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【Bs投手分析】先発編:リーグ最強先発陣に喰らいつけ

少し忙しくてまともにnoteを書けていなかったのですが、3年連続となる投手分析は前々から書こうと決めていたので、これに関しては書き連ねようと思います。

多角的な視点とデータ分析で、今や中日新聞社やSLUGGERさんなどで記事を執筆、今や中日界隈どころかプロ野球界隈をも牽引するロバートさん(@robertsan_CD)が、2019年度オフに作成した【ロバートさん式先発マッピング】
投球イニング・QS率からそのチームの先発投手層を分析し、その結果によって個人・チーム単位での先発健康度を測れるというものです。

お若。も、昨年この指標を使わせていただいて、今年もオリックスの先発陣を考察しました。
例に漏れず、2021年の答え合わせと2022年の先発投手の考察noteになります。

↑2021年度版はこちらです🧚‍♂️↑


1.2021年の答え合わせ

奇跡的ともされる、25年ぶりの優勝を果たした2021年シーズン。
"丑年優勝" の妄想空間に、現実がどんどんと寄ってきて優勝する姿は、個人的にはすごくすごくファンタジーな1年でした。

まず目立ったのは、東京オリンピックでも日本のエースとして金メダルに大きく貢献した山本 由伸(23)の獅子奮迅の活躍でしょう。
中5日での蓄積疲労もありフォームバランスを崩した5月(1勝3敗 26.1回 ERA4.10)以外は全て月間MVPレベルの働き。最終的には26先発で18勝5敗 193.2回 ERA1.39で、最多勝・最高勝率・最多奪三振・最高勝率・最多完封・MVPと、西武・松坂 大輔、日本ハム・ダルビッシュ有、楽天・田中 将大ら、歴代のパリーグの大エースと比較しても遜色のない大活躍でした。

特に5月28日のヤクルト戦の勝利から怒濤の15連勝と躍動した姿には、苦しいときでも『由伸なら負けない』という安心感を与えてくれました。
リーグ最多の完封7&194.2イニングも、《中継ぎに3連投はさせない》というチーム方針を貫ける原動力になりました。これは中々数字には現れにくいですが、数年単位で考えたときに中継ぎ投手の摩耗を防げるので、余りにも大きな価値があることでしょう。

本人にとってはとてつもないプレッシャーだったでしょうが、それに打ち勝って優勝まで導いたことに彼の凄まじさを感じますね。

Number-Web 文春オンライン様

また、その山本由伸に負けじと獅子奮迅の活躍を見せたのが、高卒2年目の宮城 大弥(20)
ルーキーイヤーの20年は主に二軍で研鑽を積むと、本拠地最終戦でプロ初勝利をマーク。
21年は中嶋 聡監督によって開幕ローテーションに抜擢され、3月27日の西武戦で幸先よく勝利投手となりました。

特に前半戦は14試合で9勝1敗と、交流戦優勝&11連勝で首位浮上と上り調子のチームに大貢献!
あのチームの躍進ぶりで、チームに1番足りなかった『今年のオリックスは何かが違う』『俺たちならできる!』と "自信" をもたらしてくれたのは言うまでもありません。

最終的には、ほぼ1年間通して先発ローテーションを守りきり、23先発で13勝4敗 147回 ERA2.51は、凡そ高卒2年目の未成年とは思えないスタッツ。
後半戦に蓄積疲労から大きく成績を落とし、"年間通して安定したパフォーマンスを発揮する" という課題こそ残ったものの、高卒2年目時点でその課題が出てくること自体が凄まじいという他ありません。

Wikipedia

他にも、2年連続で先発ローテーションを守りきり、昨年よりも成績を上げた田嶋 大樹(25)や、同じく裏ローテとしてイニングを稼ぎ8勝を挙げた山﨑 福也(28)の両左腕の活躍も光りました。
良い意味で調子の揺れ幅が小さく、50%前後のQS率を年間通してマークしてくれる投手は、中継ぎ陣の負担軽減の面でも大きく、彼らもまた優勝へ大きく貢献した選手たちでしょう。

他にも、右肘手術からの復活を果たし、後半戦には先発ローテーションに定着した高卒5年目の山﨑 颯一郎(23)の台頭もありました。
彼は177cmの山本・171cmの山岡とはまた一線を画した大型投手(190cm)であり、長身を活かした投球は既存の先発投手と差別化できる大きな武器になっています。

結果的には、21年度に危惧されたA.アルバースの穴は、山本 由伸・宮城 大弥の新ダブルエースを筆頭とした若き生え抜き投手によってあまりある程に埋められ、25年ぶり優勝への大きな原動力となりました。
もちろん、来季は相手チームの研究や11月末までシーズンを戦ったことによる蓄積疲労などによる試練も待ち構えているでしょうが、現状では年齢構成・左右・タイプのバランス・実力ともに申し分のない理想的な先発陣と言えるでしょう。

週刊ベースボールOnline様

2.2022年度の見立て

まずは2021年から2022年に掛けての先発スタッフをおさらい。
21年夏に途中補強のグレン・スパークマン(29)が、韓国リーグ・ロッテへ移籍。また榊原 翼(23)投手が不振により育成選手へと降格しました。
それ以外の選手流出はなく、先発・中継ぎのどちらで投げるかに注目されていた山岡 泰輔(26)も、先発一本で開幕することが決まったため、先発陣の柱を維持したままに22年度を迎えられました。

補強としては、独特のメカニクスからの強度の高いストレートを武器とするジェイコブ・ワゲスパック(28)を獲得。今シーズンも外国籍枠が登録5・ロスター4の形が継続されており、先発の外国籍投手は、登板時以外はロスターから外すことで外国籍枠を有効活用することができるため、効果的で堅実な補強だと考えます。
また、春季キャンプではメキシコリーグで投手2冠の中村 勝(30)を育成契約で獲得。先発もリリーフも熟せる「ローテーションの穴を短期的に埋める」投手の存在が手薄だっただけに、こちらも安い人件費&日本人選手で手堅い補強です。
他には、TDKより移籍の小木田 敦也(23=ドラフト7位)も先発・中継ぎの両睨みで一軍争いを狙うことに。20年の都市対抗で彼の姿を見ているのですが、強靭な下半身から打者に近いところでリリースされるため、ストレート・変化球の見分けが付きにくく、空振り・ゴロアウトを奪いやすい投手だと感じた記憶があります。

ーーー2022年度ローテーション(推定)ーーー
山本 由伸(24):26試 18勝5敗 193.2回 1.39
宮城 大弥(21):23試 13勝4敗 147回    2.51 左
山﨑 颯一郎(24):8試  2勝2敗   39回    3.69
田嶋 大樹(26):24試   8勝8敗 143.1回 3.58 左
山岡 泰輔(27):12試   3勝4敗   69.1回 3.89
山﨑 福也(30):21試 8勝10敗 116.1回 3.56 左
控え:ワゲスパック、竹安、増井、山下etc

※年齢は22年に迎えるもの
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今シーズンも先発陣の軸になるのは、山本 由伸と宮城 大弥の左右の大エースでしょう。
11月末の日本シリーズまで戦い抜いた蓄積疲労や、「ディフェンディングチャンピオン」として各球団からもより厳しいマークに合うでしょうが、リーグNo.1の両輪に託される役割は大きいものがあります。昨季他球団を『由伸・宮城で2敗は覚悟せざるを得ない…』と震撼させたような活躍が最高の姿ですね。

また、故障離脱からの復活のシーズンにしたい山岡 泰輔、昨季は少し運に見離された感のある田嶋 大樹の準日本代表クラスの左右両輪にも、もう1段階STEP UP した活躍があると、より隙がないローテーションになるでしょう。

田嶋は21年シーズンは、7月7日のvs楽天や9月9日のvsロッテなど、勝ち投手を目前とした9回に抑え投手が失点し勝ち星を逃すなど、内容的には2桁勝利レベルながら勝ち星に恵まれなかった節もありました。
持ち味の独特のメカニクスから投じられるストレートに加え、フォークをしっかり落とす、スライダーとカットボールを棲み分けるなど、昨季は変化球の使い方が大きく成長し安定して試合を作れるようになったので、今期こそは揺り戻しで自身初の2桁勝利も見えてくるのではないでしょうか。

山岡は、NPB水準が年々上がる中で、高い被打率(18年: .290 19年: .300 20年: .298 21年: .301)のストレートの比率を減らし、決め球の縦スライダーの比率を高めていますが、押し負けずにもう一度ストレートを有効活用できるかが復活の鍵だと考えています。その点では昨年はストレートを見つめ直す傾向が球種構成にも出ていたので嬉しかったですね。
今季は先発・中継ぎの両面での調整を期されていましたが、ここには中嶋監督からの「ストレートで勝負しよう!更に伸ばそう!」という隠れたメッセージがあったかもしれません。

個人的に今年ブレークして欲しい投手は、190cm超の角度あるストレートが魅力の山﨑 颯一郎(23)。
177cmの山本、171cmの宮城・山岡と低身長〜中背体格の投手が多くを占める中で、彼らとは一線を画した "角度" という武器を持っており、ローテーションに加わるだけで差別化できる(身長通り?)大きな存在に。
Max155km/h Ave148km/hを先発でいきなり出せるんですからエンジンの大きさはずば抜けていると感じる一方、変化球の再現度に課題があり、今季のブレークは『どれだけ変化球でアウトを奪う選択肢』(≠球種)を増やせるかでしょう。変化球が未熟な状態でも圧倒できるストレートを投げてくるので、決まった時は120点のフォーク・スライダーの再現力を高められれば、一気に2桁勝利も見えてくると思います。

Wikipediaより

手薄な「先発・中継ぎともに熟すスイングマン」の "縁の下の力持ち" は、今期も竹安 大知(28)・増井 浩俊(38)を筆頭に任されるかと思います。

増井は『壊す試合は派手にぶっ壊す』ため心象は宜しくなかったですが、QS率38.5%と谷間ローテとしては心象ほど悪くなく試合を作りました。ホーム開幕カードのソフトバンク戦勝ち越しや、来田 涼斗の鮮烈なデビュー戦などを陰ながらアシストしていた選手でもあります。
ただし、21年度は三振奪取力に大きく陰りが見え、奪三振率は5.70と本格派投手としてはかなり厳しい水準に。特に生命線となるフォークは、平均値で19年:136km/h→20年:133km/h→21年:131km/hと急落し、今までならフォークで三振に斬っていたシーンでも、アウトを取り切れず粘り負けすることが目立ちました。フォークに拘らないアウトの導き方を模索する段階かと感じます。

また、宮城・山﨑颯一郎の二人が二軍ローテーションから "卒業" したことで、次世代を担う二軍ローテーションは手薄に。本田 仁海(23)も今シーズンは中継ぎ転向が噂されており、山下 舜平大(20)と東 晃平(22)以外は二軍ローテーションは不明確。2022年ドラフトで重点的に補強するポジションになるでしょう。

個人的に陰ながら推している選手では、左腕ではファイターズjr出身の門別 啓人(東海大附札幌¦182cm)、右腕では新潟No.1投手・茨木 秀俊(帝京長岡¦184cm)です。
今年は春季北信越大会が福井開催ということで、茨木君が個人的に気になります😂

若くして実績を積んだNPB最高峰の先発投手陣を有するオリックス・バファローズ。リーグ連覇へは彼らのゲームメークも大きな鍵になってきます。
暗黒期を抜け出し「強いオリックス」の復活へ、黄金時代へ走り出せる陣容ではないでしょうか?



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