まることは無い。まあ、だから閉館するんだろうけど。大人なので大体の場合、時間がない。だから一日に2、3本一気にみた。シアター自体はそう大きくないけど、他人が近くにいると緊張する私にとって、あのまばらな席はとても居心地がよかった。それでいうと、イオンシネマの互いの間に仕切りがあって席にもゆとりがあって超絶過ごしやすい。もっとふえてほしい。
見たい映画って時期にかたよりがあると思う。
全然関心がないシーズンもあれば、ぜんぶ映画館で見たいのに時間も日にちもかぶるので、あらすじなんかを見て、優先度をつけてチケットをとった。

社会人になって、そこそこの頻度で映画をみるようになった。
ガーディアンズオブギャラクシー2にドはまりして、20回ほど映画に足を運んだことによって、映画館によって音響が違うことや、IMAXとそれ以外があることに気づいた。映画好きの人たちはとっくに知っていたんだろうけど、自分で体感できたことなので経験値としてかぞえている。それまではゴジラとか、ジュラシックシリーズとか、大きな動物は大きな映画館で見たほうが楽しいって認識くらいで、あまり頓着してなかった。もちろん宇宙もでかい画面で見たほうがいいと思う。

ビルの一階層にあった映画館で音響を意識したことはあんまりない。
あと、端っこの席に座ると首筋を痛める。RRRの時に痛めた。大きなスクリーンで、映像が見やすいように誂えられた部屋で、同じ作品を何人かの知らない人たちとみるには十分な施設だった。大手以外から配給している映画をよくやっていて、内容を調べずポスターで選んでチケットをとるとよく失敗する。
だけど自分にとってのはずれ映画を自宅で配信サイトを介して見た時と、映画館で見た時では後者のほうがまだちょっとましな気持ちになる。
たぶん、映画館という建物のつくりのおかげなんだと思う。大きな音響と視界いっぱいのスクリーンで脳がぢんぢんしているおかげで、作品のつまんなさがちょっと中和される。最悪もう一本べつなの見るし。

何がどうはまるかわからないんだから映画館にも多様性があってほしかった。どういう仕組みで決めてるかしらないけど、私がすんでいる場所の一番大きな映画館とは上映ラインナップの好みがあわない。あと上映時間もあわない。
そんなこともあるから、何種類か映画館が存在してほしいのに。
だけど映画のチケット代は年々高くなるし、相応の熱意がなければお店は生き残れないようになってしまった。どうして営業できているんだろう、みたいな閑散とした場所は、数年後などではなく、まだ私が観測している間の短い年月でなくなってしまう。なくなることに慣れてきた。それが嫌だと感じる。また徐々にみたい映画がかたまってくるシーズンに突入しつつあるから、閉館する日まで閉館しないみたいに見に行く予定です。

最近映画館で見てよかったもの

コット、はじまりの夏



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